「言葉と向き合っていたい」。それは2022年の1月1日に、私が心に…|エッセイ企画「#Z世代の目線から」キーワード:あなたの2022
エッセイキーワード:あなたの2022
エッセイタイトル:『言葉と向き合っていた2022年』/著者:さつき さん
1330文字/4分くらいで読み終わります。
「言葉と向き合っていたい」。それは2022年の1月1日に、私が心に決めたことだった。
私は、書くことが好きだ。言葉が好きだ。私にとって、これほど不思議で魅力的なものは他にない。こんな記号の集合体が、その組み合わせ次第で読んだ人の心に影響を与える。本来なら他者から認識することができないはずの私の心は、言葉に形を変えることであなたに届く。これほどまでに、具体的で抽象的なものが他にあるだろうか。このちぐはぐさが、私には面白くてたまらない。
そう謳っている私ではあるが、文章を書こうと思い始めたのは2021年の夏からである。つい最近だ。まだ大学3年生だった時の夏休み、とあるドラマを見てコピーライターに興味を持った。元々、数分だけ本と向き合うことすら苦手だった私が自分で文章を書きたいと思うほど、それは魅力的なものだった。コピーライターとは、簡単に言うと、「宣伝文句」いわゆる「キャッチコピー」を書くライターのことであるが、その、人の心を「キャッチ」するという部分にひどく惹かれたのである。言葉で人の心を捕まえて、宣伝している物の良さをより引き立たせる。なんて素敵な仕事なんだと思った。
きっかけになったドラマを見て以来、私はコピーライターを志すようになった。コピーライターの入門書を読み漁ったり、買ってきたノートに思いついた言葉をメモしては、書き溜めたそれを繋げて文章を作ったりしていた。気づけばコンクールに応募するほど熱中していて、毎日、コピーライティングのことばかり考えるようになっていた。
コピーライティングがきっかけで書くことを覚えた私は、コピーライティングに留まらず、この通り、エッセイも書くようになった。すると、より誰かの心に触れるような表現を綴りたいと思う欲が強くなった。「言葉と向き合っていたい」。2022年の元旦、知り合いと話している中で私がそう発したのは、それが所以である。
私はこの1年半で、多くの言葉を綴ってきたと思う。その中で、気づいたことがあった。言葉とは、私の中で漠然と溢れる感情を形にしてくれるものだということである。つまり言葉とは自分自身であり、言葉と向き合うとは、自分と向き合うことだと私は思う。2022年は、エッセイでコンクールに入賞したり、初めて小説を書くことにチャレンジした年だった。最初は闇雲に記号を繋げるだけだった行為が、回数を重ねる毎に自分が納得のいく形を見つけていく。次第に安定して、私らしい「いい文章」になっていく。2022年は、私にとってまさに、「言葉と向き合って」いた年。自分と向き合っていた年であった。それが他者の目に触れて認められるというのは、私が言葉を綴る者として成長した証だったと思う。そう考えると、2022年は私にとって「成長した年」とも言えるだろう。
2022年は、生きてきた中で一番いい年だった。今までで一番、好きなことを続けられた年だったし、一番、結果も残せた年だった。来る2023年も、過ぎゆく2022年よりもっと沢山のものを言葉にして、もっと結果を残せたらいいと思う。それが出来た暁には、このエッセイを元に、来年の元旦にでもエッセイを書こうか。その時もきっと、「一番いい年だった」と言えるだろうか。
著者:さつき さん |
学校・学年:近畿大学 4年 |
著者コメント:メモ書きをしているノートをパラパラ見返すと、私の今年は「1年」ではなく、「365日」だったんだということがよくわかります。私の今年を通して、言葉にすることの魅力も伝わったらいいなと思います。 |