【宇宙航空研究開発機構(JAXA)の先輩社員】経営推進部 企画調整課:降籏弘城さん

学生の窓口編集部(I)
2017/09/08
社会人の先輩
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)の降籏さん

プロフィール:降籏弘城(ふりはた ひろき)
1997年、慶應義塾大学 大学院 理工学研究科を修了。1998年に宇宙開発事業団(NASDA)に入社し、ISSの中で最大の実験モジュールである日本の実験棟「きぼう」の開発に従事。その後、ケネディ宇宙センター駐在員事務所にて、「きぼう」の射場作業やNASAとの各種調整を担当。有人宇宙技術部門の事業推進部を経て、2015年より現在の経営推進部に勤務。

日本の宇宙航空開発の中心組織として、数々のロケットや国際宇宙ステーション、人工衛星、探査機などを手がけてきた宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)。今回登場していただいた降籏弘城さんは、中学生の頃に抱いた宇宙への夢を見事に実現したひとりです。日本の宇宙史を塗り替えた国際宇宙ステーション(以下ISS)「きぼう」日本実験棟のプロジェクトに参加した後、現在は宇宙開発の企画を担うセクションで活躍中。少年の日の夢を忘れずに自分を磨き続けてきた降籏さんの道のりと、JAXAでの仕事のやりがいについて聞きました。

社会人編「きぼう」の打ち上げを達成し、今は新たなミッションの創造に挑む

今のお仕事はどんな内容?

2年前から経営推進部に所属して、JAXA全体の経営企画を構築する業務に就いています。日々、経営層やJAXAの各部門と調整しながら、具体的な宇宙ミッションを立ち上げていくことがメインの仕事です。いつどんな衛星を打ち上げるのかを定めた「宇宙基本計画」に沿って確実にミッションを遂行するのもJAXAの重要な任務ですが、それだけではなく、将来に向けてどんな宇宙ミッションを作り上げるべきかを国に提言していくことも、重要な任務です。

でも、新たなミッションを創出するのは簡単ではありません。なぜなら「◯年後の社会はこうなり、宇宙は社会課題に対してこんな貢献ができます」という説得力のあるシナリオが必要だからです。現在は気象衛星が社会的インフラとして組み込まれていますし、近い将来は宇宙旅行がより身近なものになるでしょう。そして今の世界情勢を見れば、将来は宇宙が安全保障上で重要な役割を果たすようになると思います。こうしたあらゆる宇宙利用の可能性をJAXAの中だけで考えていては限界があるので、常にJAXAの外の人達と意見交換を行うなど、外部環境の変化を的確に捉え、将来の社会の姿を描いた上で、具体的な宇宙ミッションの提言に結びつけていく必要があります。

さらに現在力を入れているのは、今まで宇宙とは縁がなかった業界の優れた技術を宇宙開発に糾合すること。それにより、新たな価値を生み出す革新的な宇宙ミッションが実現できる可能性があります。また、宇宙空間は真空で低温と高温の温度差が大きく、放射線が飛び交うという極限環境であり、そこで磨いた技術は地上に適用したときに大きな強みになります。そうした宇宙の価値を多くの人に知ってもらい、宇宙をどんどん利用してもらいたいんです。JAXAは新たな企業から最先端の技術を取り込んで宇宙開発に活かし、企業は宇宙で磨いた技術を社会に還元する。新たな企業として、玩具メーカーや建設メーカーなども参加しています。

安全性の確保は不可欠ですが、もっと安く高頻度に宇宙にアクセスできるようになれば、社会における宇宙の位置づけはガラリと変わるでしょう。宇宙を使ってよりよい社会づくりに貢献していくことは、まさにJAXAにしかできません。今までにないまったく新しいミッションを自ら創造できることが、今の仕事の大きな魅力ですね。

一番楽しかった&つらかった仕事は?

降旗さんインタビュー中お写真

こちらに異動する前は有人宇宙プログラムに関わっていて、海外駐在員としてNASAのケネディ宇宙センターに約5年間いた時期がありました。その間に日本の実験棟「きぼう」を搭載したスペースシャトルの打ち上げが3回あり、すべての瞬間に立ち会えたことがうれしかったです。どんなに信頼性を高める努力をしても、スペースシャトルのチャレンジャー号やコロンビア号のような事故は起こりうる。「失敗できない」という緊張感は相当です。我々がすべきことを抜けなく積み上げて「きぼう」を作り上げたと信じてはいましたが、それが本当に正しいかどうかは打ち上げ後、ISSに取り付けられ無事に起動した瞬間にわかるんです。打ち上げに向けて、日本から出張して来た大勢の技術者と打ち上げ前の最終試験を行い、またスペースシャトルの打ち上げを担当するNASAのスタッフとも毎日のように議論を重ね、予定通り打ち上げられたのは本当に感激しました。もともと有人宇宙ミッションに携わりたくてこの仕事を目指したので、とても大きな達成感がありましたね。

今の会社を選んだ理由は?

宇宙を目指したのは、中学生の頃に起きたスペースシャトルチャレンジャー号の失敗の影響が大きかったんです。打ち上げ後に大空で爆発してしまったのが衝撃的で、「宇宙へ行くのは命がけだ。いつか人間が安全に宇宙へ行ける世の中になったらすごいな」と思ったのがきっかけです。もうひとつは、アニメの「機動戦士ガンダム」に夢中だったこと。当時のガンダムは発想や想像力がすばらしくて、今のJAXAにもあんな想像力が必要だと思うくらい、自分にとっては大きなものですね。

当時から宇宙開発事業団(NASDA。JAXAの前身)の存在はなんとなく知っていて、「宇宙の仕事ならそこを目指そう。そのために数学を頑張って理系に進もう」と中学生なりに考えました。目指したのは宇宙飛行士ではなく、計画や戦略を立ててモノを作り、他国と国際調整して有人宇宙ミッションを作っていくといった裏方的な役割です。宇宙開発の主役よりも、ストーリーを組み立てる演出のほうがおもしろそうだと考えていましたし、それは就活のときまで変わりませんでした。

NASDA入社後は有人宇宙ミッションに関わる部署を希望し、すぐに「きぼう」日本実験棟のプロジェクトに配属されました。夢が叶ったのはうれしかったのですが、当時はアメリカとロシアの2大国が計画を主導する状況で、日本は与えられた役割を必死に果たしていた時代です。とにかく毎日目の前の仕事をこなすだけで精一杯でした。でもその結果として今は「きぼう」が宇宙で着実に運用され、日本が国際的に信頼されるパートナーになった。その意味で我々の努力は報われたと思いますね。

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