【将来が不安⁉ 悩んだら「落語」を聞いてみて…】はじめての「落語おどおど」(落語の魅力編)#あつまれ!_おどおど学生。
落語ブームが静かに続いており、若い世代でも好きな人が増えています。大学生読者の皆さんは落語を生で聞いたことはありますか? 落語は「日本の古典的な話芸」とされますが、その面白さは実際に聞いてみないとなかなか分かりません。実は落語というのは「生」でこそ真価が発揮される芸なのです。今回は、まだ落語を生で聞いたことのない人に向けて、「落語の楽しさ」をご紹介します。
⇒ 意外と身近!? 落語を生で聞いたことがある大学生は約3割!
▼「伝統芸能」おどおど記事一覧
1. はじめての「落語」おどおど(マナー編)
2. はじめての「歌舞伎」おどおど(演目選び編)
3. はじめての「歌舞伎」おどおど(チケット購入編)
「落語」の面白さとは?

日本の「落語」は世界でも他に類を見ない珍しい話芸です。集まった聴衆に、あるストーリーを話して聞かせるという非常にシンプルな芸ですが、話者である落語家は一人で高座に座り、会話があってもそれぞれの登場人物を一人で演じ分け、お客さんを笑わせたり、泣かせたりします。
音曲も基本なく、お客さんは落語家一人を見て、その話しっぷりに喜怒哀楽の感情をかき立てられるのです。ビジュアル面ではシンプルという他はないのですが、それでも落語は現在も多くの人を魅了する「芸」として成立しています。
その秘密は、ビジュアルに頼らない芸であるからこそ――という面があります。その証拠に、落語の場合は「聞きに行く」と言い、決して「見に行く」ではありません。
当代一の名人といわれる立川志の輔師匠に「(落語は)なんにもないからなんでも出せるんです」という名言があります。
「あんた家の前掃除してきてよ」 「やだよ。マンモスが出るんだもん」
お客さんの想像力に訴えて頭の中にビジュアルが浮かぶようにする――というのが落語という芸であり、それができるかどうかというのが落語家の技なのです。
また落語の場合には、「古典」※と呼ばれる噺があって、これはどの落語家が演ってもストーリーは同じです。落語が好きになると「あの噺ね」とすぐに筋が浮かびます。
しかし、面白いことに、同じ噺でも演る落語家が変わると全く違う印象を受けます。ストーリー自体は同じなのに、「ものすごく面白かった」「泣いた」「怖かった」など、落語家によって感想が異なってしまう――という事態が発生します。
つまり、落語という話芸は徹底的に「落語家その人」に依存するものなのです。ですから、落語を楽しむということは、その落語家を好きになることとほとんどイコールという特殊な面があります。
落語の入門書などに「自分好みの落語家を探してみましょう」などと書いてあるのはそのためで、「この人はすごい」「この人の落語は好きだ」といった落語家が見つかったとき、その人は落語好きになれるのです。
※「古典」に対して「新作」という言葉があります。これはその名のとおり、明治時代から伝わり、現在まで話し継がれたものではなく、新しく作られた落語用のお噺です。新作落語は、落語家が作ります。現在では多くの新作落語がありますが、たいていはそれを作った落語家のオリジナルとして話されます。作った本人が演ってこそ生きる噺になっているのですが、他の落語家が演って違った見え方がしたとき、初めてその新作落語は、時代を超える古典になるのかもしれません。
「落語」ってどこで聞くの?
