SDGsを目指した大学と地域の連携によるブランチキャンパス型教育モデルの構築 〜トリトン・セーフティ・イニシアティブプロジェクト〜
SDGsに基づいた新たな教育モデルの構築に向けて
現在取り組むSDGsプロジェクトの一つに出雲崎町を舞台とした「トリトン・セーフティ・イニシアティブプロジェクト」があります.そのプロジェクトの具体的な取り組みに,「大学と地域が連携した新たな教育モデルの構築」を目指した活動が挙げられます.
本邦の教育の現状として,国際的な比較によると学力は上位である一方で,大学・短大への進学率や研究力はトップクラスと言えない状況です.学ぶ意欲や学習の習慣,それらを促す環境が必ずしもトップクラスでは言えないことが危惧されています.主体性と自律性の低下および教育モデルの未構築は,未来の本邦を支え,世界で活躍する人材育成にとって大きな課題です.そこで我々はこれらの課題解決とSDGsの達成に向けて,大学と地域が連携した新たな教育モデルの構築を目指した活動に取り組んでいます.
トピックス(1) 新潟大学×出雲崎高校 ブランチキャンパスの開講と初年度の取り組み
令和2年度に,出雲崎高校との連携によるオンラインツールを活用したブランチキャンパスを開講しました.ブランチキャンパスとは,大学など教育機関の本部から地理的に離れた場所に設置されたキャンパスのことです.高校生がいつもの場所にいながら大学教育の高度な学びといったいつもとは違った学習の体験により,学ぶ意欲の向上や学習の習慣化,さらには大学進学への興味・関心の育成が目的です.
初年度は新潟大学教育学部・工学部・理学部に所属する4名の教員からオンラインで授業を実施してもらいました.
トピックス(2)ブランチキャンパス2年目の取り組み
ブランチキャンパスが開講して2年目となる令和3年度は,新潟大学工学部の教員の他に教育や工学を専門とする大学院生,海外留学中の学生,企業研究員といった幅広い領域の方に講師を担当してもらいました.
SDGsについて学びながら出雲崎の未来を考える授業や,これまでの経験と現在の学びを題材とした将来について考える授業など,多角的な視点から授業を実施してもらいました.
トピックス(3) アンケート調査から読み取る授業の効果
授業終了後に,高校生が授業を通して学んだことや感じたことについてアンケート調査を行いました.高校生からは,「大学での学びに興味が湧いた」,「大学に進学して勉強したいと思った」,「SDGsについて楽しく学べて理解を深めることができた」,「学ぶ楽しさを感じた」など,ポジティブな感想が多く寄せられました.
“どこでも学べる仕組み”,そして大学と地域が“つながる仕組み”を狙いとした新たな教育モデルの効果を十分に見出すことができ,本邦の教育レベルの向上と人材育成,そしてSDGsの達成を果たす可能性があると考えられます.
サークル紹介
SDGsの達成というとても大きな目標を達成するためには,研究・教育機関,地域,行政,企業,地域住民といった産官学民の連携が必要不可欠だと考えます.多様なステークホルダーと連携したブランチキャンパス型教育モデルの構築による教育環境整備と未来の本邦を支える人材育成に努め,SDGsの達成に向けて一生懸命,楽しく取り組んでいきたいと思います.
メンバー紹介
新潟大学大学院 現代社会文化研究科 博士後期課程 村山研究室 坂口雄介
新潟大学大学院 自然科学研究科 博士前期課程 村山研究室 五十嵐大成
他のSDGs特集記事もチェック!