「みかん好き」が人や地域を結びつけて新たなアクションが生まれる―『東大みかん愛好会』の活動にせまってみた!
こんにちは! ガクラボメンバーのNagisaです。大学のサークル活動には、名前を聞いただけで「どんな活動をしているんだろう?」と気になってしまうサークルがいくつもあります。 「東大みかん愛好会」もそのひとつです。「みかんが好きな人たちのサークルなのかな?」とは予想できますが、どんな活動をしているかは想像できませんよね。そこで今回は定期的に開催されているサークルの定例イベント、「柑橘会」にお邪魔して、インタビューを行ってきました!
東大みかん愛好会って?
東大みかん愛好会は日本初のみかんに特化したサークルで、2014年に「みかんを楽しむ場を作りたい」という思いから誕生しました。約300人規模のインカレサークルで、メンバーは東大生を中心に20〜30大学から集まり、みかんに関連する多彩な活動を行っています。今回は10期生の小川昌人さんと11期生の對馬光汰さんにお話を伺いました!
――まず、「東大みかん愛好会」はどんなサークルなのか、教えてください。
小川さん 東大みかん愛好会は2014年に設立されました。設立者である清原優太さんが、「みかんをみんなで楽しむ場や、みかんを通じて交流する場をつくりたい」という思いから、東京大学とICU(国際基督教大学)の学生を中心に立ち上げたのがはじまりです。今でも清原さんとはつながりがあって、「柑橘ソムリエ」というライセンスを運営しているメンバーであることから、柑橘の勉強会に講師役として来てくださったり、産地とのご縁をつないでくださったりしています。
對馬さん 清原さんは現在、「株式会社みかん」という会社の代表として、柑橘のサブスクサービスを運営されています。1カ月に7~10種類くらいの柑橘が届くサービスで、愛好会ではとてもお世話になっています。
――会員数や、所属している大学・学部の特徴を教えてください。
小川さん 会員は300人弱で、そのうち6割くらいが東大生です。他にも、SNS経由で会員募集をしているので、都内の大学を中心に20~30大学くらいからメンバーが所属しています。大学院生や所属5年目・6年目の人もいます。
みかん愛好会なので「農学部が多いの?」と聞かれることも多いのですが、農学部や農業系の学生は、各学年2~3人いるかいないかぐらいです。理系がやや多いというイメージは少しありますが、本当にいろんな学部の人がいます。
僕自身、そこまでみかんに対して詳しかったわけではなく、「新歓でみかん配ってるよ」と言われて、食べてみたら本当に美味しかったというのがきっかけでした。ですから、軽いノリで入会し活動していくうちに、地域や農業にも興味が出てきたタイプですね。
對馬さん 僕は工学部の機械情報工学科で、もともと農業とは関係のない分野ですが、出身が愛媛県でみかんを当たり前のように食べている環境でした。
――サークルの理念や目標を一言で表すと?
小川さん ずっと掲げている目標は、「日本のみかん消費量を増やす」ということです。温州みかんの消費量は、全盛期だった1970年代に比べて、今は5~6分の1くらいまで減っていると言われています。
愛好会の活動ひとつひとつが、直接的にその数字に結びつくわけではありませんが、会員や会員の周りの人たちから、「みかんを好きになってくれる人」を増やすことを大事にしています。いろんな品種を知ってもらったり、楽しみ方に触れてもらったりして、結果として消費量アップのきっかけになればいいな、という感覚ですね。
對馬さん 産地訪問やイベント出店を通して、実際にみかんを食べるきっかけが増えている感覚はあります。少しずつでも、そういう積み重ねがみかんを食べる人を増やしてくれたらうれしいですね。
―――サークルとして大切にしているこだわりやルールがあれば教えてください。
小川さん ひとつは特定の地域だけではなく、「全国のみかん産地を応援する」ということです。東京で活動していると、どうしても付き合いの深い産地だけに偏ってしまいがちですが、全国どの産地でも応援するというスタンスを打ち出しています。
もうひとつは「みかん×〇〇」なら何でも歓迎する、みかんに関わることならサークルとして否定しない」ということです。「みかん×○○」の“○○”の部分は、本当に自由です。みかん×スイーツ、みかん×料理、みかん×ボードゲーム……など、みかんに関する内容であれば、どんな興味でも愛好会の活動につながるようにしたいと思っています。そのために、サークルとしても特定の活動だけに偏らず、いろんな人を受け入れられる場、いろんな活動ができる場として機能することを意識しています。
對馬さん 実際に、愛好会の内部にはいろんな「班」があります。柑橘ソムリエの取得を目指して勉強会をする「柑橘ソムリエ班」もあれば、都内のさまざまな場所を散策しながら会員同士の親睦を深める「お散歩班」など、サークルメンバーと趣味の共有や交流を一番の目的とした班もあります。
一見みかんとは関係なさそうに見える班でも、最後は「みかんを一緒に食べる」「産地と絡める」といった形で、みかんに戻ってくるのが愛好会らしいところですね。
地域おこしと関わる機会が増えてきた
――普段はどのような活動を行っているのですか?
