人生でトータルいくらかかるの?ライフイベントでかかるお金について考えよう |学校では教えてくれない「お金の授業」
学生である方にとって、これからの人生でどのようなシーンでどのくらいのお金がかかるのかを知っておくことは重要です。生生活から始まり、就職活動、結婚、住宅購入、そして老後の生活まで、それぞれの段階での総額を考えてみましょう。
目次
1.主なライフイベントにかかるお金の総額
2.学生生活でかかるお金
3.就職活動でかかるお金
4.結婚するときにかかるお金
5.住宅の購入にかかるお金
6.老後の生活にかかるお金
7.ライフイベントごとにお金を準備しよう
人生の主なライフイベントにかかるお金の総額は?
まずは大きなライフイベントごとにかかるお金の総額をチェックしましょう。
ライフイベント |
費用 |
学生生活 |
250万円~2,300万円 |
就職活動 |
10万円~20万円 |
結婚 |
100万円~550万円 |
住宅購入 |
3,000万円~ |
老後資金 |
2,000万円~ |
それぞれのライフイベントごとに高額な費用がかかるので、驚いている方もいるでしょう。 もちろんこれらの費用は、あくまでも目安なので、すべての方に該当するわけではありません。
しかし、どういった内訳でこのような費用が計算されるのかを知っているだけでも、ライフイベントでかかるお金を考えるヒントになると思います。
では、それぞれのライフイベントでかかる費用について、ひとつずつ確認していきましょう。
学生生活でかかるお金
学生に必要なお金といえば、主に学費、生活費が考えられます。それぞれどのくらいの費用がかかるのかがわかれば、学生生活で必要な金額がイメージできます。
では、まず学費から見ていきましょう。以下に、入学から卒業までにかかる学費を国立大学と私立大学別にまとめました。
学校区分 |
入学金 |
授業料(4年分) |
施設設備費 |
合計額 |
国立大学 |
282,000円 |
2,143,200円 |
※1 |
2,425,200円 |
公立大学 |
393,618円 |
2,154,532円 |
※1 |
2,548,150円 |
私立大学(文系) |
231,811円 |
3,124,012円 |
609,984円 |
3,965,807円 |
私立大学(理系) |
254,941円 |
4,407,416円 |
736,408円 |
5,398,765円 |
私立大学(医科歯科系)※2 |
1,050,306円 |
17,087,640円 |
5,236,266円 |
23,374,212円 |
※1:別途、施設費、実習費用などがかかることがある
※2:4年制と6年制があるが、ここでは6年制で試算
これより、4年制の国立大学で4年間にかかる学費は約250万円、私立文系で約400万円、同じく理系で約550万円、私立の医・歯学部では2,300万円を超える学費が必要になることがわかります。
「学費だけでも大変だ!」と思ってしまいますが、それに加えて生活費についても考えなくてはなりません。
大学に入学したら、一人暮らしをするという方もいると思います。一人暮らしに憧れる方は多いですが、お金がかかることにも気を付けなくてはなりませんね。
大学生が一人暮らしをした場合、1ヵ月にかかるお金の目安は以下のようになります。
費用項目 |
平均金額(円) |
食費 |
26,390円 |
居住費(家賃) |
53,930円 |
交通費 |
4,070円 |
教養娯楽費 |
12,870円 |
書籍費 |
1,860円 |
勉学費 |
1,900円 |
日常費 |
7,620円 |
電話代 |
3,550円 |
その他 |
3,430円 |
合計 |
115,620円 |
居住費(家賃)都内か地方で平均相場が異なりますので一概にはいえませんが、1ヵ月およそ11万円前後のお金がかかることがわかります。
このように、大学生活では学費や生活費に高額な費用がかかりますので、保護者からの援助や奨学金などを上手に利用して費用を賄う必要がありますね。
就職活動でかかるお金
大学3年生になると、就職活動が始まります。「就職のことを考えなければいけないのか....」と不安になる一方、将来のために就職活動に励む方も多いことでしょう。
就職活動で必要となる出費には、主に以下のようなものがあります。
・交通費
・写真撮影代
・飲食代
・履歴書や郵送代
・美容院、散髪代
さらに、就職活動には書籍購入費や、印象を変えるためにメガネをやめてコンタクトレンズにするなど、人によって様々な費用が発生します。また、近年ではオンライン選考の企業もあり、PC機材やタブレット端末の用意をする方も増えています。そのため、具体的な金額は一概には言えませんが、おおよそ10万円~20万円程度の費用が必要とされています。
スーツやバック、靴などは就職してからも使えるように、ある程度クオリティの高いものを選ぶといいでしょう。一時的な出費に感じられますが、長い目で見ればコストパフォーマンスが高いかもしれませんね。
履歴書用の写真撮影や郵送代、身だしなみを整えるための美容院代なども欠かせません。また、待ち時間などに飲食をすることもあるので、その費用も考えておいた方がいいでしょう。
そして注意しなくてはならないのが交通費です。都内の学生が都内の企業を訪問する場合は、電車やバス、場合によってはタクシーなどで移動できます。しかし、地方の学生が都内の企業を訪問する場合は、交通費が数千円単位でかかってしまうことが多いです。
中には、宿泊を伴う可能性がある方もいるので、宿泊費を組み入れておいた方が安心です。
就職活動に必要なお金は、都内の学生よりも地方の学生のほうが高額な費用が必要になることが多いです。
