エッセイコンテスト「#Z世代の目線から」12月期の結果発表!キーワードは“あなたの2022”
→11月のコンテスト、キーワード"ほっとするもの"の結果はこちら。
昨年12月に募集していた「エッセイコンテスト」の選考が終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました!
今回のキーワードは“あなたの2022”。
昨年はどんな一年でしたか?さまざまな角度からの一年を見せていただきました!
選ばれた優秀作品1作品と、入選作品5作品をご紹介します。
なお今回は希望者に対して、田中青紗から「このあたりをもう少し膨らませるとより良いかも!」と感じた、簡単なアドバイスも記載しています。
企画協力:田中青紗(たなか あさ)
テレビ番組制作会社勤務からフリーライターへ転身。現在は、取材・コラム・短編小説を中心に執筆中。過去にマイナビ学生の窓口にて短編小説を掲載。
2021年には、LivingAnywhere Commons×新しい働き方LAB 創作コンテストの企画・運営・審査員を務める。
note:https://note.com/tanakaasa_life
優秀作品:『ガラクタな日々』/著者:ロマン さん
平日、午前11時過ぎ、目を覚ました。私の平均的な起床時間だ。今年は「時間」とは何かを考える1年だったように思う。 私は大学四年生だ。これまで経験したことの無いことを沢山経験した。まずは就活。次に教育実習。最後に未来の話だが、卒業。 |
著者:ロマン さん |
学校・学年:東海大学 4年 |
Instagram:@1_shu_23 |
著者コメント:教育実習にも行けてることを考えると、実は額面通りの「時間を大切に」もできている方だと思います。このエッセイで私が言いたいことは「必要なことだけやる人生つまらなくない?」ということです。無駄なことを愛して、暇な時間を愛したいなーという願望です。やらないといけない事を最低限やったらあとは、無駄なことに、挑戦する人生でありたいなという理想です。沢山のことを知っている、かっこいい大人になりたいです。 |
【あらすじ】
「残された時間を大切にしよう」と言われると、心に引っ掛かりを感じてしまう。大人たちが言う「時間を大切に」とは、どれも“学び”や“人と向き合うこと”、“理解”などが挙げられる。しかし、果たしてそれが本当に「時間を大切に」していることなのだろうか?
【田中青紗からのコメント】
《「時間を無駄にすること」こそが「時間を大切にすること」だと私は考えている。》読み終わったとき、時間に対する考え方がガラッと変わったように感じました。つい、“充実した時間を過ごさなければ”と必死になってしまいがちですが、作品を通して「生産性のない時間も楽しんでいこう!」と肩の力がふっと抜けたように思います。ご自身の考えがしっかりと書かれている素敵な文章です。
【アドバイス】
時間をより意識するようになったきっかけが記載されていますが(大学四年生での就活や教育実習)こちらのボリュームを増やしてみてはいかがでしょうか?イベントを体験していく中で自然と時間を意識するようになったのか、誰かとのやりとりを経てじっくりと考えるようになったのか。きっかけのシーンが分かる文章が増えると、より印象に残ると感じました。
入選作品(応募順に掲載)
入選作品1:『普通の幸せさ。普通の無気力さ。普通の大学生。』/著者:くわばら桑原 さん
普通である。私の2022年は普通であった。楽しいこともあれば、悲しいこと、悔しいこともあった。だから普通。つまり一般の日本の男子大学生らしい普通の時間を過ごすことができたと思う。 ただこの事実は悲観すべきことではなく、大変贅沢な話である。 |
著者:くわばら桑原 さん |
学校・学年:高崎経済大学大学 4年 |
著者コメント:普通の一年でした。周りの方から見ると、もっと頑張れやら、何か行動しろやとか、言われるかもしれません。ただ私は幸せであり、そんだけです。 |
【あらすじ】
筆者にとっての2022年は「普通」だった。普通と聞けば「面白みがない」「もっと頑張れたのでは?」と思う人もいるかもしれないけれど、実は普通は何よりも贅沢なことなのだ。
【田中青紗からのコメント】
あえて「普通だった」と言い切るところが良かったです!「普通」を紐解いていくと、今当たり前にある幸せを感じられたり、自分にとっての幸せとは何か?が考えられたりします。目の前の人やモノについてゆっくりと考えたくなる作品です。
【アドバイス】
「現代の男子大学生の普通の生活とは、一体どのような生活なのだろう」と疑問に感じました。読者に「筆者は普通の人だなあ〜!」と感じてもらうためにも、1日の行動や周囲の人たちの様子など、普通の生活をより描写すると◎
入選作品2:『自己実現』/著者:Auto さん
2022年、高校二年生として過ごした一年間を考えてみると、この時期の高校生は人生について初めて深く考える時期であったと思う。大学受験が迫り、何を自分はしたいのかや何をするべきなのかを考えていくなかで自己実現について考えることが多く、それについて個人的な見解を述べていく。 |
著者:Auto さん |
学校・学年:札幌開成中等教育学校 2年 |
著者コメント:受験が迫っている今、今後の人生について考えたことを簡単にまとめました |
【あらすじ】
自己実現について考えた2022年。その中で「承認欲求」と「自己実現欲求」を両立するためには、一体どのような意識が必要なのかと考える。Z世代に知っておいてほしい“欲求”のバランスの取り方とは−−。……?
