未来のデータサイエンティストが登場? 京都女子大学生がパナソニックISに提案するデータ利活用のアイデアとは
パナソニック インフォメーションシステムズ(以下、パナソニックIS)は産学連携企画として、京都女子大学データサイエンス学部と連携し「DXの取り組み」について考えを深めるワークショップを実施しました。
全2回に分けて行われ、同学部の学生14名が参加。京都女子大学で開催された第1回では、パナソニックIS社員による講義を通して、データの利活用について理解を深めました。

そして第2回は、2025年2月にオープンした新オフィス「Panasonic XC OSAKA」に場所を移し、オフィス見学を実施。

その後「パナソニック製家電のIoTデータを活用した、ビジネス価値の創出」をテーマにグループごとにプレゼンテーションが行われました。
学生ならではのアイデアとは……? イベントの様子をレポートします。
パナソニックISの取り組みからDXを考える!
データサイエンス学部・中村智洋教授の挨拶で幕を開けた第1回は、2025年10月29日に実施。データ&アナリティクスソリューション本部 アナリティクスソリューション事業部 経営戦略・SCMデータ分析部 SCM・製造チーム所属の林大将さんから、パナソニックグループの「データサイエンスの活用事例」について説明がありました。

まず林さんは、パナソニックグループの目指すDXを解説。パナソニックグループでは、グループを横断するDXへの取り組みを「Panasonic Transformation(PX)」とし、以下「PX:7つの原則」に沿ってDXを推進しているといいます。
(1)グループの重要な経営資源であるデータを、ステークホルダーの「幸せの、チカラに。」つなぐ
(2)経営者がデータの利活用と業務プロセスに責任を持つ
(3)「お客様を誰よりも理解する会社」になるために、顧客接点の多様性を活かし、データを徹底利活用する
(4)業務プロセスを絶えず進化させ競争力の源泉とする
(5)システム化の前に、現場の業務プロセスの現状を把握し、標準化の範囲を明確にする
(6)標準化の定義を明確にし、経営者がコミットする
(7)現場も含めたグループ内で、データ・テクノロジーを利活用できる人材を増やし支援する

当事業部は、「マーケティング」「IoT」「製造」「社内業務」の4領域においてビジネス現場のデータ活用を支援しています。「ビジネスアナリシス」「データアナリシス」「データエンジニアリング」を掛け合わせたデータ&アナリティクスソリューションをワンストップで提供することにより、事業現場におけるデータドリブン経営の加速に貢献しています。
また、パナソニックグループは様々な商材を取り扱う特性上、あらゆる場面でデータを取得でき、価値を生み出すことが可能です。「データ分析の仕事の面白さは、『変革の中心であること』『貢献範囲の広さ』『自由度の高さ』にあり、テーマごとに新たな知識を得られたり、日々進化するツールや技術を武器にビジネスの価値を創出できたりすること」と、林さんは話しました。
データ分析のビジネス現場での活用においては、業務プロセスの改善が求められます。特にDX時代では、データ分析が「意思決定」につながらなければ意味がありません。単なるIT化に留まらず、プロセス自体の進化・変革に目を向け、ビジネス課題を正しく把握しながら活用・成果創出まで見届けることが重要です。
事例を交えながらデータ分析のビジネス現場での活用を示しつつ、「データサイエンティストにはデータサイエンスやデータエンジニアのスキルに加え、ビジネス力も大きな要素になる」と、学生たちにメッセージを送った林さん。第2回のグループワークの課題(パナソニック製家電のIoTデータを活用した、ビジネス価値の創出)を発表したうえで、ビジネス現場での実践としてどのような点に着目すべきかヒントを授け、講義を締めくくりました。

講義終了後は、パナソニックIS社員と学生たちがコミュニケーションを深める機会があり、賑やかな雰囲気に。講義中は緊張の面持ちだった学生たちも、リラックスした表情で会話を楽しんでいました。パナソニックISが大阪本社移転を記念して制作した冊子「大阪本社ガイドブック」に目を通し、「すごい!ホテルみたい!」「大阪駅から近くて便利そう!」と声を弾ませて、次回に向けてモチベーションが高まっている様子も伝わってきました。

