客観的な数字で企業をチェック! 就活生向け「財務分析」基本のキホン - いざ! 財務諸表を分析してみよう -​

客観的な数字で企業をチェック! 就活生向け「財務分析」基本のキホン - いざ! 財務諸表を分析してみよう -​

2015/06/28

自己分析

企業研究

関連キーワード:


■開示された数値をどうやって分析する?
- まずは資本利益率を押さえる!

さて、利益には何段階かの指標があることは分かりました。では、それを用いてどうやって分析するのか、収益性分析という手法をここから解説していきましょう。

収益性分析とは、企業が資本を投下して利益を獲得するという企業活動の最も重要な側面に着目した手法です。投下資本からどれだけの利益を獲得したかを示すのですから、

利益÷投下資本=資本利益率

という数式で表される資本利益率により分析を行うことになります。とはいえ、利益や投下資本という指標は抽象的であり、どの数値を使えばいいのか分かりません。

ここで、先ほど列挙したさまざまな利益指標が意味を持ってきます。つまり、いくつかの段階で表示された利益ごとに対応させる投下資本が異なってきます。投下資本もいくつかの指標が用意されているので紹介しておきましょう。

まず、一般的にイメージされる資本である資本主(株主)から拠出された資本金と、それを用いて獲得された利益の累積である繰越利益剰余金等が合算されて算出される株主資本が、1つめの指標として挙げられます。

次に、企業外部からの借入資本たる借入金等の他人資本(≒負債)と株主資本を合算した総資本が2つめの指標として挙げられます。総資本は基本的にB/S(Balance Sheet:貸借対照表)の資産額と一致します。なお、本稿では便宜的に株主資本を、前回までで紹介した「純資産」と同義として扱います。

この投下資本の指標をいくつかの利益指標に合致するよう組み合わせて、それぞれの資本利益率が算出されます。例えば営業利益は、会社の事業全体から得られる利益として整理されることが一般的であるため、投下資本の指標としては総資本が用いられ、

総資本営業利益率=営業利益÷総資本

として算出されます。総資本営業利益率は会社の利益を総合的な視点で判断するために用いられる指標です。例えば、営業利益が250万円、総資本(資産)が2,000万円という会社があれば、総資本営業利益率は250÷2,000=12.5%となります。なお、総資本営業利益率はROA(Return On Assets)と表示されることも多いので、覚えておくと良いでしょう。

次に、株主資本利益率という指標を解説します。これは株主や投資家の視点に立ち、彼らが投下した資本である株主資本がどの程度効率的に運用されたかを判断するために用いられる指標です。最終的に株主に還元する配当等は、当期純利益の累積である繰越利益剰余金を元手として行われるのが一般的です。このため、株主資本利益率は

株主資本利益率=当期純利益÷株主資本

として算出されます。例えば、先ほどの営業利益250に加えて、支払利息が100万円、特別損益および法人税等が50万円あったとすると当期純利益は100万円となります。さらに、総資本のうち株主資本が500万円であったとすると、株主資本利益率は100÷500=20%となります。

なお、株主資本利益率はROE(Return On Equity)と欧文で表示されることが多いので、こちらも覚えておくと良いでしょう。「会社は株主のもの」といった表現は皆さんも聞いたことがあるフレーズであると思います。資本主義の根底をなすこのような考えの下、企業がより効率的な事業運営を行うよう、最近ではROEがより重視されるようになってきています。

次のページ資本利益率をさらに細かく分解して分析してみよう

おすすめ記事

Intern sp bnr d2 03

人気記事ランキング

新着記事

ページトップへ