【第二弾】大学生が外務省に聞いてみた! 「SDGsで作る これからの日本、これからの世界」前編
2030年までに達成すべき人類共通の課題、「SDGs」(持続可能な開発目標)。
「世界中が抱えるさまざまな課題をクリアし、明るい未来を築こう」という趣旨で定められた目標ですが、もし2030年までに達成できなければ、一体どんな世界になってしまうのか――私たちはまだ想像できていません。
そこで今回は、東洋大学の学生団体「TIPS」のメンバーが外務省を訪ね、国際協力局地球規模課題総括課で勤務する伊東孝将さんにインタビュー。SDGsで作るこれからの日本の姿とは、そして世界はどう変わっていくのでしょうか、お話をうかがいました
文:猿川佑
写真:島田香
編集:学生の窓口編集部
SDGsが達成された世界、達成されなかった世界をシミュレーション
山本さん:2030年にSDGsが達成された場合、そしてされなかった場合、それぞれどんな世界が訪れるとお考えですか?
伊東さん:よく言われるのは、このまま地球温暖化が進めば海の水位が上がり、住んでいる場所が水没してまったり、有名な観光地や遺跡にも行けなくなってしまうということでしょうか。プラスチックゴミも大変な問題ですよね。日本でも海ゴミ問題はありますが、海外には、ビーチの砂が見えないくらい海にゴミが溜まっている場所もあります。
おそらく、若い皆さんのほうが、このままでは地球がどう変わっていくか、いろんなイメージが湧くのではないでしょうか。ぜひ、若い皆さんで問題意識を共有してください。もちろん、私たちも警鐘を鳴らしていきます。
三浦さん:僕らのエネルギーにかかっている、ということでしょうか?
伊東さん:もちろん、皆さんの力は重要です。2030年には皆さんも30歳前後となり、社会での存在感も高まっています。SDGsは2030年を達成期限とする国際目標ですが、その後も持続可能な未来を繋いでいく必要があります。自分たちの将来のため、そして自分より後の世代のため、今から意識を高く持ってSDGsの達成に取り組むことが大事だと思います。SDGsを達成できた社会がどうなっているかは、正直わかりません。でも、今よりも良い社会を望んで、みんなが一緒になって取り組んでいるんですから、きっとより良い社会が待っているでしょうし、それを今後何百年、何千年と継続できるよう、がんばりましょう!
日本が抱えるSDGsの課題と強み
山崎さん:SDGsのうち、日本で足りていない、不十分と思われる分野はどこだとお考えですか?
伊東さん:ドイツのベルテルスマン財団と持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が毎年出している「世界のSDGs達成度ランキング」によると、日本はゴール5のジェンダーが課題だと言われています。男女雇用機会均等法が施行されて30年ほど経ちますが、女性役員の数や議員の数、男女比を見れば、まだまだ課題があることがわかります。
山崎さん:では、逆に日本が優れている面はどういった分野でしょうか?
伊東さん:日本が秀でている分野も多々あって、例えば教育もそのひとつだと言えます。SDGsでは教育分野でもさまざまな指標が設けられていますが、日本はほぼすべての項目で高い評価がされています。
それだけでなく、日本の教育の取り組みを海外にも発信し、他国の教育レベルを上げるためのサポートもしています。例えば、女性でも教育が平等に受けられるような環境整備などがそれに当たります。日本に足りていないところは今後も努力し、秀でている分野では他国の支援ができるよう取り組んでいるところです。
三浦さん:他に、日本が他国のSDGs達成に貢献している分野もあるんですか?
伊東さん:日本は地震や台風など、災害が多い国です。だからこそ、建物や道路、水道など、災害に強い街づくりにも長けていて、そうした分野でも国際社会に貢献しています。例えば国際機関を通じ、他国の防災計画策定の支援をしたり、日本の技術を輸出したり、防災の面ではかなり力を入れて支援に取り組んでいますよ。
【後編に続く】
※記事内容は(2020年10月)のものです。
サークルプロフィール
東洋大学 TIPS
東洋大学 TIPSは『SDGs・ダイバーシティ×学生の成長』をテーマに活動する東洋大学の学生団体。SDGsとダイバーシティについて学び、広め、達成に貢献する活動を展開。ビジコンの企画・運営や、企業・NPO・他団体との連携、コンテストへの参加やイベントへの登壇などを通し、ひとりひとりの成長を目指して活動中。
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