日本はジェンダー課題国!? 国連のスペシャリストに聞く世界のジェンダー事情 2ページ目

編集部:ろみ

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日本のジェンダー・ギャップ指数ランキングが過去最低を記録したワケ

『ジェンダー・ギャップ指数ランキング』で、日本はかなり下位です。このランキングは、どれだけ男女間の格差が少ないかを国ごとに評価する取り組みです。評価ポイントは政治・経済・教育・健康の4分野。日本は2018年に144カ国中110位でしたが、昨年2019年は153カ国中121位と後退し、過去最低となりました。

▶日本のジェンダー・ギャップに対する評価。1が最高評価で、0に近づくほど低評価となる。日本は教育・健康分野では高評価だが、世界平均も高い。一方で政治は世界でも群を抜いて低評価となっている。

――具体的に、日本の何が問題なのでしょう?

分野別に見てみると、教育、健康分野は全体平均も97%, 96%と高く、日本も上位にランクインしています。しかし、世界的にも男女差別が大きく見られる2分野において、日本は経済分野では115位、政治分野では144位でワースト10にランク付けされているんです。世界経済フォーラムがランキングを発表し始めた2006年から、日本はほとんどスコアを改善できてない一方、他国がスコアを改善し、順位を上げて来ている状況です。

――ちなみに、上位にはどんな国が並んでいるんですか?

経済分野では、日本のひとつ上の114位にケニア、89位にブラジル、70位にパプアニューギニアといった具合ですね。政治はワースト10位なので、日本よりどんな国が下に位置しているかを見てみましょうか。一個下の145位がイラン、146位がナイジェリア、149位にレバノン…ちなみに一個上の143位はカタール。今も紛争が続いたり、開発課題の多い国と肩を並べているのが現状です。

――数字で見ると、厳しい現実を突きつけられた気がしますね。

注目すべきは『アンペイドワーク(無報酬労働)』の問題です。日本は家事や介護、地域でのボランティアなどの無報酬労働に関する男女差が特に大きいと、レポートの中でも名指しで指摘されています。内閣府は家事にかける1日の平均時間を男女別で試算していますが、男性が37分であるのに対して、女性は263分。圧倒的な格差があります。

――他国の状況はどうなのでしょう?

私が住んでいた、ガイアナ共和国やインド、インドネシアでは、家事で外部のサポートを得ることが一般的です。インドネシアでは携帯電話のアプリでお手伝いさんを呼ぶサービスもあります。日本では家のことは自分でするのが当たり前ですし、私も最近までそう思っていて、お掃除ロボットのルンバや食洗機を使うことにも抵抗があったくらいでした(笑)でも、自分の時間をどう作るかを考えたとき、家事の代行やテクノロジーの活用は確かに選択肢のひとつなのだと思います。

――日本はこの現状をどう改善すればいいと考えられますか?

日本にも男女共同参画を推進する法律はありますが、あくまで努力目標なんですよね。2020年までに政治や経済分野の指導的地位に占める女性の割合を30%にすることを目指した「2020年30%」目標も、達成は難しく、期限を先延ばしせざるを得ない状況です。変化を促すためには、より強制力のある仕組みづくり、例えば、政治面で言えば、『クオータ制』を導入するのもいいと思います。これは『一定の議席数を女性のために確保したり、女性の候補者を一定数擁立する』という制度で、実際に韓国では比例代表選挙の候補者の50%を女性にすることを義務化しています。

――具体的な男女比を数字にして制度化する、ということですね。

制度も大切ですが、意識の部分も大切です。例えば海外には子供を連れて登院したり、首相が出産・育児休暇を取る国などもありますよね。日本ではそのような場面はまだ多く見られないかと思いますが、若い、子育て世代の意見を議会に届けるためにはこうした価値観を見直す必要があるかもしれません。そのためにはもっと多くの若者が投票に行って欲しいと思いますし、女性の候補者ももっと増えて欲しいと思います。でも、いきなり立候補というわけにもいかないので、職場やコミュニティでの成功体験を積んだり、社会活動でいろんな人とつながることが大事ですね。

――女性のリーダーが増えることのメリットは何でしょう?

新型コロナ対策に成功した国の共通点に、女性リーダーの存在がありました。代表例はニュージーランドです。女性リーダーはいろんな立場の人の意見に耳を傾ける協調性を持っていること、リスクを大きめに見積もる傾向にあることなどがその秘訣だと報じられましたが、私はそれだけではないと思います。

――どういうことですか?

やはり、女性が国のリーダーになれる社会だということが大きかったのではないでしょうか。その国の人々はきっと多様性を重視していて、いろいろな人の声に耳を傾け、様々な人が活躍できる土壌がある。だからこそ女性リーダーが生まれたのではないでしょうか。新型コロナという新たな問題に直面したときも、いろいろな人から多様なアイデアが出て、それがちゃんと活かされたんだと思うのです。私が好きなSDGsの原則に「誰一人取り残さない(leave no one behind)」というものがあります。今まで達成できなかった社会課題の解決のためにも、声なき人の声をすくい上げ、生かしていく。そんな仕組みが必要なのだと思います。

▶こちらは現在の内野さん。国連人口基金(UNFPA)のインドネシア事務所にて、人道支援プログラム・アナリストとして活躍している。

――ジェンダー平等や多様性の尊重がSDGsの達成につながるのですね。ジェンダーの分野で働く中で、内野さんが大切にされていることはありますか?

私自身、学生時代にジェンダーに関心を持ち、女性のエンパワーメントをライフワークとして取り組んでくる中で、先々で出会った女性たちから、たくさんのことを教えてもらいました。女性という大きなくくりの中でも、女性の高齢者、障がいの有無、移民や難民、居住地や教育レベル、階層や民族など、様々な属性があって、その人たちが思う課題やニーズは異なります。なので、自分の仕事の中でも、自分の思い込みを極力排除して、目の前の人の声に耳を傾けることを大切にしています。

――最後に、日本の学生たちへメッセージをお願いします。

学生の皆さんには、特に、考えが自分とは違う人との出会いを大切にしてほしいと思います。自分の関心のある活動に参加してみたり、行ったことのないところに行ったり、『自分はこう思うけどどうだろう?』と勇気を持って自分の考えを声に出してみてください。そうやって、新しい価値観に触れることを楽しんでほしいですね。そうすることで多様性は広がり、SDGsの達成にも繋がっていくと信じています!。

教えてくれたのはこの人!

内野 恵美(うちのめぐみ)さん

国連人口基金インドネシア事務所、人道支援プログラム・アナリスト。民間企業勤務を経て、東日本大震災後は岩手県で女性の雇用創出支援を実施。インド、アメリカのNPOにて女性の金融アクセスの改善に貢献。2018年5月からは南米ガイアナ共和国の国連開発計画にて女性の災害管理能力強化のプロジェクトに参加。昨年11月より現職。

文:猿川佑
編集:マイナビ学生の窓口編集

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学生時代は南米に留学していたラテン系関西人。好きなものは音楽とスポーツ観戦とお酒です。映画を見たり、料理をするのも好き。

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