「現状を憂いてもしょうがない」ロンドンブーツ1号2号・田村淳さんが考える今“動くことについての価値”。
ほんの少しの勇気を出して、「はじめてのこと」や「ワクワクすること」に一歩踏み出すーー。今回、そんな大学生の「人生の冒険(たび)」を後押ししてくれるのは、タレントでありながら大学院生としても研究に励み、そのかたわらさまざまな事業やプロジェクトを立ち上げるといった、まさに八面六臂の活躍を見せるロンドンブーツ1号2号の田村淳さん。根っからの“行動派”な淳さんにとって、行動しない人は「意味がわからない」存在なんだそう。
そんな淳さんは、大学生の背中を「そっと」ではなく、「ドン!」と押したいと言います。「きれいごとを言って誰にもなんにも届かないより、嫌われてもいいから学生たちに自分の言葉が少しでも響いてほしい」という淳さん。少し辛口にも思えるその発言の数々からは、本当の優しさが滲み出ていました。
教えてくれるのはこの人!
田村淳さん(タレント)
1973年12月4日生まれ。山口県出身。’93年、田村亮とお笑いコンビ・ロンドンブーツ1号2号を結成。『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)、『グッとラック!』(TBS系)など情報・バラエティ番組を中心に活躍。ヴィジュアル系ロックバンド「jealkb」ではヴォーカルを担当。株式会社LONDONBOOTSの代表取締役、株式会社itakotoのCEOを務めるなど、会社経営者としての顔も持つ。2019年4月から慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科に在学中。
田村淳公式Twitter
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「株式会社itakoto」HP
第一回 「ウジウジ考えている時間こそがムダ」田村淳さんの冒険(たび)の原点。
大学に通えない現状を嘆くのではなく、この危機をうまく利用して“動く”
——今、大学生はコロナ禍で大学にも通えない状況が続いています。就活生にとっても売り手市場から一転、面接もオンラインになるなど、今までのやり方が通用しなくなっていますが、淳さんはこのような今の大学生の状況についてどう感じていますか?
優しく言うつもりはまったくないですよ。だって、僕の周りの大学生はむしろこの危機をうまく利用して動いているやつの方が多いんです。いつの時代も企業にとって人は必要だし、とにかく優秀な人を探しているじゃないですか。みんながみんな優秀な人になるのは難しいと思うけど、行動を起こすということに関して言えば、みんなできることですよね。能力をいきなり上げることはできないけど、行動を起こすことは誰でもできる。
このコロナ禍の状況をうまく使って、人を欲しがっているところを探して自分を売り込むって、やってる人はやってるんです。本当に学生のことを思うんだったら、マニュアルに従って動き始めてももう遅いんだっていうことを書いてあげた方がいいと思いますね。みんなが受け止められるような平べったい文章って、その時点で情報の価値としてはないと思うので。
だから、「背中をそっと押す」んじゃなくて、ドン!と押されて「うわ、動いちゃった」みたいな方がいいというか。突き動かされて一歩踏み出したことで、「今までの悩みなんて全然小さかったわ」とか「こんな問題に出会えたから、こうやって解決しよう」と思えるんだし、「やべぇ、就職できないわ」って言うんじゃなくて「じゃあ、どうやったら今の状況を打破できるのか」って考えてるヤツは考えてるから、そこで大きな差が生まれると思う。だから、これを読んで「動かなきゃ!」って思えるかどうかだと思います。
——とにかく動かないとダメですね。
そう言うと、「でも動けないんです」が始まっちゃうんですよね。でも僕はそこまで優しい人間じゃないんで(笑)。だって、本気で動かなきゃダメなんですよ? 僕は今“動くことの価値”について話してますけど、それがわからない人にもっとていねいに噛み砕く作業は別にしなくてもいいと思ってます。みんながみんな救えるような言葉って、本当は誰一人救えないと思っているので。
——確かに、そんな言葉ってなかなかないですし、誰にも届かないですよね。
そう、届かないと思う。だから僕は、この記事を読んで「なんか理解できたわ。一歩踏み出せそう」って思う人が、読者全員じゃなくてもいいと思いながら話してます。
——淳さん自身、現在大学院生という立場でもありますが、ご自身が学ぶ上でもコロナ禍の影響はありましたか?
ありましたけど、個人的にはむしろ家で授業が受けられるのでよかったです。大学に行かなくていいって、こんなにラクなことはないんで。僕は1年目、仕事との両立がすごくしんどかったんです。朝7時に起きて、9時には学校に行って、13時まで勉強してから仕事だったので、その1年間がものすごくしんどかった。キャンパスのある日吉のビジネスホテルを2カ月ぐらい借りてそこから通ってたこともあるくらい。だから今、それをしなくていいっていうのがすごくラクですね。
——じゃあ、逆に良い影響があったんですね。
良い影響というか、今はこの方法しかないんだからそれを憂いてもしょうがないというか。だから「大学に行かなくていい」とか、そういう利点ばかり挙げるようにしてますね。もちろん、もっと詳しく聞きたいとか、教授とのやりとりをもっと濃密にしたいとか、そういったマイナス面も当然あるし、大学院の施設や機材が使えないっていうのもすごいマイナスなんですけど、それは今すぐ解消できることじゃないんで、あんまり考えないようにしてます(笑)。3Dプリンターを借りられない、じゃあどうすればいいんだろうって考えたり……。
——学生生活を過ごす中で、他の大学生や大学院生たちとの交流の機会もあると思いますが、今の学生について感じることはありますか?
