写真だけじゃない、生まれ変わった美術館をまるごと楽しむ! 大学生からのアートのはじめかた「東京都写真美術館」編

編集部:はまみ

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大学生のみなさんは、美術館と聞くとどんなイメージを思い浮かべますか? 多くの人は美しく整った館内に絵や彫刻が整然と並んでいる、というイメージを持つのではないでしょうか。しかし実際には、みなさんがイメージしている美術館とは少し違ったアプローチの美術館が数多くあります。今回は、リニューアル・オープンしたばかりの『東京都写真美術館』を訪問。空間を活かした展示やおしゃれなカフェなど、リニューアルした美術館で最新アートをいち早く体験してきました!

恵比寿にある写真と映像に関する総合的な美術館

東京都写真美術館は、1995年に恵比寿ガーデンプレイス内に総合開館した「国内初の写真と映像に関する総合的な美術館」です。日本の写真や映像文化の充実・発展を目的にさまざまな企画展が行われ、また貴重な海外の作品も数多く展示されてきました。約2年にわたる大規模改修工事による休館を経て、2016年9月3日にリニューアル・オープン。美術品専用のLED照明機器など新しい設備の導入だけでなく、開放的なエントランスやカフェやショップを一新するなど利便性も向上しました。また英語館名「TOKYO PHOTOGRAPHIC ART MUSEUM」から「TOP MUSEUM(トップミュージアム)」という新しい愛称も付けられました。


1階ロビー

現在、東京都写真美術館では「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展を開催中。この展覧会では、世界的な現代美術作家・杉本博司氏による3つのシリーズが展示されています。今回は広報の平澤綾乃さんの案内で大学生の渡邊稔之さん、関守多圭さんと一緒に見て回りました。

――お二人は東京都写真美術館に来たことはありますか?


僕は初めてです。美術館には時折足を運ぶ程度で、美術は好きですがまだまだ初心者ですね。今回は杉本博司氏の展覧会が開催中ということで、どんな展示になっているのか楽しみです。




私も初めてです。美術館も数えるほどしか行ったことがありませんが、渡邊さんが言ったように、「写真の美術館」は初めてなのですごくワクワクしています!



――今回は展覧会だけでなく、リニューアルされたばかりの東京都写真美術館の「見どころ」もチェックしながら回るので、その辺りも注目ですよ!

ここでしか見ることのできない貴重な展示

「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展(11月13日まで) 3階展示室前

現在、東京都写真美術館では「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展と「世界報道写真展2016」を開催中。まずは「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展を巡ります。この展覧会は、リニューアル・オープン/総合開館20周年記念として、世界的な現代美術作家・杉本博司氏が人類と文明の終焉という壮大なテーマを掲げ、世界初発表となる新シリーズ<廃墟劇場>に加え、本邦初公開<今日 世界は死んだ もしかすると機能かもしれない>、新インスタレーション<仏の海>の3シリーズを2フロアに渡って展示し、作家の世界観、歴史観に迫るものです。

まずは、3階室から展示が始まる<今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない>シリーズの作品を鑑賞します。


これは2014年にパリで開催された『パレ・ド・トーキョー』で発表したインスタレーションを中心とした展示で、今回東京都写真美術館で展示を行うということで新しく東京バージョンとして作り直されました。





インスタレーションというのは何ですか?



インスタレーションは、絵や写真を壁面で固定するだけでなく、オブジェなどを空間全体を自由に使って「空間そのもの」を作品とする表現手法です。今回の展示はかなり大規模なインスタレーションとなっていて、本展示が巡回展示されることは今後予定がないそうです。まさに「ここでしか見られない展覧会」ですよ。




それだけ貴重な展覧会なのですね。



《比較宗教学者》より ラストサパー サンディ1999年 / 2012年   ©Sugimoto Studio


3F展示室<今日世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない>では、杉本氏が33人の異なる職業の人が文明と人類の終わりをどのように迎えたか、33通りのシナリオでインスタレーションとして表現しています。



美術館といえば、白い床や壁の空間に美術品が飾ってある、というイメージがありますが、この展覧会はボロボロのトタン板で仕切られていて、かなり印象が違います。




「世界は死んだ……」という雰囲気がものすごく伝わります……ちょっと不気味さというか、怖さを感じる展示ですね。



《美術史学者》より 雷神 鎌倉時代    ©Sugimoto Studio


各部屋には、主人公となる人物が書き残した遺書のような手紙が遺されています。コメディアンやジャーナリスト、養蜂家などさまざまな職業の人が書き残していますが、これらの手紙は著名な方々が肉筆で代筆されています。




だから部屋ごとに手紙の文字のタッチが異なるんですね。おもしろい!




他にも定期的に音が鳴るオブジェが配置されているなど、ユニークな仕掛けが隋所にあり、想像力が刺激される展示になっていますよ。ちなみに置かれているものは全て杉本氏が世界中から集めた私物のコレクションです。



個性的なオブジェをこれだけ多く揃えているのもまたすごいですよね。ひとつひとつのものだけでも見る価値がありそうです……。



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