通信環境はどうする? PC選びと一緒に考えたい回線のこと
大学進学とともに一人暮らしを始める学生も多いのではないでしょうか。今やパソコンはインターネットとセットで使うため、引っ越しとともにネット環境を整える必要があります。
しかし、利用方法や頻度によって、どのような回線を使うのか、どのように準備すれば良いのかが変わってきます。そこで、PCガイドの内川功一朗さんに、いくつかのパターンにわけて、おすすめのネット回線の整え方を教えていただきました。
通信手段4つを組み合わせて快適な環境を整えよう
パソコンを使用する際の通信手段としては、以下の4つがあります。
A. 光回線(自宅で利用できる。高速で、どれだけ利用しても定額)
B. 公衆無線LAN(カフェなどの外出先で利用できる。利用場所にやや制約がある)
C. モバイルルーター(場所を選ばず、携帯通信でインターネット接続ができる)
D. テザリング機能(場所は選ばないが、スマホの通信量を消費する)
これらを自分のパソコンの利用シーンと照らし合わせて、賢く組み合わせて使うことがおすすめの使い方になります。大学生の場合、パソコンの使い方は以下の4パターンのいずれかになる方が多いのではないでしょうか。
(2)カフェなど外出先での利用もあるが、特定の場所で使うことが多い
そこで、4パターンそれぞれのお勧めの通信環境を説明します。利用パターンに合わせて通信手段を決定すると快適に通信ができるようになります。
※スマホを所有している前提で解説していきます。
(1)ほとんど自宅のみで利用する
まずは、パソコンをほとんど自宅で使うパターンです。この場合は高速な光通信を使う方法がおすすめです。自宅にいる間は、スマホもWi-Fiでこの回線に繋ぐことができ、通信量を大幅に削減することができます。
光通信は高価と思われがちですが、パソコンとスマホの両方を繋ぐのであれば、どれだけ利用しても通信費が変わらないというメリットがあります。
一方、モバイルルーターでは月々の通信量に上限がある場合が多く、動画視聴やWindows Updateなどで大量のデータ通信が発生すると、すぐに上限に到達してしまいます。無制限のプランでも、直近数日間の利用量で制限がかかることもありますので、実質的な制約が存在します。
また、速度面でも、4G通信では光回線にかなわないですし、5G通信も全体的な普及率はまだ高くないため、安定して使える光通信にメリットがあります。
自宅の光回線を利用してスマホの通信量を節約しておけば、まれに外出先でパソコンを使うことがあっても、スマホのテザリング機能で通信ができます。こうすると、光回線以外の契約をする必要がなくなります。
このような理由から、自宅でのパソコン利用が多い方には光通信が最も適していると言えるでしょう。
(2)カフェなど外出先での利用もあるが、特定の場所で使うことが多い
次に紹介するのは、特定の外出先で利用するパターンです。
下宿生活を送る方には、自宅に光回線が通っていない場合もあるでしょう。そのような場合、学習や作業を外出先で済ませることが多いかもしれませんね。いつも行く特定の外出先があり、その場所で公衆無線LANを使えるのであれば、契約することをおすすめします。
公衆無線LANには契約不要で無料のものもありますが、日本ではまだ有料のものが一般的です。ただし、月額数百円程度で利用できるプランも増えており、非常に安価です。このようなプランの公衆無線LANとスマホのテザリング機能を組み合わせることで、コストを抑えながら通信を利用することができます。
しかし、公衆無線LANにはいくつか注意点があります。まず第一に、安全なセキュリティが確保されているかどうか判断できないため、セキュリティ対策をきちんと行うことが必要になります。また、その場にいる複数人で回線をシェアするため、速度が十分に出ない場合があります。さらに、無線LANが利用できる場所に行かないと通信ができないという場所の制約もあります。
そのため、この方法はパソコンの利用頻度が比較的少ない方向けの方法となります。
(3)大学と自宅、半々くらいの割合で利用する
大学と自宅とでパソコンを利用するパターンの場合は、大学に利用できる通信環境があるかどうかで状況は変わります。もし大学での通信状況が整っていない場合、モバイルルーターでの通信がおすすめです。
モバイルルーターを使用すれば、場所を選ばず通信ができますし、基本的にはパソコンもスマホも同時に繋いでおくことで、スマホの通信量を節約することも可能です。通信量が上限に達した場合でも、スマホのテザリング機能を使えば、無駄な通信量を抑えることもできます。
ただし、通信量が多くなる場合は通信量が不足する可能性があるため、使用頻度や通信量が多い方は自宅に光回線を導入することを検討することをおすすめします。 大学での通信環境が整っている場合は、(1)の「ほとんどの利用が自宅のパターン」と同じになります。
(4)場所を特定せず様々な場所で利用する
このパターンでは、前述の(3)と同様にモバイルルーターを使用することがおすすめです。モバイルルーターであれば、(2)の公衆無線LANに比べて、セキュリティもしっかりしており、速度も安定しているため、いつでも、どこでも安心してネット環境につなげるという大きなメリットがあります。
ただし、こちらの注意点も同様で、使用頻度・通信量の多い方は自宅に光回線を導入することがおすすめです。
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便利なパソコンを買っても、通信環境が整っていなければオンラインで快適な作業ができません。また、よく調べず適当な契約をしてしまうと、高額だったり満足な速度が得られなかったりする場合もあります。
利用シーンと頻度を考えて、自分に合った通信環境を整えましょう。
編集・イラスト:watasack
教えてくれたのは……