パソコンにはいろいろなメーカーがありますが、「正直どう違うかわからない……」という方が多いのではないでしょうか？

今回は、パソコンガイドの内川功一朗さんに、パソコン選びに役立つメーカーごとのポイントと、各メーカーごとに、学生向けのおすすめパソコンを教えていただきました。特に高いパソコンスペックが必要とされる芸術系や建築系を除いた、多くの大学生にとってのスタンダードなスペックのパソコンをセレクトしましたので、ぜひ参考にしてくださいね。

ここが違う！
プロから見た、各メーカーのこだわりポイント

「パソコンはメーカーごとに特徴やこだわりがあります。その特徴を理解すれば、メーカーを選ぶ際の判断基準となります。
ここでは、代表的なパソコンメーカーを10社取り上げて、特徴やこだわりポイントなどを紹介します。パソコン選びの際に役立てて下さい。」（内川さん）

・日本マイクロソフト

パソコンを動かすOSのWindowsを作っているメーカーです。2012年よりパソコン本体も作るようになりました。ノートパソコンやタブレットにもなる2in1、モニタ一体型のデスクトップなどがラインナップされています。

おすすめポイントは、Windowsを作っているメーカー純正のパソコンであることと、非常に品質が高いことです。また、すべての製品でペンやタッチパネルでの操作ができます。主力製品であるSurface Proをはじめ、すべての製品でWindowsのフル機能が使えると言ってよいでしょう。

ただし、その品質の高さや多機能のためか、他社と比較してやや値段の高い製品が多くなっています。また、同シリーズの周辺機器もそこそこ値段が張るため、パソコン本体だけでなく自分に必要なものを把握したうえで予算組みするのが吉。その分実際に利用した時の満足度が高い製品なので、価格がクリアできるのならおすすめのメーカーです。

日本マイクロソフトのおすすめノートPC：Surface Laptop 4

Surfaceシリーズの中でいくつかの商品展開がありますが、ファーストパソコンとしておすすめなのが＜Surface Laptop 4＞。一般的なクラムシェル型のノートパソコンで、万人におすすめできるシンプルでスタンダードなノートパソコンです。高速起動に加えて顔認証もついており、開いた瞬間に起動するような印象で、待ち時間のストレスを感じません。

また画面の縦横比が3:2というのも特徴的なポイントで、他社製品の多くに採用されている16:9のものに比べると格段に縦の長さがあり、WEBページや資料類の見やすさに優れています。難点を挙げるとすれば、周辺機器を接続するための端子が少ない点で、アイテムが増えていくと不満を感じるかもしれません。

・レノボ（Lenovo）

パソコンの世界シェアNo.1（2023年、IDC Japan発表）を誇る、総合パソコンメーカーのレノボ。保証やサポートも充実しており、ビジネス、ホーム、エンタメなどの利用シーンを問わず幅広く選ばれ続けている信頼と実績のある安心のメーカーです。

持ち運びが多い学生にとって使いやすい「IdeaPad」シリーズや外観・スペックともにこだわって作られた「Yoga」シリーズ、グラフィック性能が高くデザイン・映像系作業にもおすすめのゲーミングパソコン「Legion」シリーズなど、使い道に合わせて選べるラインナップが揃っています。ただ、それゆえ選び始めると悩むメーカーとも言えるかもしれません。

レノボ製品全体として、同じようなスペックで見たときに、他のメーカーに比べて価格が抑えられている印象で、どのパソコンを選んでもクオリティ＆コストパフォーマンスの高さを実感できるでしょう。パソコン選びに悩んだら、ぜひ一度はチェックしてみてほしいメーカーです。

レノボのおすすめノートPC：Yoga Slim 760 Carbon

スタイリッシュで洗練された見た目だけでなく、一般的な授業やレポート作成に限らず、プライベートでの画像編集や動画の閲覧などのエンタメ用途でも満足できる十分なスペックが搭載されています。

また、14型の大きな画面を搭載しつつ、約1.1kgという軽さを実現しています。毎日持ち運ぶパソコンとして重要な大画面＆薄型軽量であり、画面の縦横比もベスト比率とされる16:10になっています。このため、縦の長さが見やすさに直結する資料類やレポート、スクロールの多いWebページも快適な大きさで表示できます。

