【伊勢神宮に行ってみたい…】はじめての「お伊勢参り」おどおど #あつまれ!_おどおど学生。
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皆さんは三重県伊勢市にある「伊勢神宮」に行ったことがあるでしょうか。関西近郊に暮らした人は修学旅行で行ったことがあるかもしれませんね。まだ一度も行ったことがないという人には「お伊勢参り」はおすすめです。 「日本人の魂の故郷」と呼ばれることもある伊勢神宮ですが、一度お参りすると非常に清々しい気分になれること請け合いです。というわけで、今回は初めて伊勢神宮に行ってもおどおどしなくて済むように「お伊勢参り」についてご紹介します。
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↑清らかな五十鈴川のたたずまい
「伊勢神宮」とは?
伊勢神宮は「お伊勢さん」「大神宮さん」などと呼ばれますが、正式には「神宮」といいます。
伊勢神宮には天照大御神(あまてらすおおみかみ)※を祀る「皇大神宮」と、豊受大御神(とようけのおおみかみ)を祀る「豊受大神宮」の二つの正宮があります。一般に皇大神宮は内宮(ないくう)、豊受大神宮は外宮(げくう)と呼びます。
内宮は垂仁天皇26年、外宮は雄略天皇22年に創建されたとされています。これが何年かを比定するのかは諸説あるのですが、少なくとも1300年以上の歴史を持つものと推定されています。
この内宮と外宮、14所の別宮、43所の摂社、24所の末社、42所の所管社があります。これら125の宮社を全部ひっくるめて神宮です。
ですので、ひと口に伊勢神宮と言っても125宮社の総合体ということになります。ちなみに内宮と外宮だけで年間約800万人がお参りします。
伊勢神宮が素晴らしいのは、周囲の自然がそっくり残されていることです。「日本の原風景」という言葉がありますが、伊勢神宮こそこの言葉が当てはまる場所です。伊勢神宮にお参りすると神々しく、清らかな自然に触れることができます。
※正確には天照坐皇大御神(あまてらしますすめおおみかみ)
●伊勢神宮の社は特別です
伊勢神宮に行くと、社が他の神社と違うことに気付くでしょう。神社というと、朱塗りで瓦屋根というイメージがあるかもしれませんが、こうなったのは後代になってからのこと。伊勢路神宮の社は、古代の建築様式を受け継いだ「神明造」。弥生時代の高床式倉庫が起源とされています。
「お伊勢参り」とは?
天皇家との結びつきが強く、日本の成り立ちまでさかのぼる伊勢神宮への信仰は江戸時代以前からありましたが、現在につながるお伊勢参りが盛んになったのは江戸時代です。東海道などの主要幹線道路が整備され、社会が平和で安定し、庶民が退屈してくると旅行ブームが起こったのです。
↑伊勢神宮近くのおかげ横丁。下掲おはらい町の中程にあります。
中でもお伊勢参りは江戸時代の庶民の夢の旅行でした。
お伊勢さん(伊勢神宮)は20年に一度「遷宮」を行います。遷宮というのは社殿を造り替えて神座を移すことです。伊勢神宮では1300年以上にわたってこれを行っています。遷宮に合わせてお伊勢参りのブームが起こりました。
1830年には、なんと約500万人の人々が伊勢神宮へ旅をしたといわれています。ちなみに当時の日本の総人口が約3,000万人と見積もられていますから、お伊勢参りがいかに流行ったかが分かるでしょう。
↑伊勢神宮近くの「おはらい町」
このブームには、伊勢神宮の御師と呼ばれる人々が関わっています。御師とは伊勢神宮が各地に派遣した、いわば一種の神主さんで、この人達が伊勢神宮のお札を配り、お伊勢参りへの勧誘を行いました。今でいうと旅行代理店のエージェントみたいな仕事をしたのです。彼らの巧みな誘致は大きな効果がありました。ちなみに明治時代初頭の調査によれば、900人の神職が伊勢神宮から全国へ派遣されていたそうです。
●イヌもひとり(?)で伊勢参りに行った!
江戸時代にはイヌも伊勢参りに出掛けたという記録が残っています。それも1匹ではありません。日本各地から伊勢参りに行くイヌが出現したのです。
有名な話をご紹介すると――阿波の庄屋さんの夢枕に飼い犬が立ち「お伊勢参りに行きたい」と訴えました。庄屋さんは、300文のお金を入れて首にかけ、旅支度をしてやりました。ワンコは道中お伊勢参りに向かう人達にかわいがられながら無事にお伊勢さんに着きました。あまりにその姿がいじらしいということで、道中、お金を出してやる人が後を絶たず、最後は3,000文以上にもなったそうです。さすがにこれでは重くて首にはかけられません。不用心だというので帰り道が同じ方向の参詣人が、庄屋さんの家まで送ってくれたといいます。こうしてワンコは無事にお伊勢参りを果たして家に帰って来たのです。
イヌのお伊勢参りは、首にしめ縄とお金の入った巾着袋を下げて――というスタイルでした。道周辺の住民がイヌの世話をし、エサ代を巾着から受け取っていたようです。ただ、みんながご祝儀を巾着に入れてあげるので、だんだん巾着が重くなり、このような場合には親切に両替をしてあげることもあったとのこと。ほっこりする話ですね。
「伊勢神宮」へのアクセス
伊勢神宮に行くには鉄道を利用するのがおすすめです。内宮のみにお参りする人もいますが、外宮からお参りして内宮にも、というのが一般的な参拝ルートです。ただし、外宮と内宮は約4~5kmほど離れています。歩いてもいけますが1時間以上かかります。バスかタクシーを使うことをお勧めします。
●東京から
名古屋まで新幹線で行き、名古屋からは近鉄、あるいはJRに乗り換えます。外宮の最寄り駅は「伊勢市駅」で、徒歩5分ほどで着きます。
●大阪・京都から
大阪・京都からは近鉄を利用します。同じく外宮の最寄り駅である「伊勢市駅」で下車し、徒歩で向かいましょう。
※近鉄「宇治山田駅」を利用することもできますが、この場合には下車した後の移動はバスかタクシーを使うのがおすすめです。
もし、内宮のみ参拝するという場合には、近鉄「五十鈴川駅」で下車しましょう。内宮までは路線バスを利用するといいですね。
解決!! はじめての「お伊勢参り」おどおど
伊勢神宮は豊かな自然の中にあり、行くと清々しい気持ちになれる特別なところ。修学旅行で行った経験のある皆さんも、時間をおいて行くとまた感じ方が変わるのではないでしょうか。行ったことがない人は、ぜひ一度は行ってみることをお勧めします。「日本の原風景」に触れることができるというのは本当です。
文:高橋モータース@dcp
編集:学生の窓口編集部