【田中青紗からのコメント】
や自己実現欲求、承認欲求について《二つを分離して考える》は、非常に参考になりました!ご自身の考えがしっかりと書かれていて読み応えがある作品です。
入選作品3:『別れと再会』/著者:タンイクレ さん
祖母の家で横になりテレビを見ていると飼い猫のミーが顔の前に居座り始めた。 「邪魔だよー。テレビ全然見えないー。ハウス!ハウス!」 もちろん猫小屋なんてものはない。 「ハウス!ハウス!はぁ。俺にハウスなんてねぇよ的な?正解。」 その瞬間、ミーは僕がテレビをみれるように低く伏せた。 …… |
著者:タンイクレ さん |
学校・学年:宇都宮大学大学院 2年 |
著者コメント:普段耳馴染みのある言葉は『出会いと別れ』ですが、僕にとっての2022年は「別れと再会」でした。一年間で一番印象に残っている1日を文に残したく投稿しました。2022年で起こったのはミーとの別れ、アヤとの再会ですが、文章内にはアヤとミー、それぞれとの別れと再会を詰め込んだつもりです。※登場人物の名前は仮名です。ご了承ください。 |
【あらすじ】
祖母の家で飼っている猫・ミー。今日も可愛いミーと遊んでいると思っていたけれど、残念ながら夢だった。ミーはもういない。久しぶりに見た愛猫の夢にテンションが下がっていた筆者だったけれど……?
【田中青紗からのコメント】
エッセイのエピソードとして、非常に素敵な体験だと思います!筆者ならではの体験なので、強く印象に残りました。シーンもイメージしやすく読みやすい文章です。読み終わった後は温かい気持ちになりました。
【アドバイス】
(1)感動のクライマックスに向けて、筆者とアヤさんの関係性(遊んだエピソードを増やす、会えなくなりどう思ったのかなど)がより深く書かれていると、ラストシーンの感動が増えると思います。
(2)今回の経験をきっかけに、「別れと再会」に対して筆者がどう思ったのか、ご自身の気持ちが詳しく書かれていると◎
入選作品4:『言葉と向き合っていた2022年』/著者:さつき さん
「言葉と向き合っていたい」。それは2022年の1月1日に、私が心に決めたことだった。
私は、書くことが好きだ。言葉が好きだ。私にとって、これほど不思議で魅力的なものは他にない。こんな記号の集合体が、その組み合わせ次第で読んだ人の心に影響を与える。本来なら他者から認識することができないはずの私の心は、言葉に形を変えることであなたに届く。これほどまでに、具体的で抽象的なものが他にあるだろうか。このちぐはぐさが、私には面白くてたまらない。 …… |
著者:さつき さん |
学校・学年:近畿大学 4年 |
著者コメント:メモ書きをしているノートをパラパラ見返すと、私の今年は「1年」ではなく、「365日」だったんだということがよくわかります。私の今年を通して、言葉にすることの魅力も伝わったらいいなと思います。 |
【あらすじ】
あるドラマを見てコピーライターに興味を持った筆者。次第にコピーライターからエッセイや小説など、文章を書く機会が増えていき、多くの言葉と向き合うようになった。たくさんの言葉たちと向き合った、筆者にとっての一年とは?
【田中青紗からのコメント】
文章が非常に読みやすく、言葉に真摯に向き合ってきた方なのだと感じました。言葉に対する、筆者の熱い気持ちがひしひしと伝わってきました。2023年はどのような文章を紡がれるのか楽しみです!
【アドバイス】
過去を振り返るとき、出来事を「〜だった」と続けると説明っぽくなりやすいので、印象に残った「ドラマのセリフ」や、誰かとの「会話文」などを間に挟むと、文章にリアルさ&メリハリがつきます。また、言葉と向き合ってきた量を数字で表すと、より言葉に対する強い思いが感じられると思いました!(例:毎日◯時間文章を書いた、◯記事書いた、◯冊本を読んだなど)
入選作品5:『桜の訓示』/著者:寺田 翔 さん
午前七時過ぎ、白い息を吐きながらいつもの道を歩き駅へ向かう。駅までの道はありふれたもので、パズルのピースをはめたかのように隙間なく整然と住宅が建ち並んでいる。しかしながら、あえて特徴を挙げるとすれば公園を通り抜けることであろうか。公園には、左右に桜が並ぶ石畳が敷かれた小道がある。…… |
著者:寺田 翔 さん |
学校・学年:大阪医科薬科大学 3年 |
著者コメント:人や物への感謝を忘れないことは大切なことです。しかし、それを常に意識し続けるのは簡単ではありません。諸行は無常です。改めて感謝を大切にしなければならないと感じました。大切な人や物を思い浮かべて読んで頂きたいです。 |
【あらすじ】
公園にある“桜の小道”を歩く筆者。春になると桜色のトンネルを楽しめる小道は、住宅街のオアシスとなっている。そんなある日、小道への通り道である公園の出入り口がフェンスで塞がれていて−−。
【田中青紗からのコメント】
毎日歩いている小道をきっかけに、「当たり前を当たり前に思わない」という気づきに繋がるのは素敵だなと思いました。今年の春も桜のトンネルをうんと楽しんでくださいね。
【アドバイス】
素敵なお話ではあるものの、小道のお話と「私は2022年の抱負を『挑戦』としていた。」という部分が唐突に感じました。小道から「感謝」をイメージしたのであれば、「最近は感謝の気持ちが弱まっていた」という体験や気持ちを多めに書いておくと、小道と繋がりやすいです。
総評
たくさんのご応募ありがとうございました!
作品に込められた思いを読み、2023年はどのような一年にしようかな〜とあれこれ想像が膨らみました!
皆さんにとって、素敵な一年になりますように。
2023年もZ世代の目線を一緒に発信していきましょう!