学生・教員・職員が一丸となってSDGs普及を推進!「岡山大学SDGsアンバサダー」の取り組み

編集部:ろみ

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「SDGs」の達成に向け、全国の学生団体がその普及・促進に取り組んでいます。その多くは大学生たちが自らサークルを設立するケースですが、なかには例外も。

岡山大学は、以前からグローバル人材の育成や地域などとのパートナーシップ構築に取り組む“SDGsの名門校”。日本政府が実施している「ジャパンSDGsアワード」の第一回大会では特別賞に輝きました。このときの受賞は、国立大学としては唯一となる快挙です。

そんな名門大学は2019年に「岡山大学SDGsアンバサダー」任命制度を創出。SDGsに関心を持つ学生たちをアンバサダーに任命し、連携を取りながらさまざまな活動を展開しています。今回は岡山大学SDGsアンバサダー運営部の大野さくらさん、宮本あゆはさん、三宅優星さんにインタビュー。日頃の取り組みについて、お話をうかがいました。

岡山大学SDGsアンバサダーってどんな活動をしてるの?

――岡山大学SDGsアンバサダーの設立の経緯を教えてください。

(大野さん)始まりは、大学側が「岡山大学SDGsアンバサダー」を2019年7月に発足させたことです。もともと岡大はSDGsに力を入れている大学ですが、学長が、学生がもっと自発的にSDGsに取り組んでほしいという思いで、このアンバサダー制度を作りました。SDGsに関して活動したい人たちが任意に申し込む仕組みになっていて、運営はアンバサダー有志が行っています。

――皆さんはどんな活動がしたくてアンバサダーに申し込んだのでしょう?

私はもともと、国連の国際会議を学生たちが疑似体験する「模擬国連」に参加していました。以前、ニューヨークで開催された模擬国連に参加したとき、世界中から集まった学生たちとの意識の違いに驚いたんです。SDGsに関する知識が圧倒的に深く、日本は取り残されていると感じました。この模擬国連自体を岡大でも広めたいな、との思いでアンバサダーに申し込んだ感じですね。

(宮本さん)私がSDGsに興味を持ったのは中学校のときでした。地元の公民館の方たちが地域を良くするために、公園の騒音問題や子供の遊び場づくりに取り組んでいて、そこに私も参加するようになったんです。そんな経験もあって、大学に入ってからも地域の人たち一緒に何かをしたいな、と思っていました。

(三宅さん)私は専攻・研究がジェンダー関連なので、申請書にはそうした問題に取り組みたいと書いた気がします。

――岡大SDGsアンバサダーは、これまでどんな活動をされてきたんですか?

私は岡大SDGsアンバサダーから学生代表として、2019年10月に開催された「岡大統合報告フォーラム」に登壇しました。そこでは「SDGs大学」としてふさわしい大学になるための3つのアクションプランを提案しました。ひとつはSDGsへの認知度を上げるため「SDGsステッカー」を作ること。そしてインプットで終わるのではなく、アウトプットに繋げるために「SDGsの実践型授業」の実施、最後に高校と大学の連携を目的とした「SDGs入試」の導入ですね。学長には「ぜひやろう!」と賛同していただき、今ではどんどん実現に近づいています。

例えば、SDGsステッカーは岡大SDGsアンバサダーが主催した学生向けのワークショップで作成したり、「実践型授業」も12月に始まる4学期から開講できるように大学側と最終調整中だったりと、実現に向かって大きく動いていますね。

岡山大学創立70周年となる2019年10月に開催された「岡大統合報告フォーラム」。企業や行政のリーダーとして活躍される卒業生をパネリストとして招き、教員・職員・学生とともに「SDGs大学経営で創造する大学の価値とは」をテーマにパネルディスカッションを実施。

――さすが大学をあげて取り組むだけあって、熱量が高いですね。

2020年1月に開催した「未来懇談会」は、SDGsアンバサダーの中から12人くらいを選抜して、教員の先生、職員の先生と一緒に計6グループのチーム分けをし、「大学のキャンパス環境」「大学内の教育」「大学内の研究」の3つのテーマでディスカッションしました。それぞれ1年後、3年後、10年後の目標を立て、「もっと岡山大学をよくするにはどうすればいいのか」という視点で話し合いました。ここで生まれたアイデアも、今後の大学運営に活かされていく予定です。

2020年1月に開催した「未来懇談会」の様子。学長の槇野博史さんが中心に学生・職員が一丸となってSDGs達成に向けて活動をしているのが印象的。

アンバサダーたちが取り組む、多様で活発なアクションの数々

――他にはどんな活動をしているのですか?

岡大は、学食で特定のヘルシーメニューを食べると発展途上国へ1食分が寄付される「テーブル フォー ツー(TFT)」も導入しています。コロナ禍で食堂が閉鎖になってからは、お金の流れがストップしないよう、売上の一部を発展途上国の支援に充てる「TFT弁当」を期間限定で販売しました。

――コロナ禍はアンバサダーの活動にも影響が出ていますよね。

傘のシェアリングサービスも企画していたのですが、今は止まっています。私と大野さんがもともと「濡れた傘を入れるビニール袋って無駄だし、環境的にもよくないよね」って話していたのですが、そこでちょうど傘のシェアリングサービスを行っている企業が岡山にあることを知ったんです。

――布製の傘袋にするなどではなく、傘のシェアリングサービスなんですね?

