【海のインフラを守る!「潜水士」の仕事とは?】『日本潜水協会』に聞いた!「潜水士」の免許と仕事の魅力とは? #あつまれ!_おどおど学生。

「自分が持っている技術で食べていく」というのは格好いいものです。大工さんが人気になるのもそのためでしょう。日本には職人に対するリスペクトがありますね。
「技術を有していますよ」という証明になるのが免許です。「潰しが効く」免許を取得しておくと、何かあったときに食いはぐれがないかもしれません。
そこで今回は、水中で作業するために必須の「潜水士」免許についてご紹介します。『一般社団法人日本潜水協会』さんに取材しました。
「潜水士」免許は筆記試験で取得できますが……あくまで必要条件
「潜水士」の免許は、厚生労働省が所管の免許です。この「潜水士」免許は、筆記試験を受けて合格すると取得できます。
「えっ、実際に潜らなくても免許が取れるの?」と大学生読者の皆さんは驚くかもしれませんね。
まず、この潜水士の免許は必須です。これがないと、水の中で行う作業を「生業(なりわい)」として行うことはできません。つまり、商売にしてはいけないのです。
例えば、潜水士が携わる仕事には、
港の工事
サルベージ
レジャー
漁業関連
などがありますが、このような仕事を行うには「潜水士」の免許が必須です。
しかし筆記試験なので、合格すると「知識はある」ことにはなりますが、「潜水技能がある」ことにはなりません。
実際に水中作業を行い、それを生業とするには「作業を行うに足る技能」を身に付ける必要があるのです。
実作業のための「資格」が必要!
つまり「潜水士の免許」は、水中で仕事を行うための必要条件ではありますが、実際の仕事をするための十分条件ではないのです。
自動車免許を取得するときには、学科試験と実技試験の両方がありますね。
学科試験だけ通っても実技試験に不合格なら、公道を走ることが可能な免許は取れません。これに似ています。
潜水士の場合には、自動車でいうところの実技試験において、それぞれで専門の資格が問われるようになっているのです。
例えば、陸上の建築現場では「玉掛け資格」が必要なことがあります。これは重い荷物などをクレーンで運ぶときに、安定し移動できるよう重心を見極めてワイヤーを掛ける――ための資格です。
水中でも同様の作業を行うことがあって、そのためにやはり「玉掛け資格」が必要なのです。
つまり、必要条件である「潜水士」、十分条件の「玉掛け資格」がそろって初めて水中の玉掛け作業を行えるというわけです。
ちなみに「玉掛け資格」を取るには、一般の「陸上での技能講習」を受ければOK。水中での技能講習を特別に受ける必要はありません。
●潜水士の免許は「1万円」ほどで取得できます!
上記のとおり、水中で作業するための必要条件であるのが「潜水士免許」です。現在は、1万円ほどで潜水士免許を取得することができます。
受験料金は「6,800円」ですが、合格後に免許申請手数料が掛かります(収入印紙1,500円分と返信用切手代金が必要)。
その他に掛かるのは受験申請書の取り寄せの切手代、受験申請書の郵送代(郵便書留)くらいですから、だいだい1万円みておけば取得できるはずです。ただし1回で合格した場合で、勉強用の参考書などを購入すれば別途お金がかかります。
潜水士は多能な技術者になっていく!
潜水士は水中でさまざまな作業を行います。
『日本潜水協会』によると、現場を管理する免許から、水中で使用する機械・工具を取り扱う資格まであって、20以上の資格を有する潜水士もいるそうです。
(1)免許
●小型船舶操縦士(1・2級)
●移動式クレーン5t以上
●土木施行工管理技士(1・2級)
●測量士・測量士補
(2)技能講習・特別講習
●職長・安全衛生責任者
●足場組立作業主任者
●型枠支保工作業主任者
●小型移動式クレーン運転
●ガス溶接・アーク溶接
●車両系建設機械
●玉掛け
●送気員
●巻き上げ機運転
また、国が整備する港の岸壁や防波堤などの建設に携わるためには港湾潜水技士の資格が必要となっています。
港湾潜水技士資格は港湾の工事等での潜水作業が必要な精度を保ち安全に完成するために必要な専門的知識と技術力を持っていることを認定する資格で、『一般社団法人 日本潜水協会』において運用されています。
必要条件である「潜水士」の免許を取得したら、上掲のような専門的な資格を取り、多能な潜水士になっていくわけです。
※上記の別途必要な資格は、各種教習所などによって掛かる日数、取得費用が異なります。
日本の「海のインフラ」を守る仕事です!
日本は島嶼国家です。インフラといえば、高速道路や水道といった陸上の施設を思い浮かべるかもしれません。しかし、港湾設備やダム、橋梁など、海や河川にも維持しなければならないインフラ施設があります。これを建設・保全するためには潜水士の力が必要になる場面。
『日本潜水協会』の高橋宏会長に伺ったところ――。
「私たちの主な役割は、日本のインフラを守ることです。海から立ち上がるインフラはたくさんあり、それらを建設・メンテしていますが、それができるのは潜水士だけです。潜水士は、水中から日本の社会を支える大切な職務を担っています。
水の中で作業する資格というのは、「潜水士の免許」以外にはありません。
最近は地震など自然災害が多く発生しています。地震があると港湾構造物が破壊されたり、地盤が隆起したり沈降したりして使えなくなることもあります。港が復旧しなければ、船から緊急物資を運び込むのも困難です。
ですから発災直後から、どこがどのように壊れたのかを調査するために『日本潜水協会』の協会員である潜水士の皆さんが働いています。
災害時には、潜水士が集中的に投入されて仕事を行うことがあります。
みんな日本のためを思い、一種の正義感を胸に仕事をしています。このような心持ちになれるのは潜水士のいいところかもしれません。
また、近年は環境問題が大きく注目されて、海藻の再生プロジェクトや洋上風力発電などの再生可能エネルギーの整備などに潜水士も携わっていますが、若手潜水士がROV(水中ドローン)を操作して業務の支援をするなど新しい働き方も生まれ、潜水士に興味を持つ方が増えています。
さまざまなシーンで機械化・自動化が進み機械と潜水士の協働作業も増えています。もちろん、水中の作業でも『最後は人力で』という場面が多々あります。ぜひ大学生の皆さんにも『潜水士』に興味を持っていただきたいと思います」
とアドバイスがありました。
解決!! はじめての「潜水士の仕事」おどおど
水中で作業を行うというのが潜水士の仕事の面白いところです。
今回お話を伺った高橋会長自身も潜水士の出身でいらっしゃいますが、例えば「地上で行う溶接」と「海中で行う溶接」とでは、コツや勘所が違って、それぞれに難しい点があるそうです。地上で溶接に慣れた人でも、海中でうまくいくとは限らないのです。
つまり、海中で溶接が行える潜水士は非常に特殊な技能を有するプロといえるでしょう。島嶼国家・日本にとって、潜水士はこれからも絶対に必要です。その意味ではつぶしの効く免許といえます。大学生読者の皆さんも取得してみてはいかがでしょうか。
文:高橋モータース@dcp
編集:学生の窓口編集部
取材協力:『一般社団法人 日本潜水協会』
https://www.sensui.or.jp/



