さらに、ディスプレイにはOLED（有機EL）が採用されており、自宅でも学校でも高画質テレビのような映像美を楽しむことができます。音に関しても、映画館で使われるDolby Atmos®のサウンドシステムが搭載されており、動画鑑賞が生活の一部のようになった現代において、高い満足度を感じられるパソコンと言えるでしょう。

・NECパーソナルコンピュータ

常に時代の一歩先にチャレンジし続ける、NECパーソナルコンピュータ（以下NEC）。世界初のTFTカラー液晶ノートパソコンや、大画面極薄ノートパソコンなど、「もっとこうだったらいいな」と思う機能を先駆けて実現し続けており、業界トップランナーのひとつと言えるパソコンメーカーです。

ブランド名のLAVIEはフランス語で人生や生活といった意味を持つ「La Vie」から。使う人、使うシーンのことを考えた設計が評価されており、実際に「BCNランキング」で発表されている、国内のメーカー別ノートパソコン販売台数はシェアNo.1（2021年12月時点）という信頼のブランド。

細部にわたる消費者視点での使いやすさを追求した開発へのこだわりは、国内メーカーならではの特徴です。品質へのこだわりも長く愛されている要因の一つで、「設計時」「部品ごと」「生産ライン」「出荷前」の4段階で行われる品質検査は、初めてパソコンを購入する人への安心感を与えてくれます。

また、音響周りではヤマハとの共同開発体制が採用されており、映画や音楽、オンラインミーティングなどの音に関する質の良さも魅力です。

NECのおすすめノートPC：LAVIE N14（N1475）

NECでファーストパソコンとしておすすめなのは、14型の大きめな画面にスリムボディで、大きさと持ち運びやすさを両立した＜LAVIE N14＞。キーボードのキーも大きめに作られているほか、パソコンを開いたときに自然と打ちやすい角度に傾斜がつくようになっているなど、タイピングしやすさへのこだわりが感じられます。

また、この＜LAVIE N14＞の、Webミーティング時に役立つ機能にも注目です。。オンライン授業時など、話す人の音量の差を自動で調整してくれる「ミーティング機能」や、周囲の雑音をカットして相手に音声を聞こえやすくする「ノイズサプレッサー」など、いろんな場所でパソコンを開くことが想定される今の学生には、特に嬉しいポイントのはずです。

周辺機器と接続するインターフェイスに関しても、USB-Aが2つ、USB-Cが1つ、HDMI、SDカード、マイク、そして有線LANと充実しています。安定した通信回線の確保や、学校での発表でスクリーン投影する際など、あらゆるシーンで不便を感じることはありません。

・富士通クライアントコンピューティング

世界一のコンピューターと知られる「富岳」を作ったメーカーであり、技術力に定評があります。ノートパソコンの分野でもそのNo.1気質を発揮しており、特に注目すべき点はその軽さです。常に世界一を争っていて、2021年9月時点では、13.3型ノートパソコンで世界最軽量の634g「FMV LIFEBOOK UH-X/E3」を発表しています。

どの製品も国産にこだわり、使い勝手の良さを追求しています。また、充実したサポート体制が整っているため、初心者でも安心して使える製品となっています。

手堅く作られた製品が多いため、目立った特徴は少ないのですが、他のメーカーでは省いたと思われるような部分までしっかりと搭載されており、かゆいところに手が届く「全部入り」のパソコンが多い印象です。

富士通のおすすめノートPC：FMV LIFEBOOK UH75/F3

富士通のノートパソコンの中でも最軽量のシリーズである、UHシリーズの＜FMV LIFEBOOK UH75/F3＞をおすすめします。先ほどの製品よりは少し重くなりますが、それでも857gと非常に軽量です。他メーカーの同様のモデルと比較しても大きなアドバンテージと言えます。

また、ノートパソコンに直接させる接続インターフェイスも充実しており、USB-AおよびUSB-Cがそれぞれ2つずつあるほか、外部モニタとつなぐためのHDMIや、データのやり取りに便利なSDカード、そして有線LAN接続用のポートも設けられています。これだけ多彩な接続オプションが用意されているため、価格とのバランスが取れる方には、強くおすすめです。

