【NHKの先輩社員】放送技術局メディア技術センター クロスメディア部:加藤成暁さん
理工学部情報工学科卒。2016年に新卒でNHKに入局し、番組に関連したデジタルサービスのシステム構築・運用に携わっている。番組に連動したデータ放送を行うためのシステム構築から、番組関連のアプリ・Webサイトの設計など、業務の幅はかなり広い。
日本で唯一の公共放送として、ニュースや気象情報をはじめ、朝ドラや大河ドラマ、教育番組など、幅広い分野の番組を視聴者に届けているNHK。大学生のみなさんも、視聴したことがあるのではないでしょうか。今、メディア業界ではデジタル革新が進んでおり、NHKの番組もデジタル放送を通じて視聴者と双方向のやりとりができるなど進化しています。今回は技術担当者として、デジタル放送を支える加藤成暁さんにインタビュー。学生時代に打ち込んだことや今の仕事にどういう経験が役立っているのか、気になるデジタル放送の舞台裏、やりがいなどについてお話を聞きました。
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今のお仕事はどんな内容?
技術職として、テレビ番組のデジタルサービスに関するシステム構築・運用全般に携わっています。例えばデータ放送にまつわるコンテンツ制作です。テレビのリモコンにある「dボタン」を押したとき、画面に表示されるコンテンツのことで、天気予報やニュース、台風情報など、発信している情報は多岐にわたります。
紅白歌合戦のような特別番組と連動してデータ放送を届けるケースもあり、番組の中身によって技術の仕事は変わります。特定の番組と連動させる場合は、番組オリジナルの演出を行うため、番組のディレクターと打ち合わせを重ねて、実際にどのように番組内容とデータ放送を連動させるか決めていきます。
コンテンツが放送と合わせて進行するようプログラミングを組むのですが、特に生放送番組の際は何度も検証を重ねて本番に備えます。正直、本番で失敗しないだろうか、という不安やプレッシャーはあります。でも不安になるよりも、どうすればきちんとデータ放送をお届けできるかを考えることに集中して業務に取り組んでいます。
一番楽しかった&つらかった仕事は?
入社1年目の2016年秋に、新人ながら、ある生放送特番(NHKスペシャル)のデータ放送を任せてもらうことになりました。生放送までの準備期間はわずか1カ月。番組の演出に合わせてプログラミングを書き上げていくのですが、ゼロから一人で作るのは初めての経験だったので、本番を成功させるためにたくさんの事前検証を行いました。
プログラミングした内容を検証しバグをどんどん修正していくのですが、生放送までの日程は限られています。わからないときには自分で抱え込まずに、すぐに先輩たちに質問しました。同じ番組を担当したことはなくても、先輩たちには積み重ねた経験とノウハウがあるので、アドバイスをしてもらうことでなんとか乗り越えることができました。
生放送の1週間前には修正を完成させ、あとは本番の流れに沿って、きちんと動くかどうかリハーサルを実施。無事に本番を終えたときには正直、ホッとしましたね。番組終わりにディレクターから「次も一緒にやれたらいいね」と言われたことは、技術者としてやっていく自信につながりました。
今の会社を選んだ理由は?
もともと大のテレビ好きでしたが、中学生の頃から、メディアに興味を持つようになりました。テレビ局の近くを通るたびに、「誰か有名人に会えるかも」とワクワクしたことも。大学でもメディアを学びたかったのですが、進学時に父から「理系に進めば、将来の選択肢が広がる」と言われて理系の道へ。情報工学を専攻していたので、もう一度、道を見極めるために3年のときにIT企業でインターンを経験しました。それがきっかけで、改めて「自分が進みたいのはマスコミ業界だ!」と進むべき道が明確になりました。
就職活動ではテレビ局が第一志望。映画会社や制作会社、IT系の会社にも応募しましたが、最終的にはNHKに決めました。NHKの技術職には、カメラや音声だけでなくCGやネット展開などを駆使して番組を創り上げるコンテンツ制作をはじめ、放送システムの開発、放送の未来を支える研究など、バリエーション豊かな業務があります。NHKに入れば、長年仕事を続けてもきっと飽きないだろうと思いました。いろんな仕事にチャレンジできて、自分の可能性を広げ、才能を伸ばせるというのが一番の決め手でした。