小川さん おおまかに言うと、活動の柱は次のような感じです。
月1回程度の「柑橘会」(さまざまな柑橘を食べながら交流を楽しむ会)、班ごとの活動(柑橘ソムリエ班、お散歩班、みかんスイーツ巡り班など)、産地訪問・地域での活動(愛媛・和歌山・静岡をはじめとした全国の産地)、東大の五月祭などの学園祭での出店、年1回の「総会」(OB・OGも含めた全体イベント)が主な活動内容になります。
「柑橘会」は月に1回ほどのペースで開催していて、その回ごとに担当者が仕入れます。1人1kgくらいのみかんを発注していて、多いときは1人2kgくらいになる回もあります。
對馬さん 今日の柑橘会は特例的に、いろんな人が「これもあるよ」と持ち寄ってくれたので、かなり個性豊かなラインナップになっていました。
ちなみに柑橘ソムリエ班の勉強会では、「名前も聞いたことがない」「見たことのない色や形」の柑橘も積極的に仕入れます。食感も味わいも香りも全部違うので、「みかんの個性」を知るのがすごく楽しいですね。自分は柑橘ソムリエの試験も受けました。結果はまだ出ていないのですが、その勉強のおかげで、より深くみかんに向き合えるようになりました。
――印象的な活動エピソードを教えてください!
小川さん 僕の印象に残っているのは、今年の9月に三重県にある御浜町と尾鷲市を訪問したことですね。農家や地域おこし協力隊の方々が地域の課題に対して取り組まれていて、直接お会いしてお話をうかがったんですが、そういう機会は自分の中では初めてだったんです。僕は東京生まれ、東京育ちなので、「地方」や「地域」というものとのかかわりがなかったのですが、地域おこし協力隊の方も東京などから移住してきた人が割と多いので、そういう方を通して考えてみると、自分にとっても遠くない話なのだと気づきました。
最近は、こうした地域おこしと絡んだ活動をする産地が増えてきていて、農作業をする訪問もあれば、地域のことを勉強させてもらう訪問もあります。東京出身で地方に触れる機会が少なかった僕にとっては、この活動はとても印象的でした。
對馬さん 最近ですと、熊本県の苓北町で中学生向けの授業を実施しました。学校の授業の枠をお借りして、みかんの基礎知識やおいしいみかんの見分け方、苓北町のみかんの特色といった内容をお話ししたんです。そのあとは農園に移動して、農家さんから話を聞きながら収穫体験を生徒たちと一緒に行いました。美味しいみかんの見分け方を実演するとすごく喜んでくれました。
苓北町には今年1年間ですでに3回ほど訪問していて、地域おこしの企画にも少しかかわらせてもらっています。たとえば、「みかん箱の段ボールを苓北らしいデザインでラッピングする」といった、地域の魅力を発信する企画なども一緒に考えています。
また、自分の出身地である愛媛県伊予市では、地域おこし協力隊の方と交流しながら、産地のよさを知ってもらう活動もやっています。役所の方とつながることも多くて、地方自治体の方々との連携も増えてきました。
――東大の学祭では、どのような形で参加しているのですか?
