2021年04月09日 更新

じゃがいもは冷凍しても大丈夫? 保存のポイントを解説

今回は、じゃがいもを無駄なく美味しく使い切るための方法をご紹介します。1年間を通して価格の変動が少なく保存がきき、さまざまな料理に使えるじゃがいも。滋養豊富で加熱によるビタミンの損失も少なく、一人暮らし初心者の自炊には強い味方になってくれる食材のひとつです。しかし、保存方法によっては有毒物質ソラニンを含む「芽」が生えてきてしまったり、しなびて風味や食感が損なわれたりすることもあるので注意が必要です。

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じゃがいもを保存する際の基本

じゃがいもの最適な保存方法は何でしょうか? 冷凍しても大丈夫なのでしょうか?
ここでは基本の保存方法や、じゃがいもを冷凍しても大丈夫なのかご紹介します。

基本は常温保存

じゃがいもの保存は、お店の売り場でも見られるように常温での保存が基本です。品種などにもよりますが、上手に保存すれば家庭でも1~2ヶ月は持たせることができます。
土が付いている場合はよく払ってひとつずつ新聞紙に包むか、まとめて紙袋に入れた上から新聞紙をかけるかなどし、風通しの良い冷暗所に保存しましょう。

またその際リンゴと一緒と置いておくと、リンゴから出るエチレンガスが発芽を抑制してくれるともいわれています。大量に保存したい場合や室温が高くなりつつある季節などにおすすめです。

暑い時期には野菜室の活用も

夏など室温の高くなる時期には、冷蔵庫を利用して保存した方が良い場合もあります。
その場合、普通の冷蔵室では温度が低すぎるので、庫内の温度が0~5度に保たれる野菜室を利用すると良いでしょう。
冷蔵庫で保存する場合には、乾燥を防ぐためにじゃがいもを新聞紙でしっかりと包みます。それをポリ袋に入れたら、湿度がこもりすぎないよう口をゆるく締めて野菜室で保存します。この方法ですと2ヶ月程度持つでしょう。
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じゃがいもの冷凍保存はできる?

じゃがいもは、生のままでの冷凍保存にはあまり適さない野菜です。生のじゃがいもをそのまま裸で冷凍すると水分が抜けて細胞壁が壊れてしまうため、解凍すると水分の少ないパサパサな状態になってしまいます。
冷凍する場合は加熱をしてから冷凍するのがおすすめです。さまざまな料理にも応用が利き、調理時間の短縮にもつながるでしょう。いずれの場合も1ヶ月を目安に使い切ります。
冷凍保存時の注意点や活用法については、次の項で詳しく見てみましょう。

じゃがいもの冷凍保存の注意点

生のまま冷凍保存した時と加熱後に冷凍保存したじゃがいもは、それぞれどんな料理が向いているのでしょうか。いくつかのレシピ例と冷凍保存したじゃがいもが向かない料理や注意点をお伝えします。

生のまま冷凍保存する場合

生のまま冷凍する際のおすすめの切り方は「細切り」です。
細切りにしておいた冷凍じゃがいもは、そのまま炒め物にすることでシャキシャキとした食感が生き、美味しく食べられます。

冷凍保存したじゃがいものレシピ例

【レシピ1 細切りじゃがいもの中華風炒め】
じゃがいもだけでも手軽な1品になりますが、切り方を揃えたピーマンや豚コマ肉などを一緒に炒めることでちょっと豪華でご飯のすすむおかずになります。
サラダ油を熱したフライパンに冷凍のままじゃがいもを投入して透き通ってくるまで炒めた後、ピーマンや肉類を加え、肉にしっかり火が通るまで炒めます。味付けは塩コショウの他、顆粒タイプの中華スープのダシなどで整え、最後に醤油を鍋肌にジュッとひと回しして出来上がりです。