ただし、最近ではオンラインでの選考も増えているため、1次、2次選考はオンラインで行い、最終面接のみ訪問するケースも数多く見受けられます。地方の学生の場合は交通費が節約でき、費用への心配が軽減され、就職活動に専念でできますね。
結婚するときにかかるお金
就職の次に考えられる大きなライブイベントは、結婚ではないでしょうか。結婚は、「それなりにお金がかかるもの」というイメージもありますが、実際のところどのくらいかかるのか見ていきましょう。
結婚情報誌の調べによると、結婚費用の総額は平均で461万8,000円にもなるそうです。その内訳には、以下のものが含まれています。
費目 |
平均費用 |
内容 |
婚約費用 |
6万7,000円~23万1,000円 |
結納や食事会、婚約指輪の購入費用など
|
結婚式費用 |
354万9,000円 |
挙式、披露宴、食事代、ギフト代など |
ハネムーン(お土産代を含む)費用 |
71万9,000円 |
ふたり分の旅費 |
さらに、新居に引っ越すとなると、引越し費用や家電購入費、家賃の前払い費用など、100万円近いお金が必要になる可能性もあります。
「そんなに払えないよ!」という悲鳴が聞こえてきそうですが、結婚費用は全額ふたりで準備しなくてはならないものではありません。親からの援助やお祝い金もあるでしょうし、結婚式に出席する方からのご祝儀もあります。
直前になって慌てないように、結婚式に向けてふたりで「結婚貯金」を始めるのもいいですよね。
最近は、結婚式を挙げないカップルや、親しい人だけでお祝いをするスタイルを選ぶカップルも増えていますので、結婚費用については選択肢が増えています。ふたりの考えや予算をもとに、両家で納得のいく結婚の形を考えていくといいでしょう。
住宅の購入にかかるお金
結婚し家庭を持ったら、次は住宅購入を考えると思います。「夢のマイホーム」に期待が膨らみますが、それと同時に住宅ローンの不安も大きくなりますね。
住宅購入には住宅本体だけではなく、他にも諸費用がかかりますので、想像していたよりもお金がかかってしまうことが多いです。
ここで、住宅購入時にかかるお金をまとめてみました。
費目 |
内容 |
頭金 |
物件購入時に、現金で支払う分(物件価格の1~2割) |
諸費用 |
申込証拠金、手付金、印紙税、仲介手数料、登記費用、不動産取得税、固定資産税・都市計画税など |
ローン契約費用 |
印紙税、ローン借入費用(団体信用生命保険、火災保険料など) |
その他の費用 |
引っ越し費用、家具家電購入費用、修繕積立基金(マンション)、水道負担金(戸建て)など |
これらの費用の相場ですが、
・新築マンション:物件価格の3%~5%程度
・一戸建て、中古マンションや戸建て:物件価格の6%~13%程度
このくらいが目安となっています。
具体的に、5,000万円の新築マンションを購入する場合、次のような計算になります。
頭金 |
500万~1,000万円 |
諸費用 |
150万~250万円 |
合計 |
650万~1,250万円 |
ここに引越し費用や家電・家具購入費用がプラスされることになります。
住宅の購入は人生でも大きな買い物のひとつなので、住宅購入資金の準備についてパートナーとじっくり話し合って検討することが大事ですね。
老後の生活にかかるお金
まだ若い方にとってはイメージしづらいかもしれませんが、老後の生活にかかるお金のことも考えておかなければなりません。
一時期、「老後の生活には2,000万円が必要」ということが言われて世間がザワつきましたが、専門家によっては「3,000万円以上ないと豊かな老後が送れない」という意見もあります。
「そんなに貯蓄できるかな?」と不安な気持ちになってしまいますが、定年後は年金しか収入源がないので、たしかに早くから貯蓄をしておいたほうが安心な気がしますよね。
生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、老後に夫婦ふたりで生活する場合の最低日常生活費の平均額は、月額で23万2,000円という結果が出ています。
しかし、この金額はあくまでも「最低限必要な金額」であり、ゆとりのある生活を送るには、14万8,000円をプラスした38万円が必要となっています。
もちろん、居住地や家族の状況によって差が出てきますが、この金額を見る限りでは「年金ですべてをまかなうのは難しい」といえます。
公的年金も将来どのように変化するか分からないので、個人型確定拠出年金(iDeCo)や個人年金保険に加入して備えておくなど、今から自分でできる対策をとっておく必要がありますね。
ライフイベントごとにお金を準備しておこう
一生では、大きなイベントごとに高額な費用が必要になります。どのようなときにどのくらい必要になるのかをイメージしておくと安心です。
貯蓄は多くて困ることはありませんので、就職してお給料をもらうようになったら、定額積立(毎月一定額を積み立てる預金)などを利用して貯蓄する習慣をつけていきましょう。
文:金子 賢司
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。 以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、 年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。 <保有資格>CFP、住宅ローンアドバイザー、生命保険協会認定FP、損保プランナー 公式HP
制作:Media Beats
編集:マイナビ学生の窓口編集部
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