・dynabook

以前は東芝としてパソコンを製造・販売していたメーカーです。現在はシャープの子会社となり、ブランド名だったdynabook（ダイナブック）に社名を変えています。

世界初のノートパソコンを世に送り出したメーカーでもあり、ノートパソコンでは4年連続で世界トップのシェアを誇ったこともあり、ビジネスシーンでの信頼感には、揺るがないものがあります。現在はそのノートパソコンのみをラインナップとしています。

ビジネス向け製品で鍛えられた品質や信頼性には定評があり、使い方が荒いかも？と気にしているような人でも安心して使い続けられるでしょう。

dynabookのおすすめノートPC：dynabook S6

dynabookのノートPCとしては＜dynabook S6＞をおすすめさせていただきます。特にクセのない優等生的な製品で、intel製core i5のCPUに加え、Irisグラフィックス搭載モデルで、画像や映像の表示においても素早く、美しく、なめらかな表示を可能にしています。
負荷の高い3Dゲームや、高画質動画の編集でも快適！とまでは言えませんが、オンライン授業で不満を感じることはないレベルです。

また、アメリカ国防総省制定のMIL規格に準拠した耐久テストをクリアしていて耐久性もバッチリ。セキュリティ関連では顔認証と指紋認証の両方が使えるなど細かな点にもこだわりが見られ、人を選ばずおすすめできるスタンダードなノートパソコンと言えるでしょう。

・LGエレクトロニクス

韓国に本社がある総合電機メーカーで、特にスマートフォン分野では世界有数の大企業です。ノートパソコンでは、13.3インチのモバイル向けのものから17インチの大型画面のものまで幅広いラインナップを提供しています。

軽量で薄型の「LG gram」シリーズに代表されるように、いずれの画面サイズでも、薄型で軽量、かつバッテリー持ちも良い製品を揃えています。

一貫したコンセプトを持つ製品ラインナップのおかげで、利用者が自分のニーズや好みに合った画面サイズのパソコンを選ぶことができるようになっています。

LGエレクトロニクスのおすすめノートPC：LG gram 14（14Z95P-KR54J）

おすすめするのは「LG gram」シリーズの中では最小サイズの14型。16:10の縦横比であることも含めて、持ち運びを前提としたノートPCの中では、見やすい大画面と言えるのではないでしょうか。それだけの大きさでありながら重量は999gと1kg以下とシリーズの名に恥じない軽量さを持っています。

さらに、公表されているバッテリー持続時間が31時間というバッテリー性能には驚きます。一般的な軽量ノートパソコンの多くが10時間を少し超える程度の性能にとどまっている中で、2倍以上もの電池持ちを実現しています。少しでも荷物を軽くしたい学生にとって、ACアダプターを持って行かずに1日ガッツリ作業ができるというのは大きなメリットです。

・Dell Japan

アメリカに本社を置くパソコンメーカー、Dell（デル）の日本法人です。パソコンだけではなくモニタにも定評があり、パソコン関連の製品ならすべてDellで揃えられるほど手広く手掛けています。

早くからインターネットでBTO（Build To Order）というカスタマイズしたモデルを販売していたことでも知られ、現在でもほとんどのモデルで自分好みにパソコンをカスタマイズしてコスパ良く仕上げることができます。

自分でカスタマイズできるBTOのメーカーとしての知名度が高く、細やかな顧客対応ができる体制ゆえのカスタマーサポートにも定評があります。購入したパソコンのことだけでなく、Officeソフトの使い方まで気軽に相談できるサポート窓口は、初めてパソコンを買う人にとって心強いポイントです。

Dell JapanのおすすめノートPC：Dell New Inspiron 13（5310）

DellのおすすめPCは＜New Inspiron 13 (5310)＞。さまざまなモデルが展開されている中で、基本をしっかり押さえたスタンダードなノートPCです。天板とキーボードにはアルミニウムが使われていて、上質さを感じられるでしょう。

