#生き方コンパスVol.1:はあちゅう 「人はいるべきところに流れ着くもの。だから安心してください」

編集部:まっつ
2018/11/15
未来発掘
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「電通を選んだのは、見栄えがいいっていうのもありました」とあっけらかんと語り、自身のことを「保守的で、周りに染まりやすい」と分析する。

“はあちゅう”といえば、「強い個性を放ちながら誰とも違う人生を歩むアクティブな女性」というイメージが強かったから、その言葉は意外だった。

大学生時代からブログで名を馳せ、日本のトップ企業である電通に就職するものの、入社2年目でベンチャー企業に転職。その後フリーランスとなってネットを中心に幅広く活躍し、夢だった作家デビューも果たすという、一見すれば完全に勝ち組の人生。

でも話を聞けば聞くほど、その選択ひとつひとつに悩み、迷いながら、一歩一歩と前に歩んできた人間味あふれる人なのだと感じる。

違いがあるとすれば、悩みながらも発動される行動力と、決断の思いきりの良さだろうか。そしてそれこそが、誰にも真似できない彼女らしさであり、彼女が人生を切り拓いていくための武器となっている……のかも?

どんな道を、どんなふうに乗り越えて今の彼女にたどり着いたのか知りたくて、これまでのキャリアを振り返ってもらいました。

今、未来に悩んでいるあなたにこそ読んでもらいたい、はあちゅう奮闘記です。

納得いかない配属先から1年で抜け出すまで


――まず、就職先はどうやって決めたんですか?

はあちゅう:当時は外資系の投資銀行やコンサルティング会社に行くことがステータスのようになってたので、まずは外資系コンサルティング会社を受けてみたんです。

そしたらスコンッと落ちてしまって。私、大学生の中ではできるほうだと思ってたけど、全然お呼びじゃないんだなって、自信を喪失して。そこから、もう落ちるのはイヤだから、ちゃんとやりたいものをじっくり考えようと思いました。

――その答えが電通だった?


はあちゅう:自分がやりたいことを考えたら、「いつか本を書きたい」っていうのがあったんですね。でもいきなりは書けないから、いつか書くためにどういうルートがあるだろうと思ったときに、3つ思いついたんです。

1つ目は、外資系の投資銀行とかで高給取りになって、ガーッと稼いで早く引退して、貯蓄で暮らしながら書くこと。2つ目は、当時アメリカ人の彼氏と付き合ってたので、アメリカ本社の会社を受ければ、数年後は海外に行って、本社で働きながら海外生活とかの本が書けるかなと。で、3つ目は自分でもちょっと興味があったマスコミ、広告系。

もともと、メディアには興味があって、ゼミでもメディアの勉強をしていたし、憧れの林真理子さんが元コピーライターだって知ってから、漠然とした憧れもあって。マスコミだったら、たぶん毎日楽しいことが起こるから、そういうことも本に書けるじゃないかと思って。


――目的が本を書くことだけあって、職種が幅広いですね(笑)。

 
はあちゅう:そうですね。海外に行けるということでCAも受けました。最終的には、サンフランシスコが本社の外資系と、電通の内定をもらって、CAは選考途中で。日本の大手企業のほうが新卒の価値が高いはずだし、日本でビジネスをやっていくうえで必要な知識を教えてくれるだろうから電通かなと思って決めました。

――そしていざ入ってみると、最初の所属先が中部支社だったと。
 

はあちゅう:もうほんと嫌すぎて……(笑)。東京支社に希望を出していて、第二志望も大阪だったのに、まさかの中部支社で。しかも配属発表があった日にはもう家に段ボールが送られてきて、3日後には名古屋にいなくちゃいけなかったんです。母と2人で荷物を開けながら「あれ?なんで私は名古屋にいるの……?」って感じだったし、さみしがり屋の母は横でワンワン泣いてるし。

――そこで会社を辞めることは考えなかった?


はあちゅう:その選択肢はなかったです。わりとコンサバな環境で育って、会社を辞めるなんて不祥事レベルだと思っていたので……。

――不祥事!(笑)でも確かに、せっかくの電通ですもんね。すんなり希望の部署に行けないのは大企業の最初の壁かとは思うんですが、そこから何かアクションは起こしたんですか?