さあ、読者の皆さんも落語を聞きに行きたくなってきたのではないでしょうか。落語を聞くためには主に2つの方法があります。
1.定席の寄席に行く
2.落語会に行く
まず「1」です。落語は「寄席」という演芸場で聞くことができます。「定席」と呼ばれる(通常は)毎日営業している「寄席」があって、そこに行けばすぐに落語を聞けます。通常は「昼席」「夜席」に分かれていて、1日2回興行です。
ただし、どんな落語家が何の噺をするのかは当日になってみないと分かりません(出演者は前もって分かったりしますが当日変更されることもあります)。
寄席では、「前座」「二つ目」「真打ち」という順番で落語家が出演します※。寄席が面白いのは、途中で入っても、途中で退席してもいいという点です(ただしマナーとして噺の途中で出てはいけません)。また、寄席では飲み食いは基本自由です。
東京の定席は、『鈴本演芸場』『新宿末廣亭』『浅草演芸ホール』『池袋演芸場』の4つです。大阪の定席は『天満天神繁昌亭』1つです。
各定席寄席の公式サイト
⇒参照:『鈴本演芸場』 http://www.rakugo.or.jp/
⇒参照:『新宿末廣亭』 https://suehirotei.com/
⇒参照:『浅草演芸ホール』 https://www.asakusaengei.com/
⇒参照:『池袋演芸場』 http://www.ike-en.com/
⇒参照:『天満天神繁昌亭』 https://www.hanjotei.jp/
※上方落語の場合には、落語家に「前座」「二つ目」「真打ち」という区分けはありません。また「立川流」は創始者の談志師匠の方針で基本寄席には出演しません。立川流の落語家の話を聞きたい場合は落語会に行きましょう。
「2」の「落語会」の方は、コンサートやライブのように劇場で行う、いわばイベントです。真打ちの師匠方は大きなコヤで行いますが、修行中の前座・二つ目の場合は、小さなコヤ、ライブハウスやそれこそ飲み屋などのお店の一角で行われることもあります。好きな落語家ができたら、その人の落語会に通ってみるといいでしょう。
落語は一期一会のライブ
寄席にしろ落語会にしろ、落語という話芸はまさに一期一会な「ライブ」が肝です。落語家のその日の体調や気分によっても「出来」が変化します。
落語ファンにとっては「○○師匠のあの日の芝浜を聞いた!」というのが勲章になったりするのです。寄席、落語会に繰り返し行くことで、その日、そのときにしか巡りあえない宝物のような芸の瞬間に出くわすかもしれません。
また、寄席ではお目当ての師匠以外に「おっ!」と思う落語家に出会うことがあります。いろんな落語家が出演するので、寄席は自分好みの落語家を発見する場でもあるのです。さら、前座、二つ目の修行中の落語家の成長を見届けることができます。「ずいぶんうまくなったなあ」といった感想を持つことができるのも繰り返し寄席に通えばこその醍醐味です。
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とにかく一度は寄席に行ってみよう!
最後に、寄席の楽しさについて、東京の定席の一つである『鈴本演芸場』の鈴木敦席亭にお話を伺いました。『鈴本演芸場』は現存する最古の寄席で、鈴木席亭は七代目でいらっしゃいます。
――落語の面白さとはどんな点にありますか?
落語というのは歌舞伎や能といった伝統芸能に入りがちで、昔の難しい言葉が飛び交っていると思われるかもしれませんが、そんなことはありません。前知識がなくても楽しめるもので、昔から変わらない人間の失敗や人情を描いたもの。いわば「人間のあるある」を語っています。ですので、若い大学生の皆さんが聞いても楽しめると思いますよ。
――寄席の楽しさとはなんでしょうか。
寄席は芸人が入れ替わり立ち代わり登場して、お客さまに楽しんでいただくところです。隠れ家的な楽しみが広がっている場所とでもいえばいいでしょうか、とにかく大人がのんびり、ゆったり過ごせる場所になっています。
一公演は4時間ありますが、芝居などとは違って出入りも自由ですし、飲み食いができるというのも他とは違う珍しいスタイルでしょう。
寄席は「ゆるさ」が魅力の大人の遊び場です。
お目当てのアーティストが登場するステージだけ見る、という音楽フェスのような楽しみ方もできます。また、寄席に来て新しい芸人を発見することもあります。音楽フェスでも、このアーティストはなかなかいいな、と思ったりすることがあるでしょう。自分の好きな噺家を発見できるのも寄席の魅力ですね。
――大学生にメッセージをお願いします。
コロナ禍によって学生生活をまともに送れなかったりして自分の将来に不安などがあるかもしれません。もし、悩みを抱えていらっしゃったら一度寄席においでになるといいと思います。ああ、こういう世界もあるんだと驚いていただき、不思議な世界で生きている芸人さんたちの芸を楽しんでもらえればと思います。
大学生の皆さんは、これから社会に出るとびっくりするような悪い大人に出会うかもしれません(笑)。前記のとおり、落語は昔から変わらない人間の話です。会ったこともない悪い大人がいっぱいいることに社会に出る前に気付けますし、ああ、そういうことだよなと腑に落ちることもあるでしょう。落語を聞いたり、落語家を見ることで悩みの解消になるかもしれません。
せっかく江戸時代から日本の娯楽として続いてきたものです。ぜひ一度寄席に来て、落語を聞いてみてください。もし一人で来にくかったら友達と一緒にいらっしゃっても十分楽しめますよ。
――ありがとうございました。
※『鈴本演芸場』では通常興行4時間で3,000円ですが、学生割引があり2,500円で楽しめます。
解決!! 落語おどおど(落語の魅力編)
落語は「生」で聞いてこそ好きになれる話芸です。とにかく落語を体験してみたいと思ったら定席の寄席に行ってみることをお勧めします。そのときに好みの落語家に出会えなくても、何回も行くことであなたが好きになれる落語家に出会える可能性があります。ぜひ一度は寄席に行ってみてください。次回は、寄席でのマナーなどについてご紹介します。
文:高橋モータース@dcp
編集:学生の窓口編集部
取材協力:鈴本演芸場 七代目席亭 鈴木敦
⇒『鈴本演芸場』 http://www.rakugo.or.jp/




























