「香川県をアボカド産地に!」移住して農業法人で就農、橋本純子さんが語る農業の魅力

安藤茉耶

PR 提供:農水省
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新規就農をしたいと考えたとき、選択肢のひとつとして農業法人への就職があります。橋本純子さんは農業法人で働くことで農家になるという夢を実現しました。

プロフィール

PROFILE

橋本純子さん

大阪府出身。包装資材メーカーで働いているときに農業関係の担当になり知識を増やすため、2014年、アグリイノベーション大学校に入学。一期生として農業を学んだのち、香川県三豊市に移住、「株式会社アンファーム」に就職する。安藤果樹園でマンゴーやアボカドを栽培。国産アボカドの産地化を目指す「アボカド産地化プロジェクト」を推進。

仕事の知識を増やすため農業の学校に入学

営業時代

今年で就農9年目を迎える橋本さんですが、もともと農家になりたいと思っていたわけではなかったそうです。

家が農家ではなかったため、農業に関しての知識はほぼゼロ。土いじりも学校の授業で朝顔を育てたり、学校の畑で芋を掘ったりする程度だったといいます。

「私は北陸学院短期大学の教養科を卒業して、英会話スクールや包装資材メーカーの営業職とまったく農業とは無関係の仕事を経験しました。農業との関わりといえば短大の授業の一環でサツマイモを育てたくらいですね」。 そんな橋本さんが農家を志すきっかけとなったのは、アグリイノベーション大学校(以下、AIC)への入学でした。

「包装資材メーカーで働いているときに、アメリカ製の農業用コンテナを取り扱うことになり、私が担当者になったんです。それまで農業の知識がなかったので、少しは勉強しないと、と思ったんですよ。たまたまその頃、知人の農家さんから、株式会社マイファームの社長である西辻さんを紹介してもらって、新たに農業学校の大阪校を設立するという話を聞きました。農業を学べば仕事の役に立つかもしれない、くらいの気持ちで入学を決めました」。

入学後3カ月で就農を決意

橋本さんは2014年2月にAICに入学。土日のみの学校だったため、平日は仕事、休日は農業を学ぶ日々を過ごしました。

「AIC大阪校の一期生として入学したので、今ほどカリキュラムも完成したものではなく、住宅地の中の農地登録されている空き地を同級生たちと草刈りして開墾するところからスタートしました。座学では、 植物の原理やどんな肥料が必要なのか、販売に関してなども教えてもらいました。AICで農業を一から学べたことは、いい経験になっています」。

入学から3カ月経つ頃には「自分は農業をやらなければ!」と決意していたと、橋本さんはいいます。

「土を触っていると気持ちが落ち着いたというのもありますが、自分が育てたものに自分自身ですべての責任を持てるという点に、今までの仕事にはない魅力を感じたんです。 まいた種から芽が出て、いつの間にか食べられる作物になってる生命力にすごく惹かれたんですよね」。

AIC卒業式

また、AICで学ぶうちに“農家”という人自体にも興味をそそられたと橋本さん。

「畑の位置を考える時には地理的な知識が求められるし、農薬を扱うなら化学の知識も必要になる。農家さんってすごく賢い人が多いんですよ。実際に日本や海外の有名大学を卒業した人も多いですし、大企業から転職した人もいます。そういう優秀な人たちが魅力を感じる農業ってどんなものなのだろうと気になったんです」。

翌2015年に、10年勤務した資材メーカーを退職。農家への道を歩み始めます。

香川県に移住し、農業法人に就職

農家になることを決めた橋本さんは、まず農業をもっと学ぶために毎日畑に出る環境に身を置きたいと考えたそうです。就農先を探すうちにAICの実習を担当していた先生のひとりに声をかけてもらい、香川県への移住を即決しました。

「知らない土地にいくのに迷いがなかったか?とよく聞かれるのですが、私の場合はまったくなかったんです。とにかく農業がやりたかったんですよ。流石に子供たちには反対されるかなとも思ったんですが、意外とすんなりOKをくれました」。

後々、子供たちに話を聞くと「おかんは1回やるっていうたら、やり通すやろ」と言われたとか。家族の理解もあり、見事香川への切符を手に入れた橋本さんは、2015年3月末に香川県三豊市財田町に移住。千両ナスやブロッコリー、ニンニク、アスパラなどを栽培する農家で、12月までの期間、研修を受けながら農業の実地訓練をしました。

研修時代

「毎日畑で農作業をするのが楽しくて楽しくて、大変さは感じませんでした。スコップを使って畑に牛糞堆肥を撒く作業なんて、大阪にいたら絶対経験できないことですから、面白くて仕方なかったんです。地元の人たちは『こんなことさせたら嫌がって都会に帰ってしまう』と心配していたようなのですが(笑)」。


