緑の蚊取り線香が、蚊を退治できる仕組みって? #もやもや解決ゼミ

編集部:ゆう
2020/08/28
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日常に潜む「お悩み・ギモン」=「もやもや」を学術的に解決するもやもや解決ゼミ

蚊が飛び回るこの季節に欠かせない「蚊取り線香」。縁側に置かれた蚊取り線香は夏の風物詩ですね。では、この蚊取り線香はなぜ蚊を退治することができるのでしょうか? 蚊取り線香から出る煙にその効果があるのでしょうか?

今回はそんな蚊取り線香の仕組みなどについて、『害虫防除技術研究所』の白井良和所長に伺いました。

蚊取り線香は除虫成分を含む木粉を固めたもの

蚊取り線香は、植物由来の木粉と染料、除虫効果のある成分を混ぜた材料を固めて作っています。明治時代には一般的な線香のように棒状のものもありましたが、燃える時間が短くなるよう改良が重ねられ、現在のような渦巻き型になりました。

色が緑色なのは染料で染めているからです。夏に使用されることが多いために「涼しい色に」ということで緑色になった、防虫用に使われていたヨモギの色を模したなどの理由があるそうです。

燃やすことで有効成分が揮発して蚊を退治

蚊取り線香には「ピレスロイド」という殺虫成分が含まれています。除虫菊(シロバナムシヨケギク)由来の神経毒で、昆虫の神経伝達を阻害する効果があります。人間など哺乳類には効果がないため、家庭用殺虫剤の多くに使われています。

蚊取り線香を燃やすことで含まれているピレスロイドが揮発し、近づいた蚊を退治したり、蚊を近づけないようにしたりできるのです。「煙を蚊に当てないと効果がないのでは?」と思っている人もいるかもしれませんが、有効成分は揮発することで蚊取り線香周辺に広がっているので、蚊に煙を直接当てなくても効果はあります

多くの殺虫剤に使われているピレスロイドは、製品を加熱しないと効果が発揮されませんでしたが、最近ではトランスフルトリンやメトフルトリンといった、「常温で揮発して拡散する殺虫成分」が新しく開発されました。これらは最近増えているワンプッシュ型の害虫殺虫剤などに使われています。

蚊に刺されやすい人とそうでない人との差は?

蚊は大きく分けて「温度」「二酸化炭素」「水分」の3つの要素を求めて寄ってきます。つまり、体温が高く、二酸化炭素を多く出している身体活動が活発な人や、皮膚表面に汗をかいている人は蚊に刺されやすいといえます。また、蚊は濃い色に向かう傾向もあり、例えば黒色など濃い色の服を着ている人には蚊が近づきやすいといえます。

よく「お年寄りよりも若い人が刺されやすい」という話が出ますよね。そこで、年齢による差があるのか実験してみたところ、有意な差は認められませんでした。年齢を重ねると若いころよりも刺されたことを感知しづらく、かゆみを感じなくなる人もいます。そのため、刺されたことに気づきやすい若い人のほうが「刺されやすい」という認識になっている可能性もあります。蚊にとっては、若くてもお年寄りでも血が吸えればいいわけですからね。

また「血液型で刺されやすさに差があるのか」については、1970年代に発表された論文があります。当時の研究はハマダラカという外国の蚊を使って実験をしており、O型>B型>AB型>A型の順に刺されやすいという結果でした。私は日本のヒトスジシマカを使って同様の実験を行ったのですが、結果はO型>B型>AB型>A型と、日本の蚊でも同様の結果となり、特にO型とA型との間で有意な差がありました。

ただ、皮膚上に分泌されている血液型物質の糖鎖(とうさ)を塗布して実験しても、蚊はO型の血に向かうわけではなかったため、血液型物質そのものに誘引性はないようです。刺されやすさに差が出るのは血液型物質が理由ではなく、例えばO型の人には体温の高い人や汗をかきやすい人が多いなど、蚊にとって好ましい対象が多いのではと考えられます。

とはいえ、必ずしもO型が刺されてA型が刺されないのではありません。O型だけれど刺されにくい人もいれば、刺されやすいA型の人もいます。あくまで一つの傾向として覚えておくといいでしょう

▼白井先生の研究の詳細はこちら
https://www.gaityu.jp/

蚊に刺されるのを防ぐには?

先ほど説明したように、蚊は黒など濃い色に向かいます。黒や赤、紺といった色は避け、白など薄い色の服を着ると蚊が寄ってきにくくなります。また、当たり前ですが「肌の露出を減らすこと」も大事。首の周りを覆って隠すのもいいですね。

他にも、蚊は皮脂や臭いにも反応するので、しっかりと服や体を洗って清潔にすることも有効です。どれも基本的なことですが、蚊に刺されるのを防ぐためにも、夏はより心がけておくととよいでしょう。

夏に欠かせない蚊取り線香の仕組みだけでなく、蚊に刺されやすい人の特徴も聞いてみました。蚊取り線香は火をつけると有効成分が揮発するので、煙を直接当てなくても蚊には効果があるようです。

また、血液型で刺されやすさに差があるものの、刺されないよう工夫することのほうが大事とのこと。「蚊に刺されやすい」という人は、薄い色の服を着たり、肌の露出を極力減らしたりと、蚊に刺されないための工夫をしてみましょう。

イラスト:小駒冬
文:高橋モータース@dcp


教えてくれた先生

白井良和

害虫防除技術研究所所長、有限会社モストップ取締役。
1968年京都府生まれ。京都大学大学院農学研究科農林生物学専攻修了、富山医科薬科大学大学院医学系研究科博士後期課程修了、医学博士。殺虫剤メーカーにてゴキブリベイト剤の開発に従事し、富山医科薬科大学にて蚊の誘引に関する研究を行う。東京都の害虫駆除会社にてゴキブリやネズミ駆除を行い、2003年、蚊駆除を専門とする有限会社モストップを創業。現在は、蚊を用いた蚊忌避試験(蚊よけの実験)を中心に、他の害虫忌避試験、誘引捕獲試験、殺虫試験、蚊についての書籍販売などを行っている。

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家族との時間がなにより一番大事!!お酒と音楽とオーディオが大好きな、もうすぐアラフィフおじさん(気分はお兄さん)です。

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