理系学生や院生なら、エントリーシートなどの書類選考で「研究概要」を書かなければなりません。この研究概要をうまく書くことができれば、就活の第一関門をスムーズに通過することができます。独りよがりの表現にならず、自分が取り組んでいる研究を専門分野外の相手にとってもわかりやすい内容に噛み砕いて説明することが大切です。
しかし「分かりやすくまとめるとアピールが少なくなる……」「どうしても難しくなってしまう」など作りこんでいくときに悩んでストップしてしまう方も多いはず。そんなあなたのために、今回は研究概要を簡単に作れる書き方のポイントを徹底解説します! ぜひ参考にして自分のエントリーシート作成に役立ててみてください。
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理系学生や大学院生が何を研究してどのような成果が出たのか、取り組んできた内容をざっくりとまとめたものが研究概要です。文系学生が書く「学業(学業以外)で頑張ったこと」と同じようなことが求められる文章です。
自分の研究を誰が読んでも理解できる文章にするためには、論文などで学んだ書き方は忘れて書くことが必要です。まったく専門外の人でもわかるような内容にすることを心がけ、作成してみてください。
研究概要を聞く理由としては、具体的に5点あります。作成するときに質問される理由を把握しているのといないのでは文章の説得力が大きく異なってきますので、ぜひ参考にして作りこみを行ってみてください。
あなたがどんな人かを判断するために研究概要をエントリーシートで書かせています。学生時代に一番力を注いだことで、どのようなことをやってどんな結果が出たのかを聞けば、その人のポテンシャルをある程度把握することができるからです。
その企業が求めている人材のタイプに合わせて内容を編集できるとさらに魅力的なエントリーシートを作ることができますのでぜひチャレンジしてみてください。
研究一筋の生活を送っていると専門用語を使う機会が増えます。初めて聞いた人にはわかりにくい言葉になっていることに気がつかない方も多いです。そのため、「この書類は誰のために書くものか」「どんな風に書けば読みやすく、伝えられるのか」を意識できるかどうかは、社会人になっても大切な項目となります。
一般的な企業に就職する場合、あなたが提供する商品やサービスの先にはクライアントがいます。もしクライアントに価値があると思ってもらえないプレゼンをした場合は、そのプランを実行することができなくなってしまうのです。
相手がいて事業が成り立っていることを認識し、コミュニケーションの取り方までに気を配れることは社会人として不可欠な能力といえるのです。就活ではこのあたりも意識して作成したいものですね。
あなたはどんな研究に興味を持ち、どんな研究成果が出たか、その進め方にはどんな特徴があったかを知ることで、あなたがなぜそれを選んだのか、何に関心を持っているのか、取り組んだ研究成果、成果を出したプロセスを知ることができます。
思考回路や物事の進め方は仕事においても同じように発揮されます。その思考回路や物事の進め方が自社にフィットしているかどうかを判断されるのです。
研究を進めていくと、うまくいかなくなるタイミングやトラブルが必ず起こります。そうなったときにどのように考え方を転換して対応したか、その臨機応変さや発想を転換する力があるかを見ることができます。
これは仕事においても同じで、仕事も何らかのトラブルに見舞われることはよくあります。その対応策を考えられるかどうかで仕事の成果は大きく変化します。この質問であなたがトラブルに対して適切に対応できる人材かどうかを見られているのです。
エントリーシートに書いた研究概要は、面接などで深くヒアリングされることがほとんどです。学生時代をかけて取り組んだ内容ですから、仕事のときも同じように行動するはずと考えるのが自然です。なぜその行動をとったのか、どのような動機で研究を始めたのか、同じトラブルに見舞われないために何をしたのかなど、さまざまな観点で質問を受けます。
また研究についても、他の研究との違いや成果を出すことができた理由などを質問されるケースが多いです。
専門外の人事からは同じ学部の友人や教授と話したときには出てこない質問が、たくさん出てきます。そのときにうまく答えられるよう準備をしておきましょう。おすすめの方法としては文系の友人や知人に作成した研究概要を見せ、何を疑問に感じるかを伝えてもらう方法です。その質問に対してその場で答え、どんな点がわかりにくいかなどをヒアリングしておくと、面接での受け答えレベルを上げることができます。
このように徹底的に対策することが、就活を満足のいく形で終えるためには重要になってきます。
次に研究概要を作りこむときのポイントを4つご紹介していきます。
