「消臭力」や「米唐番」といった個性的なCMを次々に生み出してきたエステー株式会社の宣伝部長・鹿毛康司さん。そんな鹿毛さんがさまざまな業界の著名人をゲストに招き、「学生の悩み」に答える本企画。3回目となる今回で、ドミノ・ピザジャパンのCMO(チーフマーケティングオフィサー)・富永朋信さんとの対談は最終回です。最後にどのようなメッセージを学生に伝えてくれるのでしょうか。就活を控える学生のみなさんは、必見です!
パート1「内定をもらえる人ともらえない人の違い」はこちら
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https://gakumado.mynavi.jp/style/articles/48599
パート2「会社選びは結婚相手を選ぶように」はこちら
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鹿毛さん:まずこの質問にはね、「広報」と「宣伝」と「企画」は全く違うもの! っていうのを言いたい。本気でその道に進みたいのなら、この3つがどういう仕事であるのか勉強しないとだね。
それに「興味があるが、経験もない」って言っているけど、興味と経験の間にある「研究」が抜けているよ。興味⇒研究⇒経験なんだよ。何から始めるべきでしょうかについて、まず興味があるなら研究しなきゃいけない。
富永さん:マーケティングなどの勉強をしたことがないのなら、とにかく勉強すればいいってことですよね。
鹿毛さん:マーケティングの本10冊でもいいから読め! ってことだね。俺らだってたくさん本読んでるんだから。富永さんもそうでしょ?
富永さん:めちゃくちゃ読んでますね。ジャンル問わずだとこれまでに数千冊は読んでいるんじゃないでしょうか。マーケティングの本に限れば数百冊は読んでますね。
鹿毛さん:うん、俺もそうだな。とにかく毎日本は読んでいるよ。
富永さん:書店に行くとするじゃないですか。そこでマーケティングの本の棚を見て、知らない本があると不安になったりしますよ(笑)。「ヤバイ!」と思って買って、知っている内容なら安心して、知らない内容ならそこまでまた勉強です。
鹿毛さん:買っちゃうよね。俺も去年1年間でマーケティングの本だけで14万円も使っているもん。MBAを持ってるおっさんやマーケティングの最前線に立っているおっさんも、毎日忙しいのにまだ毎日知識を得るために本を読み、寝る間を惜しんで勉強してるんだよ。だからね、学生は時間があるんだから、本が買えないなら図書館に行ってでもたくさん本を読んで勉強するといいよ。図書館に読みたい本がないのなら俺が貸してやる!
鹿毛さん:そうだなあ……「今」ということなら希望のお給料出してくれるところに入るかな。つまり俺たちの価値を分かってくれている企業。そういうところがいい。どう思う?
富永さん:たしかに自分のことを認めてくれる、自分の価値をわかっている企業がいいですね。
鹿毛さん:もし「仕事しなくても今と同じくらいの給料出すからうちの会社に来てほしい」って言われたらその会社に行く?
富永さん:それは行かないですよ。今やっていることは仕事ではありますけど趣味でもありますし、いわば人生そのものでもあるので、それが取り上げられるようなところには行きたくありませんね。
鹿毛さん:でも「仕事=趣味=生き甲斐」って言うと、「仕事人間かよ」なんて思われたりしない?
富永さん:「趣味」っていうのは、お金にならない道楽なんですよね。でもそれが高じてお金がもらえるようになれば最高じゃないですか。つまり私にとって仕事というのは趣味を極めているのと同じなんです。趣味って人によっていろんな定義があると思いますけど、仕事が趣味ということに対して「仕事人間」という人は、だいたい趣味を極める必要もない軽いものと考えていたりします。そういう人に批判されても、何とも思わないですね。
鹿毛さん:趣味って基本的に自分を喜ばせることだけど、仕事って他人を喜ばせることなんだよね。昔はあまり思わなかったことなんだけど、この10年で特に「社会に喜ばれて生きること、感謝されて生きること」の良さを実感するようになった。
特に印象深いのが、5年前に西川貴教さんの福島でのコンサートでCM撮影をしたときのこと。撮影のためにミゲルと一緒にステージに立った後、そこから降りて会場横を抜けて帰ろうとしたのよ。そしたら会場の2,000人がみんなこっち向いて「部長ありがとう~!」って言ってくれてね。西川貴教さんがステージにいるのにもかかわらずだよ。そのとき「本気でありがとうって思われるのは幸せだな」って思ったね。西川貴教さんは「おいステージはこっちだぞ!」って突っ込んでたけど(笑)。