對馬さん たとえば東大の五月祭では、全国各地の農家さんから河内晩柑などの中晩柑を仕入れて販売したり、加工品の販売、ジュースの飲み比べを行っています。僕は今年、五月祭の責任者を担当しました。例年、松山市東京事務所から「みかんジュースの蛇口」をお借りしたり、愛媛県東京事務所と一緒に体験企画をしたりしています。
テント自体はそれほど大きくないのですが、やっていることがけっこう盛りだくさんで、行列が切れないくらいの人気です。行列の長さが50~60mくらい、並んでいる人が100人くらいになることもあって、お客さんもたくさん来てくれます。
今年はシフトに入ってくれた愛好会の会員が約100人いて、準備も当日も大変だったのですが、みかんジュースの蛇口をひねって楽しそうにしているお客さんや、飲み比べでニコニコしている人たちを見ると、「みかんの魅力ってすごいな」と実感しました。
―― OB・OGとのつながりについても教えてください。
小川さん 年に1回、2月に総会を開催しています。
総会は、現役生だけでなくOB・OGの方々も参加する会で、100人くらい集まることもあります。時期が良いので、いろいろな品種を並べて食べられるだけでなく、OB・OGの方々に昔の活動をインタビューしたり、現役の活動を報告したりします。
世代を超えた交流の場として、総会はとても大事なイベントですね。卒業してからもみかんに関わり続けている方が多くて、そういう意味でも「卒業してからも続いていくサークル」だと感じます。
活動を通じて感じた自分の変化
――「みかん愛好会に入ってよかった!」と思う瞬間はどんなときですか?
小川さん やっぱり、新しい品種やおいしいみかんに出会えたときですね。僕はもともと、そんなにみかんに詳しかったわけではなくて、愛好会の活動を通じて、名前も知らなかったような品種や、「こんなに味が違うんだ」というみかんにたくさん出会いました。
たとえば、御浜町の訪問では、収穫できる時期が早い三重紀南一号、崎久保早生という品種を扱っていて、収穫させていただいたみかんは見た目がけっこう緑なのに、甘くて酸味も少なくて、食べ始めたら止まらないくらいおいしかったんです。そういう経験をすると、愛好会に入っていてよかったなと心から思います。
對馬さん 僕も、新しい柑橘との出会いはもちろんですが、産地訪問を通して出会えた農家さんや地域おこし協力隊の方、そして愛好会の仲間と出会えたことが大きいです。
みかん愛好会は、穏やかであたたかい人が多い印象があります。そういう人たちと一緒に活動できるのは、本当に居心地がいいですね。
――サークル活動を通して、価値観や生活に変化はありましたか?
小川さん まず、みかんを食べる量が増えました(笑)。それ以外だと、もともと僕は東京出身で、「地域」というものにあまり実感がなかったんです。でも、産地に実際に行って、「この産地はこういう地形だから、こういう品種を育てている」、「この品種を売り出していきたい」「こういう方法で柑橘を出していきたい」といった話を、その地域の人たちから直接聞くようになって、地図上にある自分の知らない地域が、自分が身近に感じられる場所に変わった感覚がありました。 これは、愛好会に入ったからこそ得られた変化だと思います。
對馬さん 僕の中で一番大きいのは、地元・愛媛への愛着が深まったことです。東京に来てからは、「東京は便利だし、田舎には何もないし、ずっとここでいいや」と思っていた時期もあったのですが、みかん愛好会の活動を通じて、当たり前においしいみかんがある環境がどれだけ恵まれていたかに気づきました。
愛好会のメンバーを地元に連れて行ったときも、「いい町だね」と言ってもらえて、自分が何もない地域だと思い込んでいただけで、本当は魅力がたくさんあったのだなと再認識しました。今は愛媛県人会の青年部にも入っていて、いつか地元に恩返ししたいという気持ちも強くなっています。
もうひとつは、農業の重要性を意識するようになったことです。世界情勢が不安定になる中で、「農産物がなかったら、人は生きていけない」という当たり前のことを、改めて突きつけられた感覚があります。みかん産業の現場を見ていると、少子高齢化や工作放棄地の増加、斜面での重労働など、課題も多いです。僕は工学部の機械情報工学科で、ロボットなどを扱う分野に進もうとしているので、将来的には、収穫ロボットや農業機械の面から、みかん産業や農業全体の負担を減らすような仕事がしたいと思うようになりました。
みかん栽培や商品開発に挑戦したい
――今後挑戦したい企画や目標を教えてください。
小川さん 愛好会としては、自分たちの畑を持って、みかんを栽培するという構想があります。すでに付き合いのある農家さんから畑をお貸しいただいていて、今はどんな品種を植えるか検討中です。食べるだけでなく、栽培にももう一歩踏み込んでみたいという思いがあります。
對馬さん 商品開発にも挑戦したいです。東大みかん愛好会は、規模的にも名前のインパクト的にも、もっといろいろなことができるポテンシャルがあると思っています。たとえば、愛好会の名前が入ったみかんジュースを作って販売したり、企業さんや自治体さんと連携してキャンペーンを行ったりといった形で、愛好会の活動を産地やみかん業界のPRにもつなげていけたらうれしいですね。
小川さん また、個人的には、中高の教員免許に向けて教職課程を取っていることもあり、教育とみかん・農業を結びつけたいです。愛好会の活動としては、都内の小学校や産地の中学校などで授業を実施することもありました。「地域の農業」や「みかん」を題材にした学びが、小中学校の授業の中に自然に組み込まれるような形で関わっていけたらいいなと思っています。
對馬さん 僕の場合、工学の研究を通じて、自動収穫などの農作業の負担を軽減する技術を生み出し、愛好会の活動を通じて見てきた現場の課題に対して貢献できればと思っています。
―― 最後に、お二人にとっての「みかん愛」を一言で表すと?