う〜ん、ひとくくりにはできないかなぁ。僕、一度テニスサークルに入ったんです。そんなに面白くなさそうだったんですぐにやめちゃったんですけど(笑)。同じテニスサークルでも、真剣にやってる人たちと、ただなんとなくサークルに入ってるだけみたいな人がいて、すごく温度差があったんですよ。そのあと入った陶芸サークルの方がよっぽど温度が高かったですね。「陶芸、マジでやりたい!」っていうヤツが集まっているんで。
僕は「気の合わない人とは友達にならない」って決めていて、自分と感覚が合う、気の合うヤツとしかつるまないし、お互い高め合えるヤツとじゃないと友達にならないんです。だから僕の友達はみんな上昇志向があるし、今こういう状況の中でも就職先を探してアポ取ったり、OBを見つけたり、就職したいと思う業界関連の人となんとかして接触しようと思って動いてますね。
——大学時代は、教養を身につけたり視野を広げる貴重な時間だと思いますが、このようなwithコロナの状況下で、大学生ができる、あるいは大学生に必要な冒険(たび)ってどんなものだと思いますか?
たとえば文字通りの「旅」も、コロナ禍だからできないかといったらそんなことない。僕は今日軽のキャンピングカーでここに来ているんですけど、ひとりキャンプなんて感染のリスクは少ないし、ひとりキャンプじゃないと行けないような場所があったりして、いくらでも刺激を取りに行けるので、この状況下でもできる旅ってあると思うんですよね。
——では、実際の旅以外ではいかがですか?
僕、「1万時間費すとその道のプロフェッショナルになる」みたいな言葉が好きなんです。1万時間ってなかなか費やせないんですよね。この前、僕がやってる番組でその“1万時間の法則”みたいなのを知ったんです。サッカーやってる人が、シュートがすごくうまくなりたくて、シュートの練習を毎日1〜2時間やるっていう動画を上げていて、「1万時間経つとシュートが神的にうまくなる」っていう理論を信じて打ち込むんですけど、もう1万時間いく前にすでに最初の頃と圧倒的な差がついていて、シュートの質が全然違うんです。
だから、自分が実験対象になるってことをやったほうがいいと思いますね。で、なにかしらに特化する能力を持っておくとやっぱ強いと思います。
——その人はプロのサッカー選手になることが目的で、シュート練習を続けたわけじゃないんですね。
そうなんです。でも確か結果海外からオファーが来たんじゃなかったっけな。だから、何かひとつに特化して磨き上げると拾ってくれる人がいるみたいで。その話、すげえ勇気づけられるなって思って好きなんです。“天才は完全に作られる”っていう理論ですね。
——その理論、きっと大学生もすごく勇気づけられると思います。大学時代はまだ時間もありますしね。
確かにあるんですけど、その“ある”って感覚がわからないので、あると思えてないんですよね。僕なんてマネージャーに1時間ごとの仕事のスケジュールを切られていて(笑)。今、遺書の研究をやってるんですけど、その研究する時間すら捻出できないので、「1時間でもいいから研究できる時間があったらスケジュールこっちに戻してください」ってお願いしてるんですけど、大学生はそんなことやる必要ないじゃないですか。
だけど、「時間がたっぷりあるんだよ」って大学生に言っても響かないっていうのはわかってるんですよ。それに、こんなこと言わなくても、時間の大切さをわかってる人や、何かに打ち込むことに時間と労力をかけてる人はいるじゃないですか。だから、響く人はもう動いてるし、今、ここでこうやって話しても響かない人には響かないんですよね(笑)。といっても、別に投げてるわけじゃなくて、いつか気づけばいいと思ってるんです。ただ、今、言葉だけで気づかせるのは不可能だと思っていて。
もちろん、記事を読んでくれて、少しはいい反響もあると思いますけど、大多数がそうじゃないと思う。でも、僕が正直に話してることを読んで、「クソッ!」とか「あいつ、こんなこと偉そうに言ってたな」って思う方が効果があると思うんです。だから僕はこのまま書いてもらっていいし、大学生読者の敵になってもいい(笑)。だって今さら大学生の味方になってあげようなんて本当に思わないですもん。ただ、僕は今、大学院に一生の友達だなって思うヤツがもうできていますし、同志だと思えれば年齢は関係ないんですけどね。<続く>
文・取材:落合由希
写真:友野雄(YU TOMONO)
編集:マイナビ学生の窓口編集部
第一回 「ウジウジ考えている時間こそがムダ」田村淳さんの冒険(たび)の原点。
第三回 「動いて失敗することを繰り返して自分の道ができていく」 不安を抱える学生に伝えたいこと。
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