【カシオ計算機】入社のきっかけとなった、面接での「ある一言」とは?AIペットロボット「Moflin」の開発に携わるお仕事とは? #お仕事図鑑
ヒット商品やサービスを手掛ける企業のキーマンにお話しを伺う企画「#お仕事図鑑」。
今回は「カシオ計算機」の開発本部 R&D統轄部 SWHW技術開発部 第四開発室に所属する先輩社会人、黛幸輝さんにインタビュー。仕事のやりがいや企業選びの決め手、今後の目標について詳しくお話を伺いました!!
PROFILE

黛 幸輝
AIペットロボ「Moflin」の組み込みソフト開発や、Moflinに搭載する機能の試作、エンジニア以外のメンバーが、Moflinを開発するためのツール作成などを行う。
INDEX
▼AIペットロボット「Moflin」のソフト開発に携わる
――簡単に自己紹介をお願いします。
カシオ計算機の開発本部 R&D統轄部 SWHW技術開発部 第四開発室の黛幸輝と申します。2022年に入社し、現在3年目になります。大学院では電気電子工学を専攻していました。入社後は、AIペットロボット「Moflin」の開発を担当しており、この3年間ずっとMoflinの開発に携わっています。
――現在の仕事内容について教えてください。
わたしはカシオが手掛ける製品の組み込みソフトウェア開発を担当しています。簡単に言うと、製品のプログラミングを行う仕事です。また、製品開発に必要なツールの作成や、製品に搭載されるAI機能の開発にも携わっています。
――Moflinについて、どのようなものか教えてください。
Moflinは、カシオが昨年12月に発売した、人と触れ合うことで感情が育つAIペットロボットです。手のひらサイズで、モルモットのような見た目をしています。撫でたり抱っこしたりすることで感情が育っていく、癒し系のロボットです。
――Moflinの開発で苦労したことや、やりがいを感じたエピソードを教えてください。
まず苦労した点ですが、わたしは新規開発チームに所属しており、基本的に少人数で開発を進めています。そのため、エンジニア以外の企画職の方にも技術的な内容を分かりやすく説明することを常に意識しています。専門的な話を伝えるのは簡単ではなく、最初は苦戦しましたね。
一方でやりがいを感じる瞬間は、Moflinが発売され、ネット上でポジティブな意見を見かけたときです。実際に「可愛い!」「癒される!」といった声を見かけると、本当に開発してよかったなと実感します。
――専門外の方とも協力して開発を進めるために、工夫していることはありますか?
例えば、普段プログラミングをしない方でも扱える開発ツールを作成し、提供することで、スムーズに開発が進むようにサポートしています。専門知識がなくてもMoflinの開発に関われる環境を整えることが、自分の重要な役割の一つだと考えています。
――お仕事をする上で、大切にしていることはありますか?
わたしが大切にしているのは、目的意識を持つことです。仕事をしていると、どうしても迷うことが出てきます。そんなときは、一度立ち止まって「そもそもこの仕事の目的は何か?」を考え直すようにしています。目的を明確にすることで、最善の選択がしやすくなり、日々のモチベーション向上にもつながると感じています。
――目的意識を持つことで、何か達成できたことがあれば教えてください。
例えば、「Moflinは可愛いロボット」として売り出していますが、開発を進めていると「そもそも何が可愛いのか?」という感覚が分からなくなることがあります。
そんなときに、お客様のターゲット像、つまりペルソナを見つめ直すことで、「この人たちはどんな可愛さを求めているのか?」という視点を持ち直せます。そうすることで、ユーザーが本当に欲している可愛さに近づけることができます。これは開発中によくあることです。
――モットーや座右の銘があれば教えてください。
「人間にはものを考える時間が必要」(ビル・ゲイツ)です。
これはわたしも本で読んで知ったのですが、ビル・ゲイツさんはとても多忙な方なのに、半年に一度、一週間ほど一人で過ごす時間を作るそうです。その時間を使って、自分の人生の方向性や目標が合っているかを確認する習慣を持っていると。 わたしもこの考え方に共感していて、たまにそういう時間を作るようにしています。
余談ですが、就活のときもこれを真似して、ビジネスホテルを取って、一日缶詰になって就活の軸を考えたことがありました。普段の環境から離れることで、より客観的に自分を見つめ直せるのではないかと思ったのです。
――ご自身の性格と現在の仕事や働き方がマッチしていると感じる点はありますか?
もともとものづくりが好きで、趣味にもしているので、今の仕事は自分に合っていると感じます。特に新規事業としてMoflinをはじめとする製品を開発していると、自分で考えたアイデアをそのまま製品に反映できるのが非常に楽しいですね。
さらに、技術開発を行うことで特許を出願できることもあり、自分が考えた技術が権利化されると、「やってやったぞ!」という達成感があります。
▼企業選びの決め手はキャリアプラン
――数ある企業の中でカシオを選んだきっかけや決め手について教えてください。
これは、カシオの面接での「10年後の自己PRをしてください」という質問がきっかけです。プレゼンを通して、10年後、自分がどうなっているのかを考えさせられたのですが、そこで自分のキャリアプランをしっかり見てもらえる会社だなと感じたのが一つの決め手になりました。
また、そのとき「企画目線でアイデアを提案できるエンジニアになりたい」と話したところ、「それ、ちょっとCSOっぽいね」と言われました。その言葉を聞いて、「あ、自分にはカシオが合っているかもしれない」と思い、最終的に入社を決めました。
――就活中に意識していたことや、企業選びの軸について教えてください。
就活の軸としては、「エンジニアでありながら、企画的な視点でアイデアを提案できる会社」「BtoCのメーカー(直接消費者向けの製品を作る企業)」「東京に拠点がある企業」の3つを大事にしていました。
――就活を振り返って、「もっとこうしておけばよかった」と思うことはありますか?