小川さん 自分にとってみかんは、「架け橋」です。人と人、人と地域など、いろいろなものをつなげてくれたのが、みかんでした。みかんがなかったら出会っていなかった人たちもたくさんいるので、一言で表すなら「架け橋」だなと思います。
對馬さん 自分にとっては、「生きがい」ですね。昔から身近にあった存在で、今も愛好会の活動を通して、出会いや経験、将来の夢にまでつながっています。卒業してからも、きっとみかんと関わり続けると思うし、これからも自分の人生を導いてくれる存在として、「生きがい」という言葉がしっくりきます。
――ありがとうございました!
取材を終えて
東大みかん愛好会では、みかんに詳しく専門的な知識を持つ人から、ただ美味しいから好きという純粋な気持ちで参加している人まで、本当にさまざまな思いを持つメンバーが集まっていました。そして、その幅広いみかんへの想いが、多岐にわたる活動として形になっている点が、このサークルならではの魅力だと感じました!
また、みかんや農業とは直接関係のない分野を学んでいる学生も多いにもかかわらず、活動が日々の生活に影響したり、将来の選択にまでつながっていたりと、みかん愛好会での活動が、思いがけず人生を動かしている姿にも心を動かされました。
Column│柑橘会の模様をレポート!
柑橘会では、参加したサークルメンバー一人ひとりに、まずたくさんのみかんが配られていました! ただ普通にみかんを食べるだけではなく、最初にその日のラインナップについて、品種や特徴、産地、育種の背景まで簡単な説明が入ります。みかんの専門的な知識に詳しい方もいらっしゃって、「そんなことまで知っているんだ!」と驚かされました。
といっても、専門用語だらけの難しい講義という感じではなく、あくまで「そんな違いがあるんだ!」と詳しくない人でも楽しめる試食会という雰囲気でした。この日配られたみかんは、温州みかんの代表格である「宮川早生」と、そこから派生した「上野早生」「木村早生」のほか、愛媛の高級柑橘として知られる「紅まどんな」などがありました! 普段は品種名を意識してみかんを食べることはあまりないかもしれませんが、実際に違う品種を並べてみると、見た目から違いが分かるものもあるのがおもしろかったです。
これらのみかんの準備も、ただ購入してくるだけではなく、仲良くなった生産者さんから直接送ってもらったものや、地元の知り合い経由で届いたものなど、さまざまなルートでみかんを仕入れているという話が印象的でした。
みかんの紹介が一通り終わると、今度はスライドを使った活動報告の時間に移ります。ここでは、「この1か月でどんな企画があったのか」を、担当者ごとにテンポよく共有していきます!
みかんを使った料理を作ったお料理会(みかんパエリア、みかん入りグラタンなど)の様子、コンビニやスーパーの市販みかんゼリーを6種類集めて食べ比べた回、10種類以上の柑橘を食べ比べしたソムリエ班の活動、苓北町への産地訪問、福島県広野町などへの出張企画、さらには学園祭でのみかん・みかんジュース・ガチャガチャの物販がほぼ完売したエピソードまで、短い時間の中にさまざまな活動報告が詰め込まれていました。
柑橘会は、みかんを味わいながら、同時にサークルの活動内容を共有し、振り返って楽しむ定例会でした!
⇒「東大みかん愛好会」Instagramアカウント
@mikanfanclub
⇒「東大みかん愛好会」公式HP
http://mikanfan.club/
文:Nagisa(ガクラボ所属)
編集:学生の窓口編集部
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