【紫外線対策に効果的な食材って⁈】死亡率を下げる栄養も! 夏にお勧めの料理や食材は? #もやもや解決ゼミ
日常に潜む「お悩み・ギモン」=「もやもや」を学術的に解決するもやもや解決ゼミ。今回は、「夏にお勧めの料理や食材」がテーマです。
夏は食欲がわかず、体力が落ちて体調を崩してしまう人が増える時期です。早くも「夏バテしている」という人もいるでしょう。今回は、熱中症や夏バテ、紫外線対策に効果的な食材や料理を、摂南大学 農学部食品栄養学科の岸本良美先生に教えてもらいました。
夏こそしっかり朝食を取ろう!
熱中症などの危険性が高い夏は、朝にしっかりと栄養を摂取することが、より重要になる季節です。とはいえ、朝食といっても菓子パンひとつだけではなく、しっかりとエネルギー源となる炭水化物と、たんぱく質を摂取することが重要になります。
例えば、卵は栄養価が高く、朝食にお勧めの食材です。わずかな違いではありますが、 卵は生よりも熱を加えた(茹でた)方が消化が早いことが分かっているので、卵は加熱して食べるといいでしょう。
また、摂取した糖質を効果的にエネルギーに変えるには、ビタミンB1を一緒に摂取することが重要です。ビタミンB1は豚肉に多く含まれているので、例えばハムはたんぱく質源としてぴったりの食材。卵と一緒に調理したり、サラダに入れたり手軽に食べられます。ビタミンB1は玄米にも多く含まれています。白米から玄米に切り替えるのもいいですね。
他にも、水分をしっかりと取ることも熱中症対策として大事なことです。特に寝ている間に水分を排出してしまっているので、朝食で水分を取ることも必要です。水分は水やお茶などの液体を飲むだけでなく、食べた物を体の中で分解する際にも多く発生します。朝食をしっかり食べるという行為自体が、水分摂取にもつながります。
紫外線対策になる食材がある!
夏は紫外線への対策も必要です。紫外線を浴びると、酸化ストレスなど体に影響を与える活性酸素が体内に生まれます。そのため、活性酸素の発生を抑えたり、取り除いたりする働きを持つ食材を摂取するのがお勧めです。
活性酸素に対して有効といわれているのが、ニンジンやホウレンソウ、カボチャといった緑黄色野菜です。緑黄色野菜には、活性酸素の除去効果が期待できる「カロテノイド」という成分が多く含まれています。
カロテノイドには油に溶けやすいという性質があるため、油と一緒に食べることで効果的に吸収することできます。また、生のままよりも、加熱したり砕いたりして、細胞の中から成分が出やすい状態に調理するのもポイントです。
他にも、紫外線対策としてはビタミンCも重要な栄養素です。ビタミンCは熱で壊れやすく、水に溶けやすいので、野菜やフルーツをスムージーにするなどして摂取するといいでしょう。
生活習慣病の予防に効果がある食品は?
夏に限らず生活習慣病の予防に重要な成分としてポリフェノールが挙げられます。ポリフェノールにはさまざまな種類がありますが、抗酸化作用をもち、動脈硬化の予防効果が期待されています。
実際に私たちが行った研究でも、ポリフェノールの摂取量が多いグループは、少ないグループと比べて死亡リスクが低いことが分かりました。他の国でもポリフェノールの摂取量が多いと、血管系の病気のリスクが低かったという結果が出ています。
ポリフェノールは、コーヒーや緑茶に限らず、高カカオのチョコレートや赤ワイン、大豆製品にも含まれています。これらの食材を摂取することを意識してみてもいいでしょう。特に味噌は、味噌汁のほかにも、野菜や肉、魚などと一緒に炒め物や煮物に使うことも多く、ポリフェノール以外にも、ビタミンやたんぱく質といった成分を摂取しやすいです。
◇けつろん!
夏バテや熱中症に注意しないといけない季節ですが、食材や料理を見直すことで、効果的に予防・対策をすることができます。紫外線によるストレスや、将来の生活習慣病のリスクを低減する効果も期待できるので、本記事を参考に自分の体や食生活を見直してみてはいかがでしょうか。
◇教えてくれた先生
岸本良美
摂南大学 農学部食品栄養学科 准教授。
お茶の水女子大学 博士後期課程修了。同大学寄附研究部門准教授を経て2020年より現職。専門分野は、ライフサイエンス/栄養学、健康科学。ポリフェノールやカロテノイドをはじめとする食品成分の機能性を研究。主な研究には「ポリフェノールと動脈硬化の関連を調べる研究」「皮膚のカロテノイド量の測定を野菜摂取量の増加につなげる研究」などがある。所属する摂南大学農学部食品栄養学科では、2023年3月、翌24年2月に、野菜の摂取促進やフードロス削減の啓発を目的とした「うさミンカフェ」を枚方市宮之阪商店街内に期間限定で開設。学生主体の地域貢献にも継続して取り組んでいる。
文:大西トタン@dcp
編集:学生の窓口編集部