【世界文化遺産「軍艦島」に上陸してみたい…】まるで海上に浮かぶ要塞 はじめての「軍艦島おどおど」#あつまれ!_おどおど学生。
日本全国のコアなエリアをご紹介するシリーズ記事です。今回は長崎県の通称「軍艦島」。九州本島から船で40分ほどの距離にあります。島を遠くから見ると軍艦(戦艦「土佐」)に似ていることからその名で呼ばれました。
軍艦島という名前もさることながら、最盛期には約5,300人もの人が住んでいた島がすっかり丸ごと廃墟になっているという点も魅力です。かつての人の営みとそのはかなさを感じさせてくれる廃墟には抗し難い魅力があるもの。
学生読者の皆さんも一度は行ってみたいと思われるのではないでしょうか。
⇒ ハウステンボスだけじゃない!長崎のおすすめデートスポット15選!
▼「ハウステンボス」おどおど記事一覧
1. はじめての「ハウステンボス」おどおど(お勧めアトラクション編)
2. はじめての「ハウステンボス」おどおど(満喫するポイント編)
そもそも「軍艦島」とは?
正式な島の名称は「端島(はしま)」です。海底炭鉱を開発するために岩礁の周りを埋め立てて造られた人工島です。
端島の歴史は古く、石炭の発見はそもそも江戸時代、1810年のこととされます。1890年(明治23年)に炭鉱の権利がすっかり三菱に売却され、以降開発が本格化します。島は埋め立て・拡張され、炭鉱で働く皆さんやその家族が移住して町に発展しました。
1916年(大正5年)には日本初の鉄筋コンクリート建ての集合住宅が建設されています。日本の産業革命の進展に、エネルギー源・石炭の供給を行って貢献したのが端島の歴史です。建物がどんどん建設された結果、海上からは「軍艦に見える」として、大正ごろから「軍艦島」の呼称が使われるようになった――と見られています。

1921年には、『長崎日日新聞』が、当時「三菱重工業 長崎造船所」で建造中だった戦艦「土佐」に似ているとして、記事内で「軍艦島」と書いているとのこと。
昭和になり、第2次世界大戦後も石炭の採掘は行われ、軍艦島の町は発展を続けました。
ライフラインとしては、1902年には発電所が建設されましたし、1917年には送電用の海底ケーブルが敷設(発電所は変電所に)。難しかったのは真水の確保です。蒸留水を作る装置を備えており、給水船もあったのですが、人口が増加して水不足は慢性的なものでした。最終的には1957年に日本初の海底水道が通されたことで解決します。
軍艦島の最盛期は1960年代です。人口は約5,300人と増え、なにせ小さな島ですから、当時の人口密度はなんと日本一を記録。小中学校、病院を備え、映画館やパチンコホールといった娯楽施設もあるという一つの立派な街となっていました。
しかし、石炭から石油へのエネルギー転換が起こり、石炭の採掘は下火になり、街は衰退していきました。1974年にはついに閉山。軍艦島も無人島になりました。
その後、廃墟や無人島を愛する好事家にとって軍艦島は一種の聖地に。「一度は上陸してみたい」という憧れの島だったのですが、2009年にやっと一般人の上陸がOKとなったのです。
2015年には軍艦島の一部が「明治日本の産業革命遺産 ~製鉄・製鋼、造船、石炭産業~」の世界遺産に登録されています。
ちなみに『007 スカイフォール』(2012年公開)に廃墟の島「デッド・シティ」が登場しますが、これは軍艦島をロケハンした成果です※。
※ロケハンを行ったものの、廃墟となった建物が崩れると危険なので現地では撮影は行われませんでした。ロケハンした写真を基にセットを組んで撮影したものが本編で使われています。
▼こちらの記事もおすすめ!
1.『古墳見学おどおど』を解決 #古墳の魅力編
2.『はじめての離島おどおど』を解決 #八丈島編
3.『青春18きっぷおどおど』を解決 #購入編
軍艦島に行くには?
2009年4月22日から一般人も軍艦島に観光で上陸できることになりましたが、それまでは関係者以外は上陸禁止でした。
現在では、観光ツアーで訪れることができます。軍艦島上陸のクルーズを数社が行っており、ガイド付きのものもあります。
例えば、最も早く上陸ツアーを行った『やまさ海運』では、「軍艦島上陸周遊クルーズ」を「大人:4,200円」(+「長崎市施設使用料・軍艦島上陸料:310円」)で行っています。同社の船は「1便:8:15~受付開始」「2便:12:00~受付開始」と1日2便運行しています。
⇒参照・引用元:『やまさ海運株式会社』公式サイト「軍艦島上陸周遊クルーズ」 https://www.gunkan-jima.net/
他にも、
●『軍艦島コンシェルジュ』(株式会社ユニバーサルワーカーズ)の運営する「軍艦島上陸ツアー」
スタンダード 大人:5,000円 + 310円 https://www.gunkanjima-concierge.com/
●『有限会社 高島海上交通』の運営する「軍艦島上陸クルーズ」
大人:3,600円 + 310円 https://www.gunkanjima-cruise.jp/
●『株式会社シーマン商会』の運営する「軍艦島ツアー」
大人:3,600円 + 310円 https://www.gunkanjima-tour.jp/
などがあります。
どのツアーも1日2便です。軍艦島の近海を周遊するコースもありますが、これもなかなか乙なものです。
解決!! 軍艦島おどおど
筆者は昔、漁師さんにお願いして軍艦島に乗せて行ってもらったことがありますが、現在では観光船が就航しており、手軽に訪れることができます。最盛期には人があふれた「日本の産業革命に尽くした島」がただただ朽ちていくという、哀しいながらも美しい光景を目の当たりにすることができる得難い場所です。学生読者の皆さんのぜひ一度訪問してください。
文:高橋モータース@dcp
編集:学生の窓口編集部
関連記事
1.「ハウステンボス」おどおど(1)(お勧めアトラクション編)