平日、午前11時過ぎ、目を覚ました。私の平均的な起床時間だ。今年は…|エッセイ企画「#Z世代の目線から」キーワード:あなたの2022
エッセイキーワード:あなたの2022
エッセイタイトル:『ガラクタな日々』/著者:ロマン さん
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平日、午前11時過ぎ、目を覚ました。私の平均的な起床時間だ。今年は「時間」とは何かを考える1年だったように思う。
私は大学四年生だ。これまで経験したことの無いことを沢山経験した。まずは就活。次に教育実習。最後に未来の話だが、卒業。卒業はしたことがあるのだが、学生でなくなるというのは初めての体験である。残された時間、これからの時間について考えさせられた。
私には昔から妙に引っかかる言葉がある。それが「時間を大切にしろ」である。「残された時間を大切に」とか、「限られた時間を大切に」とか、高校3年生の時によく言われたものである。就活の時も「貴重なお時間いただきありがとうございます」なんて言われる。怠惰で勤勉な大学生にとって時間は余るほどにある。そうでないと午前11時過ぎに起きたりなんてしない。時間とは平等に流れているものだ。私が派遣労働で単純作業をしているときも、教育実習で深く考えている時も平等に時間は流れている。相対性理論なんて言葉や、ジャネーの法則なんてものもあるが、日本文学科のド文系大学生の私には到底理解のできないことである。 しかし、私なりに大人が言いたいことを解釈した。さすが日本文学科である。「時間を有効活用しろ」ということだ。ただ授業を受けるんじゃなくて、ちゃんと向き合って、理解して、聞けということだ。友達と遊ぶ時も、その友達のことをちゃんと考えて遊べということだ。「時間を有効活用しろ」と言うと、どこか業務的になってしまうから「時間を大切にしろ」と大人たちは言うのだろう。しかし、私は怠惰で勤勉な大学生である。今日も昼過ぎに起きて、友達と会い、今日も時間を浪費している。揚げ物やポテトチップスをそれはもう沢山食べている。漠然と未来への不安を抱えながらも、資格の勉強や、TOEICの勉強などは全くしていない。「時間を大切にする」なら、残された時間で未来のための投資を始めるのが得策であろうし、日本の政治について真剣に考え、これから日本を支える世代と、自覚をすべきだろう。大人が求める、SNSにいる意識の高い人達なら私の生活を見たらきっと蕁麻疹が出てしまうだろう。名誉の為に言ってくと、私の趣味は読書だ。これで蕁麻疹が収まったであろう。しかし、これは私なりに「時間を大切に」しているのである。「今しか出来ないことを全力で楽しんでいる」のである。社会人になってから平日に起きることが出来るだろうか。社会人になってから、いつもの場所に行けば友達に会えるだろうか。社会人になって、友達と話すことで自分のより向き合えることができるだろうか。社会人になって、徒に時間を浪費できるだろうか。社会人になって、太る心配を全くせずにポテトチップスを食べられるだろうか。これら全ては、大学生の今しかできないと、学生しか体験したことない私は思うのである。無駄な時間こそが私を形成し、無駄な時間こそが私の根幹にある。英語のリスニングをする時間を、趣味の音楽鑑賞にあてたことで、沢山の曲が私の心を育てた。自己啓発本を読むのではなく、江國香織を読むことで、わたしの心は何層にも折り重なった。日本史の暗記をする時間を、自分の人生を哲学者することにあてた。これが私なりの「時間を大切にすること」なのである。同じような日常を同じように過ごすこと。そしてその喜びを感じながら生きていくこと。それが私なりの時間の使い方なのである。学生生活が残り少なくなったからこそ、この生活に尊さを覚える。「時間を無駄にすること」こそが「時間を大切にすること」だと私は考えている。社会人でも、ありったけの時間を無駄にしてやろうと思う。
著者:ロマン さん |
学校・学年:東海大学 4年 |
Instagram:@1_shu_23 |
著者コメント:教育実習にも行けてることを考えると、実は額面通りの「時間を大切に」もできている方だと思います。このエッセイで私が言いたいことは「必要なことだけやる人生つまらなくない?」ということです。無駄なことを愛して、暇な時間を愛したいなーという願望です。やらないといけない事を最低限やったらあとは、無駄なことに、挑戦する人生でありたいなという理想です。沢山のことを知っている、かっこいい大人になりたいです。 |