一度社会人になったものの、それまでのキャリアに悩んで転職を決心した方を第二新卒と呼びます。転職をスムーズに成功させるためには「軸」をしっかり定めておくべきでしょう。そこでここでは、第二新卒の転職時における「軸」の定め方について説明します。
大学時代、大変な就職活動を乗り越えて入社した会社。入社当時はやる気にあふれていたかもしれませんが、何らかのきっかけがあり転職することに。中にはもともと希望していなかった「不本意入社」の人もいるかもしれません。残業の多さ、休みの少なさ、お給料の少なさ、人間関係、希望の仕事と違った、やりたいことが変わったなど、転職を決めた理由はそれぞれにあるでしょう。
はっきりと転職理由を述べられる人は、将来に対して強い思いや目標があるはずです。その場合にも、やはり最初から目指すところになぜ就職しなかったかを聞かれる場合があるでしょうから、転職理由の明確化は必要な作業だといえます。
「なんとなくやめてしまった」という人も、どうして退職に至ったのか、ここで一度考えてみることをおすすめします。転職理由を明確にすれば第二新卒としての就活も不安が少なくなるかもしれません。
厚生労働省のデータによると、新卒で入社した新入社員のうち、約3割が3年以内に離職していることが明らかになっています。さらに、そのうち1割は1年以内に離職してしまっているというデータもあります。一方、マイナビが行った中途採用状況調査では、中小企業から大手まで約6割の企業が「人材が不足している」、または「非常に不足している」と回答しています。つまり、人手が欲しい企業はたくさんあるのです。
しかし、企業側も誰でもいいから雇いたいというわけではありません。3年以内に退職してしまった第二新卒に対しては、「またすぐに辞めてしまうのではないか」と見る目が厳しくなるのも当然。1年以内に辞めてしまった第二新卒に関しては、特に「なぜそんなに短期間で辞めてしまったのか」と不安に感じます。
ですから、転職理由を明確にするのはもちろん、学生時代の就活以上に自己アピールや企業研究をしっかりし、企業側を納得させられるだけの準備をしていく必要があるのです
第二新卒であれば、一度退職して新たな会社に入ることに、これまで以上にしっかりとした理由を持つ必要があります。転職理由を明確にすることで見えてくる「転職の軸」。ここでは、その見つけ方を紹介します
たとえば、海外での活躍を目指していたのに、国内にとどまることしかできない企業だったので転職したいと思ったなど、前向きな動機は、企業との接点を探しやすく、より明確な軸にすることができます。軸をしっかりと定め、ぶれないようにしましょう。前向きに退職した人は表情も明るく、面接時の雰囲気も悪くないはずです。
そのよさを生かすため、自己アピールにしっかり利用できる就活の軸を定めておくことは、とても重要なファクターの一つです。
「上司と相性が合わなかった」「希望しない部署に配属された」など、どちらかといえば後ろ向きな転職の動機を持っていたとしても、それを前向きなものへとうまく変換すれば、転職活動はいい方向に向かうでしょう。例えば、「上司と相性が合わなかった」は「人間関係の奥深さを学んだ」、「希望しない部署に配属された」は「よりスピード感をもって夢に近づきたかった」などと言い換えてみましょう。新卒採用のときの軸を、より補足できるような理由付けができているとよいでしょう。
【職場環境】
・語学力をより活かせるグローバルな職場で働きたい
・将来を見据え、社員の労働環境改善に取り組んでいる企業で働きたい
・その企業の経営理念やビジョンに共感し、実現するために貢献したい
・誰でも大きな仕事にチャレンジできる場がある
・スタートアップ企業の一員として働きたい
【自己実現】
・より専門的なスキルを身につけたい
・新たな職種で今までとは違ったチャレンジをしてみたい
・これまでの経験を生かしてキャリアアップしたい
・抱き続けてきた夢を実現させたい ・ワークライフバランスを上手く保ちながら働きたい
転職の軸を決めることは、自分のキャリアの柱を決めることに近いものです。新卒時の就活の経験から、自分の誤った選択に気づいたことや、自身の目指す方向性が変わったことなどから早期に退職することはそんなに悪いと考えすぎるほどではありません。ですが、何度も入退社を繰り返していては「仕事が続かない人」としてマイナスのイメージが付きまとい、就活もなかなかうまくいかないことが増えてしまいます。
やり直せるチャンスを逃さないため、しっかりと軸を定めて臨んでください。第二新卒者が、「自分の意思をしっかりと持った人材」「覚悟を決めてこの業界に飛び込んできた」などと企業側に歓迎される要因は、明確な目標、すなわち就活の軸によって支えられるといえます。就活の軸は、第二新卒では新卒時よりもさらに重要になると言えるでしょう。
ここで決めた軸を、今後の目標のためにさらに骨太にしていけば、過去の退職に後ろめたさを感じず、堂々と転職活動に望めるでしょう。
第二新卒はまだ社会人の経験が浅い人の転職活動になりますから、新卒に比べて不利な面があることは否めません。けれども、ぶれない就職の軸を柱にして自信を持って臨んでください。
(学生の窓口編集部)