当初、地元民は「どうせ諦めてすぐに帰るだろう」と思っていたそうですが、徐々に橋本さんのやる気を感じ、受け入れてくれるようになりました。

そして三豊市の農家が集まる情報交換会「財田の農業を考える会」で、「株式会社アンファーム」の代表である安藤数義さんと出会い、2016年1月に入社をしました。

株式会社アンファームが営む安藤果樹園では、マンゴーをはじめ、ドラゴンフルーツやパッションフルーツ、ライチなどの果樹を栽培しています。これが橋本さんの目指す農業ビジョンとも合致したそうです。

「農業で独立するならば、アスパラのような永年作物を育てたいと考えていました。一度植え付ければ、管理だけで永年収穫できるので一人で農業をやるならこれだ!と。果樹も永年作物なので、まさに私がやりたい農業だったんです」。

法人での就農だからこその魅力もあると橋本さんは語ります。

「働きながら農業を学べる環境というのは何にも変えがたい魅力です。マンゴーの栽培方法が書いてある本はたくさんありますが、素人が読んでも理解できない。その技術を農業のプロである社長が手取り足取り教えてくれるんです。法人就農をするのであれば、どんな師匠の下で働くかが重要になります。いい師匠に出会えば、とてもいい働き方ができると思いますよ」。

「アボカド産地化プロジェクト」を推進、現在は移住者支援も

橋本さんは現在、社長の元でマンゴー栽培とともに、アボカド栽培にも精力的に取り組んでいます。

「マンゴーは夏のものなので、社長が秋冬の間に収穫できる作物を探していて、私が入社した年から本格的にアボカドを育て始めました。アボカドは女性にも人気ですし、実は国産はほぼ流通していないんです。しかも栽培に手がかからないので、マンゴーを育て終わって、気が付いたらアボカドができている、という感じです。当初、アボカドの木10本からスタートして、今は950本ほどに増えました。いずれ香川県を国産アボカドの産地にしていきたいと考えています」。

橋本さんは安藤果樹園でアボカドを栽培するだけでなく、30軒ほどの地元の生産者と協力し、香川県を国産アボカドの産地にするプロジェクトを進めています。

「どんどんアボカドを植える農家が増えてきています。育てたアボカドは自分で販売してもいいですし、販売ルートがなければうちの会社に卸していただくこともできます。安藤果樹園では、社長の方針でアボカド農園の見学も受け入れていますので、日本全国から農家の方がたくさん訪れます」。

橋本さんは移住者という視点から、地方創生にも取り組んでいます。

「新たに財田町に住む人を増やして、町が廃れていかないようにしたいなと思って、地元の人や移住者たちと『財TURN*(サイターン)』という会を立ち上げました。自分を受け入れてくれたこの町に恩返しができたらいいなと思っています」。

「財TURN*」とはNPO法人「まちづくり推進隊財田」の移住相談窓口事業のこと。橋本さんはこれまでAICの学生向けに財田町ツアーを行うなど、移住者を誘致する活動に励んでいます。

橋本さんが語る、農業の魅力と可能性

最後に、橋本さんが感じる農業の魅力を教えてもらいました。

「マイファームの西辻さんの言葉を借りると、『農業は謙虚になれる仕事』です。自分だけでは絶対にできませんし、自然相手だから 思い通りにもならない。だからこそ謙虚になれるのが農業だとおっしゃっていました。

地球温暖化が進むことで農業の可能性が狭まるという人、可能性が広がると考える人、どちらもいると思います。農業界全体のことはわかりませんが、熱帯果樹を栽培する私の立場からすると、果樹が育てやすくなると思うのでワクワクする気持ちはありますね」。

また、農業ならではの人との繋がりもあるという。

「普通、ある程度の年齢になったら、知り合いになるのは大体同年代や、年下だと部下になるじゃないですか。でも農業という繋がりがあれば、自分の子供より若い人とも、親くらいの年齢の人とも友達になれるんです。上下関係なく繋がれるのが農業の魅力だと思います」。

さまざまな経験を経て農家という道を選んだ橋本さんは、「若いうちはいろんなチャレンジをしてほしい」と語ります。

「新卒から農業に進むのもいいと思いますし、異業種を経験してからこの業界を選んでもいい、会社員をしながら週末に貸し農園で農業を楽しむのもありだと思います。いろんなチャレンジの仕方があるし、近道しても周り道しても、その経験は将来就農をしたときに役立つはずです」。

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取材・文/安藤茉耶
編集:学生の窓口編集部

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