7社の社長を歴任後、年商3億円のネギ農家に。“初代葱師”清水 寅さんが語る、農業の魅力

学生の窓口編集部

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金融系の会社の社長を勤めたのち、農家へとキャリアチェンジし、年商3億円を見込めるネギ農家になった清水さん。独自のメソッドを用いて、農業界に新風を巻き起こす彼に、学生時代からこれまでを振り返っていただきました。

プロフィール

PROFILE

清水 寅さん(しみずつよし)

1980年生まれ、長崎県出身。高校を卒業後、金融関係の会社に就職。20代で関連会社7社の社長を歴任。その後、親戚からの勧めがきっかけで、2011年より山形県天童市に移住。ゼロから農業を学び始め、2014年に自ら「初代葱師」を名乗り、ねぎびとカンパニー株式会社を設立。2017年には糖度 21.6度のネギを生み出す。「真の葱」「寅ちゃんねぎ」「キスよりあまいほうれん草」などブランド野菜を栽培する。2019年からは、300万本に約10本しか取れないという1本1万円の奇跡のネギ「モナリザ」、さらに家庭菜園用として、誰でも美味しいネギを育てることができる「寅ちゃんねぎの苗・肥料」の販売に着手。同年12月、山形県ベストアグリ賞・農林水産大臣賞を受賞。2020年10月に自身の就農経験をもとにした書籍『なぜネギ1本が1万円で売れるのか?』(講談社+α新書)を発売。

部活一筋の学生時代から金融会社に就職。人の倍働くことで営業トップに

清水さんが就農したのは30代の頃。それまではまったく異なるキャリアを歩んできました。

「学生時代を一言で言うと、本当に部活だけの日々。中学・高校では卓球部に所属していたのですが、とにかく毎日頑張っていましたね。中学では長崎市の大会で優勝し、3年生の頃には県大会4位になりました。そのままスポーツ推薦で高校に進み、最終的には長崎県5位になりました。卒業後は1年ほどアルバイトをしながら生活していたのですが、友人に『そろそろ就職したらどうか』と言われまして、それで金融系の会社に就職したんです」。

もともと金融に関する知識は持っていなかったと話す清水さん。就職してからは仕事に没頭する日々を過ごしたそうです。

僕は学力というものがまったくなかったんですよ。 なので、会社に入ったあとはその会社で使うことだけを勉強して、1位を目指しました。例えるなら、スポーツ全般は得意ではないけれど、その中の一種目だけを練習しまくるという感じ。勝ち負けにこだわらなくていいのかもしれませんが、昔から自分の決めたことができないのが嫌なんです。決めたことはやり遂げたい。『1番になりたい』というのは性格でしょう(笑)」。

トップになるための努力は、“時間をかけること”だと清水さんはいいます。

「人よりも長い時間働くようにしていました。1番になる人って他人よりいろんなことを経験しなければならない。1番って格好よく思えますが、実はそうじゃない。1番を目指すということは人より何倍も失敗することでもあるんですよ。でも時間がないと失敗できないんです。 時間がない人は失敗しない方向にいかざるを得ない。だけど僕には時間があり、長く働くことができた。人よりたくさん失敗したおかげで会社で営業トップになれたのだと思います」。

20代で社長就任、異例のスピードで7社の社長を歴任するまでに

清水さんは、入社から4年ほどで北海道の北見支店の店長に就任。その後課長、専務を経て、入社6年目で関連会社1社の社長になり、27歳の頃にはホテルやゴルフ場、不動産など関連会社7社の社長を歴任するまでになりました。

「店長になるまでは周りの社員より時間がかかったと思います。ただ大抵の場合、みんな店長になったらそこでストップしてしまう。それ以上出世するには会社に貢献していないと無理なんですよね。僕が社長を任されたのは、会社のことを考えていたからだと思います。個人成績も大切ですが、会社のため、チームのために頑張れる人であるかも重要です。社員がたくさんいる中で会社のことを考えてくれる人って、会社にとってはすごくありがたい存在。そういう人になれば会社から評価されると思っていたので、僕は会社のことを考えるように心掛けていました」。

清水さんは当時を振り返りながら、“勘違いの自信”があったといいます。そんななか30歳の頃、親戚に就農を勧められ、「自分ならできるだろう」という気持ちで農家に転向したそうです。

30代でネギ農家に転向。師匠との出会いにより“初代葱師”に

清水さんは山形県に移住し、農業をスタートさせました。就農直後に、サラリーマン時代の成功が自分の力だけではなかったことを実感したといいます。

僕の場合、自分の力がないことを農業に教えてもらったんですよ。7社の社長をやっていましたが、そんなものは自分の実力ではなかった。まず一人では売り上げが上がらないんですよ。会社ではいろんな部署の社員がたくさんいて、それを自分がコントロールしていたからこそ、結果が出せていました。それを自分の力だと勘違いしていただけ。 実際一人で立ってみると何もできないし、疲れるし、売り上げは上がらない。思った通りにはいかないと実感しました。一度一人で畑で草取りをしてみれば、誰でもそう思うでしょう」。