直販サイトでは中身のスペックを細かく変えることができるので、学校からの推奨スペックをもとに自分に合うPCを作り上げてみてください。

カバーを開けるときに指にかかりやすい構造になっていて片手でも開けやすい点や、カメラにシャッターがついていて物理的にカメラを隠せるところ、ブルーライトカット機能など、細かなところまでこだわりが感じられる製品です。

・日本HP

アメリカに本社があるパソコンメーカー、HPの日本法人です。パソコンだけでなくプリンタもラインナップに持つ総合パソコンメーカーで、日本HPだけで必要なパソコンの周辺機器をそろえることができます。通常のデスクトップやノートパソコン以外にもゲーミングPCやクリエイター向けパソコンも展開しています。

幅広く隙のない製品ラインナップは、優等生的な性能の製品が多くなっています。低価格製品も充実しており、値段にこだわる人にはぜひ検討してみてほしいメーカーです。

日本HPのおすすめノートPC：HP ENVY x360 13

日本HPでおすすめするのが、2in1タイプの＜HP ENVY x360 13＞です。ノートパソコンとしてもタブレットとしても使えるタイプの製品で、画面が360度回転するので、そのときの使用用途に合わせて最適な角度に調節可能。同梱物にパソコン用のタッチペンも付属しているので、新たにペン買い足すことなく2in1PCの実力を発揮させてくれます。

2in1タイプであるこのモデルは耐久性に不安を感じやすいものですが、耐圧試験も行っており、安心して持ち運べるモデルとなっています。

・サードウェーブ（ドスパラ）

PCの販売店ドスパラとして始まり、パソコンにこだわる人のパーツ需要に長く応えてきているメーカーです。現在は自社製造でのゲーミングPC「GALLERIA」ブランドも手掛け、ゲーマーにしっかり認知されてます。

ゲーミングPCとして知られる製品は、通常高性能なパーツを使用するため、価格も高額になりがちです。しかし、「GALLERIA」ブランドに関しては、性能もしっかりと確保しつつ、手頃な価格で提供される製品もあり、PCゲームを楽しみたいと考える人のファーストパソコンにおすすめです。

サードウェーブのおすすめノートPC：GALLERIA RL5C-R35

サードウェーブでおすすめしたいモデルが「GALLERIA RL5C-R35」。ゲーミングPCとしての高い性能を備えながら、持ち運べなくはない15.6型の画面サイズと重さ2.0kgの軽量化を実現したノートパソコンです。

リフレッシュレートという画面の更新速度に関しては、一般的なビジネス・学習向けのノートPCに比べて明らかに優れており、素早い動きをする映像表現においての滑らかさはゲーミングPCならではです。さらに、ゲームだけでなく、画像編集や動画編集などのグラフィックに負担をかける作業においても高いパフォーマンスを発揮してくれます。

・Apple

他メーカーがOSにWindowsを採用しているのに対し、独自OSであるMacOSを採用しているメーカーです。最近ではCPUも独自に開発し、最新のパソコンに搭載されているM1チップは高い評価を受けています。

OSが異なるため、文書作成ソフトや表計算ソフトなどは独自のものが用意されていますが、一般的なOfficeソフトもWindowsと同様に利用できるので安心です。

ただし、OSがWindowsではないため、身近にMacユーザーがいないと使い方の質問がしにくいかもしれません。しかし、iPhoneやiPadを使用している方や、Appleのデザイン性を好む方にはおすすめのメーカーです。

AppleのおすすめノートPC：Mac book Air

Appleで選ぶおすすめのファーストパソコンは「Mac book Air」。最新型のM1チップを搭載しており、特別なパフォーマンスが必要なソフトを使う学生でなければ、申し分ない性能です。

バッテリーは18時間駆動で、バッテリーを持ち歩かなくても1日は使えるため便利です。また、1.29kgという軽量な設計は、持ち歩くものが多い学生にとって嬉しいポイントです。

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メーカーだけで選ぶことは難しいかもしれませんが、スペックとメーカーを合わせて選ぶことで、より満足度の高いパソコン選びができるはずです。今回ご紹介した他にもパソコンメーカーはたくさんありますので、気になる製品があったら、メーカーという視点でもパソコンの比較をしてみると、よりあなたに合ったパソコン選びができますよ。

編集・イラスト：watasack

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