はあちゅう:どうやったら東京に戻れたのかっていうヒアリングを、会う先輩全員にしました。違う部署の先輩とかにも、「新入社員です!ランチ連れて行ってください!」みたいな感じでメールして。


――さすがの行動力ですね……!
 

はあちゅう:いろいろヒアリングした結果、私が東京に戻れるとしたら、1年目の終わりにあるコピーライター試験に受かって配属変えになるパターンだと。だったら12月の試験に絶対受かろう!と思って、全く家具を買いませんでした。家の居心地がよかったら、「名古屋もいいかも……」って気持ちになって、名古屋になじんじゃうんじゃないかと思って。


――その後、晴れて試験に合格、東京に異動したわけですが、入社2年半でベンチャー企業に転職を決めたんですよね。

はあちゅう:憧れだったコピーライターになって、電通に不満があったわけじゃないけど、100%理想の働き方ではないなっていう自覚があったんですよね。いつか「自分の名前で自分の文章を世に出したい」っていう気持ちがあったんですけど、コピーライターって「企業の言葉を翻訳して伝える」仕事なんですよ。だから自分がやりたいこととはズレてるなと思ってきて。

それに、自分がコピーライターとして圧倒的だという自信もなかった。クリエイティブ同期もたくさんいたんですけど、研修で自分よりいい作品を提出してる同期の才能をうらやましく思ったりもしたし。だから、この中でみんなとレースをするよりは、ほかのキャリアを積んだほうが自分の人生としても面白い方向に転がっていくだろうなと。今、同じ場所にいる人の中で、まだ誰もやってないことをやらなくちゃと思って、転職を決めました。

――せっかく入った大企業を辞めるのに、迷いはなかったんですか?


はあちゅう:なかったわけではないですが、トレンダーズという会社の創業社長の経沢さんに「転職しませんか?」って直々にオファーをいただいて、翌日に行くって決めました。私は自分が保守的だっていうのも分かってるし、オファーをもらった勢いで辞めないと一生電通から出ないだろうなと思ったので。だったら今すぐ辞めなきゃと思いました。

“すごい”の基準は自分で作るようになった

 
――そこからさらに働き方を変えて、現在はフリーランスとなって活躍されていますが、さまざまな働き方をしていくなかで“働くこと”への意識って変わりました?


はあちゅう:学生のころは社会人って自由がない窮屈な生活なんだと思ってたんですよ。OB訪問とかしても、「今のうちに楽しんでおきな」みたいに脅してくるじゃないですか(笑)。

でもいざ社会人になってみたら、学生の頃はお金を払って勉強してたのに、社会人はお金をもらえて勉強もできて超ラクじゃん!て思って。確かに忙しいし大変ではあるけど、こんなに楽しいなら誰か早く教えてよ!って(笑)。


――なるほど(笑)!今は働き方もいろいろ選べる時代ですが、はあちゅうさんはどういう働き方が好きですか?



はあちゅう:これは相性でしかないと思うんですけど、私はフリーランスがいちばん合ってるなって、大企業、ベンチャー企業、フリーランスの全部を体験してみて思います。フリーランスになって気づいたのが、10時にあそこの席にいなきゃいけない、みたいに同じ場所に拘束されることが実は合ってなかったって気づきました。優等生気質だから、やろうと思ったらやれるんですけど。

今、何の予定もない日に全部が自分の時間にできるっていう日がすっごく楽しくて。でも、同じ家にいるのでも、「宅配便が何時から何時まで来るので絶対いてください」って言われると、とたんに気持ちが沈むんですよ。

――めちゃくちゃ分かります(笑)。でもその性格だと、会社員生活のストレスは大きかったでしょう?


はあちゅう:私けっこう、周りに染まりやすいと思うんです。なので、会社員のときは会社員の考えに染まってたんですけど、フリーランスになって自分と向き合える時間が増えたのがよかったなと思います。

私、ステータスだったり、人にどう見られるかってことでキャリアを決めてきたんですね。電通を選んだのも、広告が好きだっていうのもあったけど、どこかで見栄えがいいっていうのもあって。自分というものがしっかりあったわけではなくて、どこか人にすごいと思われたいっていうのがずっとあった。それが、フリーランスになってからは全部なくなった気がします。


――もう、人にすごいと思われなくてもよくなった?