学部棟の入り口に傘のシェアサービスを設置しておけば、屋内に傘を持ち入れる必要もなく、傘袋の出番もありません。あとは大学からGoサインが出れば大学に設置できる状態まできていますが、この状況で傘をシェアするのは衛生面でも気になるでしょうし、現在は企画が止まっています。

ただ、大学側にプレゼンしたところ、好感触は得られました。傘のシェアリングができれば、そもそも傘を持ち歩かなくていいし、コンビニでビニール傘を買う必要もありません。ビニール傘は使い捨てられてしまうことも多いので、シェアリングなら傘のゴミも削減できます。

――それはかなり有効なアイデアですね。三宅さんはいかがですか?

私は岡大SDGsアンバサダー内で、国際インドアくらぶ(@international_indoor_club)というグループを立ち上げました。英語を使ったオンラインの国際交流を目的としていて、昨日もちょうどマレーシアの人たちを交えてジェンダーをテーマに話し合いました。日本とは違って、宗教的な男女格差もある国なので、とても勉強になりましたね。

――どうやって海外の方と繋がりを増やしているんですか?

基本的には、友だちの輪をつなげていく形です。これまで中国、台湾、マレーシア、バングラディッシュ、カザフスタン、そしてフランスの方などに参加してもらいました。SDGsのゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」にも適った活動で、学生であれば誰でも参加できます。

三宅さんが中心となって運営している「国際インドアくらぶ(international_indoor_club)」ではinstagramで告知し、オンラインディスカッションイベントを定期的に開催している。

知識に貪欲なメンバーたち。中には地域の高校生も参加!

――個々の集まりだけあって、活動も幅広いんですね。皆さんの共通目標は?

岡山大学からどんどんSDGsを広げたい、地元と岡大生の架け橋になれればいいな、って思っています。地域の皆さんを巻き込んだSDGs関連のイベントをやりたい、というのも大きな目標ですね。SDGsが岡大とその地域から広がってほしい。これからも地元のよさを活かしながら、岡大ならではの活動ができればと考えています。

――アンバサダーにはどんなメンバーが揃っているんですか?

今のところ全員で135人で、そのうち岡大の学生が114人。それ以外は卒業生や大学職員、SDGsの活動をしている地元の高校生なんかも含まれています。

知識に貪欲な人は多い反面、主体性やノウハウ、運営力などはまだ課題が残りますね。でも、活動を通して一個人としても成長を続けているという印象を感じます。SDGsや社会問題に積極的な方がどんどん入ってほしいですね。多様性も大事なので、各々個性を活かして立ち回ってもらうという方針をとっています。

――活動を通じて社会的なノウハウや運営力まで身に付けられる。素晴らしいですね。

みんな成長していると思うし、基本的にはメンバー同士の仲はすごくいいと思いますよ。発足1周年記念でYoutubeライブを開催したのですが、アーカイブを見てもらえれば、仲の良さは伝わると思います(笑)。

他の団体より固苦しさとかもないかもですね(笑)。

――これからの活動予定は決まっていますか?

まずは先ほどご紹介したとおり、学内に貼るSDGsステッカーを仕上げること。そしてこれもさっきお話ししましたが、SDGsの実践型の授業を12月から始める予定になっていて、今は先生たちと話し合いながら内容を詰めているところです。今後はYouTubeライブも定期的に行いながら、ひとつひとつの社会問題に具体的にフォーカスした活動をしていけたらと思っています。

SDGsアンバサダーの岡大生に参加を呼び掛けて実施したワークショップ。関心のあるSDGsテーマごとに3つのグループに分かれ、自分たちが取り組んでいる活動の共有を行った。

――今後の抱負をお聞かせください。

岡大はSDGsに意識的に取り組んでいますが、学生の間では、まだSDGsが浸透しているとは言えない状況です。だから、私たちが活動することで、「自分も何かやらなきゃ!」と思ってもらえるように頑張りたいですね。運営部としても、SDGsのファーストステップを踏み出しやすいよう、もっといい意味で敷居を低くする活動をしていきたいと思います。

――最後に、読者へメッセージをいただけますか?

社会問題は、自分たちの身近なところでも起こっています。そこに注目すれば、自分たちができることも自ずと見えてくるはずです。私たちも、身近な小さな問題を解決するところから始めていますので、ぜひ、皆さんも身近な活動から始めてみてください。そして、ぜひ、僕たちに会いに来てください!(笑)

サークルプロフィール

岡山大学SDGsアンバサダー運営部:
宮本あゆはさん・三宅優星さん・大野さくらさん

岡山大学では槇野博史学長を先頭に全学をあげて積極的なSDGs活動を展開中。その活動の裾野をさらに広げるべく、在学中の大学生・大学院生・留学生が『学生アンバサダー』として任命され自治体や企業とも協力し、SDGs達成に向けて活動を行っている。

岡山大学×SDGsのHP

岡山大学SDGsアンバサダーTwitter

文:猿川佑
編集:マイナビ学生の窓口編集

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編集部:ろみ

編集部:ろみ

学生時代はスペイン語専攻。南米アルゼンチンに留学していたラテン系関西人。好きなものは海外の音楽・映像鑑賞とお酒です。ママになり、最近は子供が寝た後に海外ドラマや韓流ドラマを見るのが息抜きです。素敵な言葉や音楽、映像などのコンテンツは、自分自身を助け、励まし、成長させてくれるものだと思います。読者のみなさんに素敵なコンテンツに出会える機会をたくさんお届けしたいという想いで仕事をしています。

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