大学生が外務省に直撃取材! 「SDGsで作る これからの日本、これからの世界」後編
「SDGs」を達成するには、若者たちの問題意識の共有が重要だ――。
そう語ったのは、外務省の国際協力局地球規模課題総括課で勤務する伊東孝将さんです。SDGsを達成すれば、または達成できなければ、世界はどうなってしまうのか。そんな素朴な疑問を解くため、東洋大学の学生団体「TIPS」のメンバーが外務省を訪問。伊東さんにインタビューを敢行しました。
そこで前回に続き後編では、日本のSDGsの認知度や、SDGsが若者や高齢者に与える影響的な影響についてお話をうかがいます。
文:猿川佑
写真:島田香
編集:学生の窓口編集部
■参加メンバー
【外務省】国際協力局地球規模課題総括課 伊東孝将さん
【東洋大学 TIPS】三浦央稀さん(経済学部4年生)
山本亜美さん(経済学部2年生)
山崎 翼さん(情報連携学部1年生)
SDGsが一番普及しているのは若者層。高齢層は?
山本さん:現状、SDGsはどれくらい若者に普及しているとお考えですか?
伊東さん:広告代理店の調査によると、日本全体での認知度は、約30%と3人に1人が知っているという結果でしたが、その中で、実は最もSDGsの認知度が高いのが学生なんですよね。約半数近くの45.1%でした。高校、大学で必修となっているわけではありませんが、これだけ認知されているというのはすごいことだと思います。
今は、就活でも学生が企業に対して「お宅の企業はどのようにSDGsに取り組んでいるんですか?」と聞くこともあるそうです。SDGsを媒体にすることで、企業と学生が対等になって話せる。そういう意味で学生にとってSDGsは、企業を測るものさしにもなっています。SDGsの考え方で捉えることで、その企業の持続可能性を考えることができます。例えば、今の業績は良いけど、商品に使用している資源の残量がわずかで、2〜3年後には生産できなくなっているかもしれない。そんな会社に、入りたいとは思いませんよね。そういう事情もあって、学生はSDGsを意識しているのではないでしょうか。
山崎さん:では、高齢者層にSDGsはどれほど浸透しているとお考えでしょう?
伊東さん:高齢者に限りませんが、まだ「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」と読めない人も少なくないですよね。「えす・でぃー・じー・えす」と呼ぶ人もまだまだ多いし、「持続可能な開発目標」といってもピンとこない。そういった点でも受け入れられるにはハードルが高いと思います。
しかし、高齢者層の方々も他人事ではありません。過疎化が進んだ地域では、満足な医療を受けるために、長時間かけて通院する必要もあります。でも、技術が進み、もっと遠隔治療が普及したら、毎日病院通うのが難しかった人も自宅で医療を受けられるかもしれません。
山崎さん:SDGsは、僕ら学生よりも、高齢者のほうが身近なものなんでしょうか?
伊東さん:高齢者は確かに直接的に関係する問題がイメージしやすいですよね。でも、次世代の若者にとっても重要です。このまま何もしなければ、今は何不自由なく入手できているものが、簡単に手に入らなくなる可能性だってあります。コロナ禍においては、単なる風邪でも病院に行きづらい状況です。学校も休校になったり、オンライン授業になったりしていますよね?
ただ、SDGsが進んでいてれば、状況は変わるかもしれません。日本はネットが普及しているので、授業もオンラインで出来ましたが、もっと技術が進んでいれば、バーチャルで入学式などもできたかもしれません。SDGsが進んだ社会では、不測の事態にも対応しやすくなると言えます。
日本はSDGsの達成に近付いている?
山崎さん:どうすれば、私たちが「SDGsの達成に近づいている」と実感できるのでしょうか。日本としての具体的な数値目標などは設定されていますか?
伊東さん:「フードロス法」なんかは、皆さんが食品の廃棄をもったいないと思い、声を上げたことで出来た法律ですが、こうした出来事の積み重ねは、着実にSDGsの達成に近づいていると言えます。2020年はレジ袋が有料化されましたが、それ以来、レジ袋を持っている人の姿は減り、逆にマイバックをよく見かけますよね。また、10年前にコロナ禍に見舞われていたら、オンライン授業も行われていなかったと思います。これも技術が進化し、普及した結果です。
SDGsの参画性という点では、どれだけ多くの人がSDGsに取り組んでいるかも重要な指標になります。TIPSさんが取り組んでいる「マイボトルで乾杯」も重要な活動だと思いますし、取り組みに参画しているということにも大きな意義があります。
※記事内容は(2020年10月)のものです。
サークルプロフィール
東洋大学 TIPS
東洋大学 TIPSは『SDGs・ダイバーシティ×学生の成長』をテーマに活動する東洋大学の学生団体。SDGsとダイバーシティについて学び、広め、達成に貢献する活動を展開。ビジコンの企画・運営や、企業・NPO・他団体との連携、コンテストへの参加やイベントへの登壇などを通し、ひとりひとりの成長を目指して活動中。
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