アイデアを出すときのコツについて質問させていただいたのですが、「AIを活用してみては」とアドバイスしてもらったので、早速試してみたいと思います!
BI(Business Intelligence)とAIの違いがよくわかっていなかったのですが、講義を聞いて初めて知れたので、とても勉強になりました。
パナソニックISのオフィスに学生たちも興味津々!
2025年12月3日に行われた第2回のワークショップは、オフィス見学からスタート。経営企画部 広報企画チームの北川愛菜さんの案内のもと、2025年2月にオープンしたばかりの「Panasonic XC OSAKA」を学生たちが見学しました。

大阪府内に点在していた8か所のオフィス拠点を集約した「Panasonic XC OSAKA」は、「働きやすいオフィス」「出社したくなるオフィス」を目指すため、社員へのアンケート調査、社員によるワークショップなどを実施し、そこで集められた声や意見をもとにしてコンセプトやデザインが決まっていったのだとか。

目指したいワークスタイルのキーワードは「Unique」。多様な働き方を認め合い、個性を発揮して働くことができるようなオフィス空間が広がっています。

9階の来客・共用エリアを見学し、最先端かつおしゃれなオフィスに興味津々の学生たち。

12階のスカイテラスでは、梅田の高層ビルを臨む北区の街並みを眺めながら目を輝かせていました。
グループワークでプレゼン内容をブラッシュアップ!
オフィス見学後は、グループワークとプレゼンテーションの時間。まずは林さんが第1回を振り返りました。

その後、参加するデータ&アナリティクスソリューション本部の社員4名が挨拶を実施。

上田平馬です。経営戦略・コーポレートチームに所属し、調達データの分析・可視化による業務プロセス改善に関するテーマを担当しています。大学では機械工学を専攻し、入社後は生産技術職として電子部品の工場設計に携わっていました。
池田航です。2019年にパナソニックISに中途入社しました。前職では製造業におけるERPや生産管理システムを手がけていましたが、現在はパナソニックグループ内や外向けのお客さまに対し、製造業向けのIoTプラットフォームの企画から提案・導入、保守まで担当しています。
眞梶結衣です。大学院では数学を研究し、ダイヤモンド極小曲面の対称性の表現について研究していました。2023年に入社し、パナソニックグループのIoT家電データの見える化業務に携わり、現在はPower Platformを使ったデータの利活用・業務効率化の推進を担当しています。
村嶋春希です。大学では情報学部に所属し、データ分析を専攻していました。2024年に入社し、パナソニックグループへのGoogle Analytics(GA)の提供業務に携わりながら、PXアンバサダーやDIYA※ の事務局を担ったり、Power BIやTableauを用いたデータの利活用を推進したりしています。
※DIYA:パナソニックグループ向け“セルフサービス型データ分析プラットフォーム”サービスの名称
パナソニックIS社員に続き、学生8名も自己紹介。出身地や趣味を交えながら、プレゼンテーションに対する意気込みを語っていました。

なお、プレゼンテーションのテーマは「パナソニック製家電のIoTデータを活用した、ビジネス価値の創出」。ねらい・目的は、データ分析のビジネスへの適用を前提とした、具体的かつ実践的な提案を体験する点と、答えのない仕事に対して、自分たちで考え、提案するスキルをつけることの2点です。
テーマ:
パナソニック製家電のIoTデータを活用した、ビジネス価値の創出
ねらい・目的:
・データ分析のビジネスへの適用を前提とした、
具体的かつ実践的な提案を体験する
・答えのない仕事に対して、自分たちで考え、
提案するスキルをつける
プレゼンテーションの前には40分間のグループワークが設けられ、2組に分かれたパナソニックISの社員たちがプレゼン内容のブラッシュアップをサポート。活発なディスカッションが繰り広げられました。

パナソニックISの社員たちからは「ストーリーを意識した構成にすれば、より伝わりやすくなる」「ターゲットを絞ってポイントを際立たせれば、訴求力が増す」など、具体的な指摘が次々と飛び出し、学生たちはそのたびに資料を細かく修正し、限られた時間の中で熱心に対応していました。

40分間のグループワークは、あっという間に終了。いよいよプレゼンテーションに。ここからは各グループの発表を簡単にご紹介します。
学生たちが「パナソニック製家電のIoTデータを活用した、ビジネス価値の創出」をプレゼンテーション!
Laundry Assist IoT-暮らしに寄り添うスマート家電-

