医療・福祉業界を目指す大学生だからこそ。学生目線で発信し、伝えられることがある 〜 “ヤングケアラー(家族の介護を担う子どもや若者)”当事者の集い〜

ふうせんの会

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“つながる”をキーワードに、ヤングケアラーのワンストップ支援を目指して

大阪歯科大学 医療保健学部 口腔保健学科 4年 十川望です。私が参加するのは、大阪歯科大学医療保健学部口腔保健学科 濱島淑恵教授が立ち上げた「ヤングケアラー」がつながるための集いの場「ふうせんの会」です。 ヤングケアラーは、様々な理由で家事、きょうだいの世話、家族の介護、感情的サポート、通訳等をしている(していた)子ども、若者たちのことをいいます。

ふうせんの会は高齢の家族や病気の家族等のケアを担っている(担っていた)子ども・若者たちの交流、情報交換を目的に活動しており、私は在学生メンバーとして参加しています。 家族のケア、手伝いをしている(していた)高校生以上の人ならだれでも参加できるこの会の活動のもうひとつの目的は「情報発信」です。

私は、「この活動をひとりでも多くの人に知ってもらいたい」という思いで、学生メンバーとして参加しています。

※集いの写真 (コロナ禍ではオンラインを活用して交流を行っています)

トピックス(1)ヤングケアラーは「社会の問題としてとらえるべき」

本学の濱島先生が実施した調査では、高校生の20人に1人がヤングケアラーであることが分かったそうです。ひとり親世帯、経済的困難などの環境にヤングケアラーは多くみられるといわれており、「背景には社会の構造的な問題がある」と先生は指摘します。

家事や感情的なサポート、兄弟の世話など、「大したことはない」と思われがちですが、心も発達段階にある子どもたちにとっては、より精神的負担が大きくなることも。学校に行けない、友人づきあいができないなど、健康を害するケースもみられます。私と同世代の人の中に、苦しんでいる人がいると知り、自分にも何かできることがあるかもしれないと考えるようになりました。

「ヤングケアラーは児童虐待、不登校、非行などと異なり、児童福祉の問題として顕在化されず、支援がなかなか届かない」という実態を知って、学生目線で、同世代の人たちにももっと知ってもらいたいと思い、集いに参加しています。

トピックス(2)SDGsとヤングケアラーの関係

SDGsの17の目標のうち、「目標1:貧困をなくそう」や「目標3:すべての人に健康と福祉を」、「目標4:質の高い教育をみんなに」は、特にヤングケアラーの支援活動と密接に関係するものです。 

私は大学の医療保健学部で歯科衛生士と社会福祉士を目指して勉強しています。医療・福祉の専門職を目指したきっかけは、子どもが好きという気持ちと、祖父の介護支援をきっかけに福祉専門職の方と交流する機会が多かったからです。「子どもたちの福祉に役立ちたい」と考える私にとって、ふうせんの会の集いに参加することは学びや気づきの多い貴重な機会です。

特に、ヤングケアラーの支援には「福祉」だけでなく、「教育」と「福祉」の連携が重要だということを知りました。集いに参加するヤングケアラー(元ヤングケアラー)は、今何に困っているのか、苦しんでいるのか、つらかった経験、社会に訴えたいことなどを話します。医療・福祉を学ぶ学生という立場だからこそ、「生の声」を聞いて、その思いや苦しみを理解して、一人でも多くの人に知ってもらうことが支援につながると考えています。 

SDGsの目標のうち、貧困や飢餓、健康や教育などは一見、開発途上国に対する支援に見えるかもしれませんが、日本の子どもの6人から7人に1人が貧困だと言われていたり、その社会的な問題がヤングケアラーの背景にあったり・・・と、決して遠い世界の話ではないんだということを知ってもらいたいと思います。医療と福祉を両方学べるからこそできる、本学のSDGs推進活動のひとつとして、ヤングケアラーの情報発信をこれからも続けていきたいと思います。

トピックス(3)大阪歯科大学の全学的なSDGs推進活動にふうせんの会として参加

大阪歯科大学は、SDGsについて、17の目標と169のターゲットの達成に向けた研究・教育を推進するため、2021年度事例集を作成しました。 

「博愛」と「公益」の建学の精神のもと世紀を超えて歯科医療のプロフェッショナルを育成してきた本学が、口腔から全身健康に寄与できる医療人の育成を使命として、医療・保健・福祉の連携した教育・研究・臨床活動に邁進しています。

SDGsの推進に関連する大学の先生方の日々の教育・研究活動の事例のなかに、ふうせんの会の取り組みも加えていただくことで、他学部の学生にもヤングケアラーについてもっと知ってもらいたいと思います。

さいごに

【ふうせんの会】とは

大阪歯科大学牧野キャンパス(枚方市「京阪牧野駅」から徒歩7分程度)※オンラインでも参加可能です。)で、隔月でつどいを開催しています。 家族のケア、手伝いをしている(していた)高校生以上の人ならだれでも参加OKです。

ヤングケアラーではないけどちょっと似ているかも?と思う人も大歓迎です。同じような経験をもつ者同士でつながりたい、他の人の経験について聞いてみたい、自分たちのことをもっと知ってほしいという思いからはじまった会です。10人程度が集まり、ケア経験を共有したり、フリートークをしています。

メンバー紹介

(学生メンバー)大阪歯科大学 医療保健学部 口腔保健学科 4年 十川望 ※ふうせんの会は、大阪歯科大学医療保健学部 濱島淑恵教授が発起人となり、朝田健太氏と共同で代表をつとめる集まりです。今回の記事を作成したのはふうせんの会の学生メンバーです。

ホームページ

ふうせんの会ホームページ

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他の人の話を聞くだけでもOKです。まずはこじんまりと話したい人のために、運営メンバーと少人数で話すこともできます。

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