インパクトファクター数値の目安はいくつ? 論文執筆のためのIF参考値まとめ

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インパクトファクターとは、学術雑誌の影響度や権威性について評価する際の、1つの目安となっている指標のこと。もっと簡潔にすると「学術雑誌のランク付け」の1つと言うことができます。

学生のみなさんは、日頃の研究や卒論などの際に、専門誌を手にすることがあるでしょう。専門誌に自身の論文を投稿するのはまだ先の話かもしれませんが、今からインパクトファクターを知っておくと、参考文献選びで役立つことがあります

今回は、このインパクトファクターについて詳しく解説します。

■この記事で分かること■
・インパクトファクターって何?
・インパクトファクターの調べ方
・専門分野別インパクトファクターの目安

上記の順番で、できるだけ分かりやすくお伝えしていきます。

インパクトファクターとは

インパクトファクター(impact factor:IF)とは、学術雑誌を評価するための指標の1つ。ある雑誌に掲載された論文が「どれだけ他で引用されたか」をベースに計算され、雑誌の「影響力」を示すものとなっています。

インパクトファクターは、もともとは1970年代にアメリカで考案されたもの。対象としてはWeb of Scienceというデータベースに収録されている、自然科学や社会科学分野の学術雑誌となります(宗教などは対象外)。

注意したいのが、インパクトファクターはあくまで学術雑誌を評価するものであるということ。雑誌に掲載された個々の論文を評価するものではありませんので、そこはご注意ください。

とはいえ、個々の論文にも大きく影響することは確かです。なぜならインパクトファクターの高い雑誌は「影響力がある」「多くの人に読まれる」と判断され、論文を掲載するにあたっての競争も激しくハードルも高くなるためです。

私たちが卒論などでの先行文献を探す際にも、インパクトファクターをチェックすることで、より信頼度の高い文献を見つけやすくなるのです。

インパクトファクターの計算方法

インパクトファクターの具体的な計算方法ですが、実はとてもシンプル。

・ある雑誌に掲載された、過去2年間の論文総数を「分母」
・それらが翌年1年間に、どれだけ他で引用されたかを「分子」

とし、この2点で割り算します。たとえば2022年現在を例にすると、

IF=2022年での被引用回数/2020〜2021年の論文総数

このようになります。
被引用回数(分子)が大きくなればなるほど、インパクトファクターは大きくなっていくというわけですね!

インパクトファクターはどの程度考慮すべき?

では、私たちが卒論などの参考文献を探す際に、インパクトファクターはどの程度考慮すべきなのでしょうか。

結論から言うと、インパクトファクターは必須ではないものの、できるだけ高い雑誌から探した方がクオリティの高い論文へとつながる可能性があります。ただし、絶対的な数値というよりも目安として捉えておくといいかもしれません。

なぜ「目安」なのかというと、インパクトファクターにも欠点があるためです。

●インパクトファクターの欠点
・トレンドの研究テーマがある雑誌はIFが高くなりやすい
・突出して多く引用された優秀な論文があると、急にIFが高くなる
・あえて専門領域を絞り込んでいる雑誌はIFが低め etc.

こうして見てみるとインパクトファクターも万能ではなく、実際に賛否両論あることも事実なのです。そこでIFはあくまで目安と考え、次のように対応されるといいでしょう。

・明らかに低いものはなるべく避ける(IF1点前後)
・複数の論文で迷っている場合はIFの高い方をチョイス

特に2つ目の「複数の論文で迷っている場合」はインパクトファクターが役立ちます。たとえば一方の雑誌がIF5、もう一方の雑誌がIF20なら「IF20の雑誌に載っている論文の方が良いだろう」と相対的な目安になります。

ところで、学術雑誌の論文を「読む側」ではなく「投稿する側」になった場合、たとえば博士論文の際に学位取得の要件として、掲載される雑誌が「IF合計値5以上」「IF3以上」などと設けられるケースもあるようです。

インパクトファクターの調べ方

学術雑誌のインパクトファクターを詳細に調べたい場合、JCRの有料契約が必要となります。
※JCR(Journal Citation Reports)とは、Clarivate Analytics社が運用するデータベースのこと
また、前述のデータベース“Web of Science”からも、JCRの有料会員ならインパクトファクターを確認することができます。
(JCRもWeb of Scienceも、共にClarivate Analytics社が運用)

とはいえ、個人で有料契約をしなくとも、大学の方で有料契約していることがほとんど。まずは大学の図書館にて「学術雑誌のインパクトファクターを知りたい」旨を申告してみるのがいいでしょう。

あるいはもっと簡易的な方法として、Googleで検索することもできます。たとえば“science”という雑誌を「science impact factor」と入力して検索してみましょう。

このように出てきました!ただしこちらはJCRの一次情報ではないため、あくまでも参考値として考えておくといいでしょう。

本記事ではこの後、主要雑誌をピックアップしてインパクトファクター目安としてご紹介していきます。その際は“Journal Impact Search”という検索サイトを使用しました。専門分野ごとに主な雑誌がリストアップされてIFを確認することができます。

インパクトファクターの目安を分野別に紹介

目安として主な雑誌のインパクトファクターがどの位になっているのか、実際に見てみましょう。ここでは専門分野ごとに「化学」「生物」「医学・薬学」をピックアップ。主要な雑誌のみのご紹介となりますので、どれもIFはトップレベルです。当然ながら雑誌はほかにもたくさんあり、IFとしては1前後まで多岐にわたりますのでご承知おき下さい。

主な化学系雑誌の2020年IF目安

ジャーナル名 インパクトファクター
(IF)
Chemical Society Reviews 54.564
Energy & Environmental Science 38.532
Nature Chemistry 24.427

化学系雑誌でIF5前後ならかなり上位と考えられ、読むべき雑誌としておすすめです。

主な生物系雑誌の2020年IF目安

ジャーナル名 インパクトファクター
(IF)
Nature Reviews Genetics 53.242
Nature Reviews Microbiology 60.633
Cell 41.582

生物系雑誌も化学系と同様、IF5前後なら「読まれる」論文と認識されるようです。大学生が読むべき雑誌としても適当と考えられます。

主な医学・薬学系雑誌の2020年IF目安

ジャーナル名 インパクトファクター
(IF)
New England Journal of Medicine 91.245
Lancet 79.321
Nature Reviews Drug Discovery 84.694

医学・薬学系雑誌のインパクトファクターは高い数値が出ています。専門分野によってもIFは大きく異なることが分かりますね。

医学・薬学系で読むべき雑誌もIFが高いに越したことはありません。ですが専門領域によってはIF2前後でも有用とされるものがあります。ですから、あまりIF値にこだわらずに「同じ専門の中での相対的な比較」程度にとどめておくといいかもしれません。

まとめ

インパクトファクターは、学術雑誌を評価するための指標の1つです。「どれだけ他で引用されたか」をベースに計算されるため、その雑誌の影響力や信用力を示すものとして広く利用されています。

ですが、インパクトファクターはあくまで指標の1つであり、絶対的な評価基準ではないことはおさえておきましょう。たとえば、狭い分野に特化した雑誌はIFが低めですが、価値のある論文が掲載されることは多々あります。

IFが高いトップジャーナル(雑誌)の論文は魅力的なものも多いですが、一番大切なのは自分の研究内容にあっているかどうか。ですからIFはあくまで目安として活用し、より良い論文選びに役立ててみてくださいね。

文:学生の窓口編集部

<参考資料>
Journal Impact Search

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