クレジットカードを使って奨学金の返済はできる? 奨学金が審査に影響する?
キャッシュレス決済の増加に伴い、便利なクレジットカードを利用する機会も増えました。決済によってポイントも貯まることから、クレジットカードで奨学金の返還を行いたいと考える人もいるでしょう。では、クレジットカードで奨学金の返還はできるのでしょうか。
(監修協力:FP 鈴木幸子)
奨学金返還にクレジットカードは利用できない
結論から言うと、奨学金はクレジットカードで返還することはできません。銀行口座からの引き落としのみとなります。
学生が利用できる奨学金は、日本学生支援機構の他、地方自治体や大学が実施している奨学金制度があります。しかし、どの種類の奨学金もクレジットカードでは返還することはできません。
その理由は、奨学金団体がクレジットカードの加盟店手数料を支払う必要があるためです。VISA、Mastercard、JCBなどの国際ブランドに加盟する場合、加盟店手数料として3%~5%ほどの手数料がかかります。奨学金には有利子と無利子のものがありますが、返還額から3%~5%の手数料を差し引かれると、奨学金を実施している団体にとって運営が難しくなってしまいます。
返還に困った場合の対処法
もしも返還に困った場合はどのように対処すればいいでしょう。例えば日本学生支援機構の奨学金の場合、一時的に返還額を減額してもらえたり、返還を待ってもらえたりすることができます。
「減額返還」という制度では、失業や病気で返還が難しくなった場合に一定期間の間、返済額を2分の1もしくは3分の1に減額してもらえる制度です。
また、「返還期限猶予」という制度は、失業や病気などで働けなくなった場合に、一時的に返還しなくてもよい期間が設けられる制度です。
どちらも返済期間は長くなりますが、一時的に返済の負担を軽くできるため、有効な手立てと言えるでしょう。
他にも、クレジットカードのキャッシング機能を利用する、カードローンで現金を借りるなどが考えられますが、これらは奨学金よりも高い利子を支払うことになる可能性が高いです。あくまで一時的な応急処置として検討しましょう。
奨学金はクレジットカードの審査に影響しない
奨学金を借りているだけでは、クレジットカードの審査には影響がありません。
クレジットカード審査では、個人信用情報機関を通じて他の借り入れ状況が調査されますが、奨学金を取り扱っている団体は、個人信用情報機関に加盟していないため、奨学金の借り入れがあるという事実を、クレジットカード会社は調べることができないのです。
ただし、奨学金の返還を延滞した場合は、違います。延滞期間によっては、個人信用情報機関に情報が登録され、クレジットカード審査にも影響する可能性があるため、返還には十分な注意が必要です。
まとめ
意外に思えるかもしれませんが、クレジットカードで奨学金の返済ができないことを、ここではしっかりと押さえておきましょう。また、クレジットカードの審査で悪影響を及ぼさないためにも、奨学金の返済延滞は絶対に避けたいものです。
(学生の窓口編集部)
監修協力:鈴木幸子
2010年よりFP活動を始め、子育てファミリーの家計相談、住宅購入相談を実施。フジテレビ「Live News it!」でコメンテーターを務めるなど、地元金融機関、住宅メーカーでの講演実績を持つ。保有資格AFP・証券外務員2種・相続診断士。
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