【レシピ2 じゃがいものガレット】
細切りじゃがいもとピザ用チーズを混ぜて焼くだけのお手軽料理です。お好みで黒コショウやパセリ、バジルなどのハーブを入れても良いでしょう。
冷凍じゃがいもを使う場合は、バターをひいたフライパンで先にじゃがいもだけをある程度火が通るまで炒め、チーズや香辛料を適量混ぜ合わせて丸く広げ、蓋をして5~10分ほど弱火で加熱します。ケチャップなどを添えても良いでしょう。

加熱調理してから冷凍保存する場合

じゃがいもを冷凍保存する際はゆでてから冷凍しておくとさまざまな料理に使えて便利です。できれば皮つきのまま丸ごとゆで、荒熱が取れたら好みの形に切りジッパー付き保存袋に入れて冷凍します。

拍子木切りにして冷凍しておけば、そのままポテトフライにすることができます。その他、乱切りにして冷凍しておいて煮物やカレーの仕上げに入れるなど、加熱しておくと食感もそれほど損なわず時短にもなるのでおすすめです。

そしてもっともおすすめなのが、加熱した後マッシュポテトにして保存する方法です。
茹でる、蒸す、もしくは電子レンジなど、加熱の方法は何でも構いません。火のとおりが甘いまま潰すと食感がホクホクしないので、芯までしっかり火を通すようにして下さい。そのままマッシュポテトとして味わう場合は牛乳や生クリームなどを入れるところですが、この場合は後でアレンジしやすいよう純粋にじゃがいもを潰しただけの状態で保存します。
粗熱が取れたら小分けにしてラップで包むなどし、なるべく早く冷凍状態になるようにできるだけ平たい状態で空気を抜いて保存用ビニール袋に入れて冷凍しましょう。
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加熱後冷凍保存したじゃがいものレシピ例

【レシピ1 マッシュポテトのグラタン】
電子レンジを使って解凍したマッシュポテトで手軽に美味しくできる1品です。
作り方はいたって簡単、耐熱容器にマッシュポテト、ミートソースやたらこバターなどのパスタ用ソース、ピザ用チーズの順に重ね、オーブントースターでチーズに焦げ目が付くまで焼くだけ。
同時にアルミカップに入れたミニグラタンを作っておけば、翌日のお弁当にも活用できます。

【レシピ2 ポテトサラダ】
それぞれ家庭の味がありながら、自分好みのアレンジを生み出せるポテトサラダ。パンに挟めば朝食やお弁当にも使えます。そんな定番のポテトサラダも、冷凍マッシュポテトがあれば手早く作れます。

電子レンジで解凍、温めまでしてホクホクに戻したマッシュポテトに
スライスして軽く塩もみし水気を絞ったきゅうり、細かく切ったハムまたはカリカリベーコン、マヨネーズなどを適量加えて混ぜ、最後は黒コショウで味を調えると良いでしょう。

冷凍保存したじゃがいもが適さない料理

冷凍保存したじゃがいもは細胞壁が壊れてしまうことや水分が抜けていることなどから、カレーやシチューなどに入れても食感が変わってしまいます。それらの料理には生のジャガイモを使う方が向いています。
冷凍する場合は上記のように加熱してから冷凍して料理の仕上げに入れるのがおすすめです。
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まとめ

一般的に冷凍保存には向かないという声が多いじゃがいもも、適切な手順をふまえて冷凍することができれば、より便利なお役立ち食材として活躍してくれます。
季節を問わずお手頃な価格で手に入るじゃがいもを大いに活用して、忙しい時でもしっかり美味しくお腹を満たしましょう!
監修:貞本紘子
料理家
料理家。食育アドバイザー、幼児食アドバイザー。 岐阜県にて家庭料理、パン、ケーキの教室「colette」を主宰。 少人数制、初心者にも分かりやすく丁寧な指導で生徒数は6年間で述べ5500人。 「おうちご飯をもっと楽しく!」をモットーに活動中。 ブログ https://ameblo.jp/colette-cooking/
※掲載の価格、商品スペック等は掲載時の情報です。

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