研究概要は何年もかけて研究してきたことを書くものですから、簡単にはまとめられないと感じる人も多いはずです。しかしあなたの研究概要を読むのは理系出身者ではなく、専門外の人事担当だということを忘れないでください。あなたが伝えたいことを伝えるのではなく、「相手が読みやすい文章を書く」ことができるかというコミュニケーション力も見られています。
また、研究の内容を知るのが目的ではなく、「研究の内容を通してあなたを知ること」が目的となりますので、研究の内容をすべて伝えようと思うことはやめましょう。意識しても一度書き出してしまうと長い文章になってしまうことが予想されるので、最初は下記4点を箇条書きでまとめていってください。
「養殖貝の成長促進をはかる養殖環境の研究」
「温暖化影響による海洋資源の減少に歯止めをかけ、種の保存をするため」
「温暖化による影響で貝の生育が不安定になっていること」
「天然の海洋資源の減少を防ぐために、時間のかかる養殖時間を短縮して資源を守る研究」
このようにまとめればだれでもわかる文章になりますので、ここから内容を肉付けしていきます。大切なのは、一番伝えたいことはこの文章であるということです。肉付けしたときに強調すべき部分を変えないように注意しましょう。
論理的な流れで研究概要を記述していきましょう。「結論→背景→具体的な研究内容→途中できた問題→成果→学んだポイント」の流れで書いていくと、わかりやすいです。研究を始めた理由、その研究でつまずいたこと、その対処法、成果、そして学んだポイントを聞けるので一連の流れであなたの特徴をつかむことができます。
また、それだけでなく仕事に生かせそうなあなたの特徴も知ることができるので、面接に呼びたい人材かどうかも判断することができます。
私は養殖貝の成長促進をはかる養殖環境の研究をしています。
研究背景は温暖化影響による海洋資源の減少に歯止めをかけ、種の保存をするためです。個人的な理由としては出身が広島で牡蠣養殖が盛んな環境で育ち、特産物を守りたいという気持ちがあったからです。
具体的な研究内容としては、時間のかかる養殖の期間を成長促進させることで短縮し、天然の海洋資源の減少を防ぐ研究をしています。
研究を進めていくうちに自然の海流とぶつかってしまうことでうまくエサが届かなくなり、逆に成長が鈍化したことがありました。想定していた海流と異なる動きは漁船の影響によるものであったため、漁船の動きを利用した水流のプログラミングをし直したことで無事成長を促進させることができました。
水流を変える装置を使ってさまざまな場所からエサとなる微生物が流れ込む環境を作り、成長促進に◯%の伸び率が見られました。
私が行っているこの研究は、急激に改善することが難しい温暖化に手を打つのではなく、現実的な路線で天然資源を守るという別の視点からの方法を取りました。変えられないものを変えたいときには発想の転換をし、さまざまな角度からものを見ることが重要であることを学びました。
上記に説明しましたが、研究だけを伝えるとただの研究発表となり、人事担当は「これで何を当社に伝えたいのだろうか?」と思ってしまいます。研究したことで学んだことを書き、その考え方は仕事に生かせそうだと感じさせる内容に作りこみましょう。
この研究概要は、面接のときに質問するネタとなるエントリーシートに書かれています。一番頑張ったことである研究内容は、質問される確率が100%といってもよいほどです。「なぜ?」という質問が同じ項目に繰り返しされることを想定して、自問自答するようにしておきましょう。ほかに想定される質問は下記のようなものです。
基本的にはその企業に受かるために答えるので、仕事とその研究で学んだことが結びつくポイントを作っておくことが大切です。
また、その研究を選んだ理由がエントリーシートに書いてあっても、さらに質問されるケースがあるため、深く掘り下げるために「なぜ?」の自問自答を何回も行っておきましょう。その理由に志望動機との関連性があればなおさらよい回答が作れます。
理系の学生や大学院生が、エントリーシートに必ず書くことになる研究概要。それを聞く理由から、書き方のポイントを徹底解説しました。
就活も入社してからの仕事も相手ありきで進むものです。研究概要だけに集中するのではなく、受け取る相手の気持ちを考えて文章を作ることを意識して作成してみましょう。
そうすると今までとは違う研究概要が作れるはずです。万全の対策を講じて面接に臨み、見事志望先の内定をゲットしてくださいね。
執筆:高下真美
新卒でインターンシップ紹介、人材派遣・人材紹介のベンチャー企業に入社。ベンチャー企業から大手IT・流通・情報・サービスなど多岐に渡る業種で営業・コーディネーターを担当。その後、大手採用コンサルティング系企業で8年の勤務を経て、夫の転勤を機に退職。現在は人材系コラムの記事執筆など、フリーライターとして活動中。
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