左から、藤本羽奏さん、戸川結稀さん、稲毛宇希さん、井上紗希さん
このチームがターゲットに設定したのは、大学生活や仕事に追われ、すべての家事をひとりでこなさなければならない「ひとり暮らしの学生や社会人」です。
まず現状分析として、家事における負担感を調査したアンケート結果を提示。「料理」「掃除」と比較して、「洗濯」は「面倒な家事」の第2位にランクインしている現状を紹介しました。

料理や掃除はロボット掃除機などで自動化が進んでいる反面、洗濯の分野は未だ完全な自動化に至っていないと指摘。さらに、具体的な課題として「部屋干し時の乾きにくさ」「終了時間が読めず生活リズムに合わせづらい」「急な天候変化への対応」「乾燥機による火災や防水製品の誤った脱水による故障といった安全リスク」の4点を挙げ、これらを解決するために「洗濯における失敗と危険をIoTで未然に防ぐ」という理想の姿を描きました。

この理想を実現するためのソリューションとして提案されたのが、洗濯機、衣類乾燥除湿機、電気脱臭機(脱臭ハンガー)、浴室換気乾燥機・エアコンという4つの家電をIoTで連携させるシステムです。

具体的には、主軸となる「IoT洗濯機」において、重量検知による洗濯タイミングの通知や、干したい時間から逆算して運転を開始するタイマー機能を提案。防水製品や異常な振動パターンを検知して事故を防ぐ安全機能の搭載も盛り込みました。

また、現状ではIoT化が進んでいない「衣類乾燥除湿機」については、洗濯物の量に応じたモード提案や、部屋の環境に合わせて最適な位置へ自動移動する機能、乾燥完了予測の通知機能を考案しました。

加えて、設置スペースに制限があるひとり暮らしの住宅事情を考慮し、代替案として既存の設備を活用するアイデアも提示されました。「電気脱臭機(脱臭ハンガー)」や「浴室換気乾燥機・エアコン」をIoT化し、臭いや湿度のセンサーデータを用いて乾燥状況を把握したり、外出先からスマートフォンで遠隔操作したりする仕組みです。

プレゼンテーションの総括として、このシステムはパナソニックグループが掲げる「一人ひとりの暮らしに寄り添う」というコンセプトに合致していると評価。

一連のIoT化によって、家事時間の短縮(効率化)だけでなく、冬場に多い乾燥事故や水漏れトラブルの防止(安全性)、個人の生活スタイルや季節に合わせた家電の制御(価値の創出)が実現できるとし、単なる自動化を超えた、生活の質を向上させる提案として締めくくられました。

グループワークでのフィードバックも反映していただきながら、とてもうまくまとめられていたと思います!製品を活用した提案が具体的なのが特に良かったです。はっきりとイメージが湧きました。強いて言えば、どのようにすれば本当に実現できるのかまで考えられると、よりブラッシュアップできると思います。
最後に評価のところまで言及していただいて、非常にわかりやすかったです。
ひとり時間の安全をPanasonic家電が支える社会へ
ドアホン×Clouge SQUARE×AIによる「安心・防犯・配送最適化」ソリューション

左から、西川琴音さん、伊藤光希さん、高橋心羽さん、井上陽香さん
このチームがテーマに掲げたのは、「ひとり時間の安全をパナソニック家電が支える社会」です。共働き世帯や単身高齢者の増加に伴い、子どもや女性、高齢者が家でひとりで過ごす「ひとり時間」が増えている現状に着目。不審者の侵入や急病、事故、あるいは宅配トラブルなど、当事者だけでなくその家族も抱える「不安」を解消するためのソリューションを発表しました。

まず現状分析として、3つの社会課題についてデータを交えて提示しました。1つ目は子どもの事故です。3歳児の転落事故が多く、その7割以上がベランダや窓から発生している実態を紹介し、親の目が届かない一瞬の隙にリスクが潜んでいると指摘。

2つ目は高齢者の孤立死で、死者数の半数以上を高齢者が占め、年々増加傾向にあると述べました。

3つ目は宅配便の再配達問題です。再配達の理由の多くが「配達を知らなかった」「忘れていた」といった情報共有不足によるものであることを示し、配送業者の負担が社会問題化していると警鐘を鳴らしました。

これらの課題に対し、パナソニックグループの強みである「家電の普及率」と「蓄積された生活データ」を活かした「Life with Panasonic」という価値提案を行いました。これは、家電やセンサーが生活に自然に寄り添い、危険やトラブルを未然に防ぐ世界の実現を目指すものです。