現実的な話をすると、もっと早く就活を始めればよかったと思っています。最終的に決めた軸自体はブレなかったのですが、就活を早く始めていれば、自分を見つめ直す時間をもっと確保できたのかなと感じます。なので、これを見ている学生さんには、早め早めに動くことをおすすめしたいですね。
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――学生時代の経験が今の仕事に役立っていると感じることはありますか?
具体的にはPythonというプログラミング言語です。大学の研究で使っていたのですが、仕事でもPythonを使う場面が多いので、学んでいてよかったと思います。
また、ExcelやPowerPointのスキルも役立っています。Excelで表や数値計算をする機会は多いですし、PowerPointでプレゼン資料を作る能力も、どんな部署でも必要になるスキルだと感じます。
▼「企画目線で発言できるエンジニア」を目指す
――カシオでは出社とテレワークの割合はどのようになっていますか?
わたし個人の働き方としては、出社5割、テレワーク5割の半々です。カシオ全体としては、テレワークがかなり浸透していて、特にソフトウェア開発部では8割くらいがテレワークになっています。部署によっては「オフィスに行ってもガラガラ」ということもありますね(笑)。
――それだけテレワークが浸透している中で、なぜ5割5割のバランスで働いているのでしょうか?
やはり、対面でのコミュニケーションにはオンラインにはない価値があると思っているからです。オンラインでも仕事はできますが、出社して顔を合わせながら話すことで、よりスムーズに進むこともあるので、そのバランスを大切にしています。
――部署の雰囲気について教えてください。
わたしの部署は、年齢層が幅広く、若い人からベテランまでバランスよく在籍しているのが特徴です。また、皆さんとても真面目で、目標に向かってしっかり取り組む方が多いですね。
――新規事業の開発を担当されているとのことですが、具体的にどのようなことに取り組んでいるのでしょうか?
わたしの部署はまさに新規事業のソフトウェア開発を担当しています。近年、カシオ全体の課題として、新しい事業を生み出せていないという問題意識があります。そのため、いかに良いソフトを早く作れるかを追求しながら、開発プロセスの枠組みを見直し、試行錯誤を重ねているところです。
――新規事業の開発では、市場やニーズのリサーチも重要かと思いますが、その役割分担について教えてください。
市場調査やニーズの調査については、企画チームが主に担当しています。アンケートを取るなどの方法で情報を収集し、そのデータをもとにエンジニア側がアプリや組み込みソフトを開発していくという流れです。ただ、エンジニアも企画寄りの目線を持つことが求められており、企画チームと意見を交わしながら開発を進めることもあります。
――働く中で「居心地が良い」と感じたエピソードがあれば教えてください。
1つ目は、キャリアについてしっかりと意見を聞いてもらえる環境があることです。入社時だけでなく、定期的な面談を通してキャリアプランを調整してもらえるので、自分が目指したい方向に進みやすいと感じています。
2つ目は、働き方の自由度が高いことです。テレワークやフレックスタイム制が浸透していて、服装の自由度も高いので、自分のペースで働ける環境が整っていると感じます。
――働いてから感じたカシオの魅力を教えてください。
技術的な話になりますが、エンジニアとして成長できる環境があるのがカシオの魅力だと思います。わたしの部署では「良いソフトを早く作る」という目標を掲げており、開発のスピード感が求められる分、スキルも磨かれます。少しスパルタな面もありますが(笑)、しっかりと技術力を高められる環境だと感じています。
――今後、カシオでどのようなキャリアを積んでいきたいですか?
わたしは「企画目線で発言できるエンジニア」になりたいと思っています。今後もソフトウェアエンジニアとしてのキャリアは続けますが、技術だけでなく、企画の視点を持ちながら意見を言えるエンジニアを目指していきたいです。また、最近のトレンドでもありますが、AI技術を活用し、より良い価値を提供できる製品開発にも力を入れていきたいと考えています。
――最後に大学生に向けたメッセージをいただけますか?
もし今日の話を通じて少しでもカシオに興味を持ってもらえたら嬉しいです。カシオは今、時計に続く「新しい軸となる新規事業を生み出そう」と全社で取り組んでいる真っ最中です。 ぜひ皆さんも、そんな環境で一緒に新しい価値を生み出していきませんか?就職活動、頑張ってください!
取材:蒲生 杏奈(ガクラボメンバー)
執筆:田中 妃音(ガクラボメンバー)
編集:学生の窓口編集部
取材協力:カシオ計算機