“すごい”の基準を自分で作る感じになりました。業界をまたいで転職することで、“すごい”の基準はそれぞれなんだと分かったから。

例えば、電通ではカンヌ広告賞をとったクリエイターがすごい人だったけど、トレンダーズに行ったら「カンヌって映画祭以外にあるの?」みたいな。広告業界で知っていて当たり前の人物名もまるで通じないんです。

自分が絶対的だと思ってたものが相手の絶対ではないんだなって分かったことで、もっともっと柔軟で自由になれた気がします。

人生のムダはリサイクルできると思います

 
――はあちゅうさんに悩みができたとき、最初にすることはなんですか?


はあちゅう:紙に書くことですかね。メリットとデメリットを紙に書いて選ぶようにします。あとは、直感を信じる。直感で、こっちのほうがワクワクするなとか、本当はこっちのほうがやりたいんだろうなっていうのを大事にしてます。

 
――ちなみに、これまでのキャリアの中で一番悩んだ時期は?


はあちゅう:電通にいたときですかね。コピーライターという憧れの職について、日々いろんな経験をさせてもらっているにも関わらず、なんとなく自分が成長できてない気持ちだったり、自分に対しての不満がたくさんありました。こんなことをやってていいんだろうかっていう焦りがたくさんあって。あのときが一番つらかったですね。


――なんだかはあちゅうさんのキャリアだけを見ていると、ムダにした時間がないように見えます。毎回、間違いのない決断ができているなという印象で。


はあちゅう:いや、ムダにしてきた時間はけっこうあったと思いますよ。すごいムダなことはたくさんあったんですけど、それを嘆いても時間って返ってこないですし、そのときムダだと思ったことが何かの役に立つこともあったり。

例えば私はフリーランスが向いてるとわかったけれど、もし会社員を経由せずにいきなりフリーになっていたら、社会人の基礎を叩き込まれることもなく、あと自分の仕事がどれくらいの金額の価値があるのかを知ることもなく、きっと安いフィー(費用)で使われてしまっていたと思います。

あと、やりたくないことをやっているときほど、やりたいことが明確に分かる。電通時代に、コピーライターってもしかしたら自分に合わないんじゃないかと思い続けたことが、今のお仕事に導いてくれていたりしますし。だから、ムダなことを嘆くよりは、それをいかに有益なことに変えていくかということを考えると、人生のムダのリサイクルができるんじゃないかなと思います。


――ムダをムダのままにするかどうかは自分次第ということですね!では最後に、就活に悩む学生にメッセージをお願いします。

はあちゅう:就活中に学生が思ってしまいがちなのが、「一生この会社に勤めるんだ」っていうこと。だから就活がうまくいかなかったら終わりだ!とか、この会社に行けなかったら人生は失敗だとか、思いがちなんですけど。

でも最終的に、人はいるべきところに落ち着くと私は思っていて。もし目の前に落ちてきた選択肢が自分の理想どおりではなかったとしても、最終的にこれでよかったって思えるようにしていくのは自分なので、「理想どおりじゃない就活でも安心してください」っていうことは伝えたいですね。

私も電通からフリーランスまで、自分が意図したわけでも戦略的にやったわけでもないけど、なんか流れ着いたんですよ。そうやってキャリアって、なんとなく流れていって、その人のいるべき場所に収まっていくと思うので、今目の前にあるものが自分にとっての最適解なんだって信じて、その瞬間、その瞬間を誠実に追っていてほしいなと思います。

PROFILE:はあちゅう(ブロガー・作家)

「ネット時代の新たな作家」をスローガンに、読者と直接つながって言葉を届ける未来の作家の形を摸索中。著作に「とにかくウツなOLの、人生を変える1か月 」「半径5メートルの野望」、「通りすがりのあなた」など。月額課金制マガジン「月刊はあちゅう」が好評。


取材・文/加治屋真美
撮影/洞澤佐智子
編集/マイナビ学生の窓口 ミラホリ編集部

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