清水さんがネギ農家になることを決意したのは、ある考えがあったからです。

「味がわかりやすい作物で勝負しようとは思わなかったですね。農業を20年、30年とやっている人たちに、味で勝とうと思っても難しい。だからこそ、味がわかりにくいものを作って勝負しようと思ったんです。他の農家は人をあまり使っていませんが、僕は従業員を雇うと決めていたので、味よりも量で勝負できる作物を作ることにしました」。

ネギを作ることは決めていたものの、もちろん経験はゼロ。しかし、偶然の出会いが清水さんの転機になったそうです。

僕は県外から来ていたので、まず山形でネギ作りを学ばなければならなかった。だけど地元で何十年も農家をしている人たちの中に入っていくのは難しいんですよね。1年生から60年生くらいの生徒がいる学校に、突然新入生が入学した感じ。みんな仲がいいので入っていけないんですよ。そんななか、たまたまハウスでネギ作りの上手なおじさんに出会ったんですが、ネギの神様と呼ばれるほどすごい人だったんです。その人が僕の師匠です」。

朝も昼も晩も毎日のように師匠に電話し、ネギ作りのノウハウを教えてもらったという清水さん。当初はその本気度の高さに師匠も引いていたそうですが、清水さんが育てたネギを目にして、見る目が変わったといいます。

「野菜は嘘をつかないんですよね。僕がちゃんとしたネギを作ったからこそ、師匠も本気で教えてくれるようになった。もしも僕がサボってだめなネギしか作れなかったら、違っていたと思います。いい野菜というのはすべて肯定するんですよ。素晴らしいネギができたという事実は、それまでの努力や道のりを肯定させる力がある。この人は頑張ったんだろうな、努力したんだろうなということを見せる力があるんです」。

大胆さと緻密さを兼ね備える清水さんの農業

師匠からネギ作りを学び、“初代葱師”を名乗るようになった清水さん。2015年には糖度 19.5度、2017年には21.6度のネギを作ることに成功しました。その後、「真の葱」「寅ちゃんねぎ」「キスよりあまい ほうれん草」などブランド野菜を生み出し、2019年には、300万本に10本しか取れない奇跡のネギ「モナリザ」栽培にも挑戦しています。

「寅ちゃんねぎ」

「モナリザ」

農業経営には、清水さんが金融業界で培ってきた考え方も生かされています。

「野菜作りをするときには数字をよく見るようにしています。経費や売り上げを見るのはどこの農家もやっていることですが、僕の場合はもっとトータルで経費を考えるようにしています。例えば、半袖の時期は出荷量を増やす。人は温度が低くなると体が動きにくくなり、動きが遅くなりますよね。半袖の方が仕事が捗って出荷経費が落ちるので、その時期は出荷量を増やすようにしています」。

緻密な計算のもと経営戦略を立てる清水さんですが、ネギ作りでは大胆な発想も大切にしています。

「トンチをきかせることは常に意識しています。例えば、以前ネギを効率的に作るにはどうしたらいいか考えて、片面だけにしか白い部分を作らないようにしたことがあります。そうすると片面だけにしか土をよせずに栽培できるので作業効率は倍に上がるんです。ただ白い面だけを表に出して出荷したら、「片面が緑じゃないか!」と大クレームでした(苦笑)。これは失敗例ですが、その中から成功が生まれることも絶対にある。どうしたらもっと良くなるか、常にトンチをきかせて考えています」。

失敗や成功を繰り返しながら、年商3億円を見込めるまでに成長を遂げた清水さん。彼のもとには、多くの若手農業家が勉強に訪れています。清水さんが自らの知識を積極的に若者に伝えているのには、ある理由があります。

「自分は師匠にたくさん教えてもらったのに、自分は教えないではダメですよね。師匠だって僕にネギ作りを教える義理があったわけではない。自分が聞くだけ聞いて人に聞かれて教えてないっていうことはできません。だから、僕の懐がでかいのではなく師匠の懐がでかいのだと思います」。

清水さんが語る、農業の魅力

最後に、金融業界から就農という道を選んだ清水さんに、農業の魅力を教えていただきました。

「“なりたい職業ベスト10”には、農業は入っていないと思います。ただ、現在農業をしている人に『生まれ変わったら、どんな職業に就きたいですか?』と聞いたら、もう一回農業をやりたいと答える人が多いはずです。多分、リピーター率はNo.1なんじゃないかなと。農業は、大変できついし、そんなに儲かるわけではない。でも、僕自身生まれ変わってもまた農業をやりますね。農業の魅力を言葉にするのは難しいですが、もう一度やりたくなるほどやりがいのある職業だと思っています」。


取材・文/安藤茉耶
編集:学生の窓口編集部

提供:農業の魅力発信コンソーシアム

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