具体的な解決策として、以下の3つを提案しました。
・AI搭載ドアホン(屋外センサーカメラの強化)
AIが家族の帰宅パターンを学習して予測・記録するほか、訪問者が段ボールを持っているかを画像認識することで配送業者を識別する。

・スマートホームシステム「Clouge SQUARE」の防犯強化
居住者の生活パターンを学習して照明を自動制御したり、長期不在時に在宅を装う「ランダム点灯モード」を搭載したりすることで防犯性を高める。

・家族見守り専用アプリの開発
ドアホンや「Clouge SQUARE」と連携し、窓の施錠忘れや子どもの危険行動を検知して通知する機能や、配送業者の来訪をリアルタイムで知らせる。

このプレゼンテーションでは、提案によるメリットを利用者と企業の双方の視点でまとめていました。利用者にとっては、防犯性の向上による安心感や、再配達の手間削減、子どもや高齢者の見守りが可能になる点を強調。一方、パナソニックグループにとっては、機器のセット販売による売上増や、AI・クラウド連携のサブスクリプション化による新たな収益モデルの創出、さらには配送業者との連携による新規事業展開や、社会課題解決企業としてのブランドイメージ向上が期待できると結論付けました。

こちらのフィードバックを限られた時間で取り込むのは大変だったかもしれませんが、課題の段階からデータや事例をもとに抽出し、提案につなげている点が非常に良かったです。改善するところがあるとすれば、メリットのところでしょうか。効果を数字で示すことができれば、より説得力が増すように思いました。
それぞれ背景にエビデンスがあって非常に説得力がありましたし、コンセプトはパナソニックグループの社員が考えたのかと思うくらい感動してしまいました。利用者側とパナソニックグループ側の双方にメリットがあり、win-winのモデルになるような、素晴らしい提案でした。収益を確保しようという姿が見えたことにも感心しましたが、効果のところに定量的な数字があれば、収益モデルの検討にまで踏み込めるのではないかと思います。
2グループの発表と講評が終わると、中村教授が感想を述べ、同本部アナリティクスソリューション事業部事業部長の黄地綾子さんが締めの挨拶を行ないました。
企業さまと連携し、学生が課題解決策を提案する「PBL学習」の機会はあまりありませんので、パナソニックISさまには大変感謝しております。本校のデータサイエンス学部は2023年春に国内女子大で初めて開設され、育成に力を注いでいますが、学生たちのプレゼン能力の高さを改めて実感できました。これからもスキルを伸ばし、頼られる女性データサイエンティストになってもらいたいと思います。

昨年に引き続き、本年度も産学連携企画にご協力いただき、ありがとうございます。答えのない仕事にどうやって向き合っていくか、難しかったのではないかと思います。ビジネスの世界では、どういう価値を出し、それに対して周りがどう評価してくれるかが、ひとつの指標になります。夢は膨らみますが、本当に実現性があるのか、ビジネスモデルとして成り立つのかなど、そういった観点でも考えてみると、将来につながるのではないかと思います。

また、データを意義ある情報に変えて、そこからインサイトを引き出すことがデータサイエンティストの仕事ではありますが、そこから具体策を出し、現場を巻き込んで実行に移していくことができるようになっていただきたいですね。皆さんが、そんなデータサイエンティストに成長されることを願っています。
大絶賛のプレゼンを繰り広げた学生からは、こんな声があがりました。
グループワークでは、資料の構成についてアドバイスをいただきました。どうすればより伝わりやすい流れになるのか、自分たちでは気づけない視点だったので、貴重なご指摘でした。
隣のグループはひとつの課題に対して深掘りしていて、仮説から提案の流れがとても綺麗で説得感もあり、勉強になりました。

並行で実施していた同学の現代社会学部との産学連携企画と同じく、充実感で満たされた学生たちの表情が印象的でした。

パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社、パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社、パナソニック ネットソリューションズ株式会社の3社は、パナソニックグループが注力しているソリューション領域の事業強化を目指し、2026年4月1日付で「パナソニック デジタル株式会社」を設立予定です。
また、パナソニックグループ全体で推進しているDXを包括した企業変革プロジェクト「PX(Panasonic Transformation)」を一層加速し、デジタル技術を活用した新たな価値創造と持続可能な社会の実現に貢献します。






















