学割や冬のバーゲンはうれしいけど、企業にもメリットはあるの? #もやもや解決ゼミ
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クリスマス、お正月……と出費の激しい年末時期は、「学割」や冬のバーゲンを活用しておトクにショッピングをしたいですよね。
ところで、「学割」やバーゲンってはわたしたちにとってはうれしいけれど、企業側にとってはどんなメリットがあるのでしょうか?
首都大学東京 経済経営学部の脇田成教授に回答いただきました!
バーゲンセールを行うことで企業にどんなメリットがあるの?
一つは「在庫処分」ですね。在庫保有費用というのがあって、在庫をずっと抱えているとお金がかかるわけです。小さな景気循環は在庫によるもののことが多く、企業は商品が不良在庫となる前に、早め早めに処理していかないといけません。
株式市場でも「セリング・クライマックス※」というのがありますね。一斉に「売り」が行われないと価格は底を打ちません。値段を下げて販売し、在庫を一掃できれば企業にとって大きなメリットになります。
※株式用語で、取引に参加している人の多くが悲観的になり、大量の売り注文を市場に出すことで相場が急落する状況のこと。
バーゲン価格でも企業はもうかる?
バーゲンになると3・4割引、半額など、商品を大幅に値下げして販売しますが、企業はきちんと経営に不利にならないように計算しているはずです。割り引いても薄い利益が出る、また在庫保有費用をなくせるのであればこの金額でも構わない、といった判断の下に販売価格を設定しているでしょう。
また、特にアパレルなどの場合には、シーズンオンには値段を上げ、シーズンオフには値段を下げる、というシーズンオン・オフでの「価格の上下」が一つのパッケージになっている場合もあるでしょう。これは、時間を通じた「価格差別」といえます。
ヒマな人を安価で引きつけて
忙しい人には高値で売る
という区別で、これにより「ヒマな人」「忙しい人」の両方を引きつけることができる戦略です。この場合もやはり販売価格は、一つのパッケージの中で利益が出るよう考えて設定されているはずですね。
バーゲンセールは社会にどんな影響を与える?
社会的な影響は……あまりないと思いますが(笑)、多くのみなさんがバーゲンに出掛けてお金を使うのであれば、消費が増えて景気を好転させる一助になるかもしれません。
脇田先生によれば、 バーゲンは何より「在庫調整」の意味があり、企業にとっては大きなメリット とのこと。またバーゲンでの販売価格はきちんと計算されているはず、だそうです。バーゲンで狙っていたブランドの服を大量に購入する、なんて人もいるでしょう。あなたのその消費が、景気拡大に役立つかもしれません!
イラスト:小駒冬
文:高橋モータース@dcp
教えてくれた先生
脇田成 先生
首都大学東京 経済経営学部 教授
1961年京都府出身。1985年、東京大学経済学部経済学科卒業。1986年、東京大学経済学部経営学科卒業。1992年、東京大学社会科学研究所助手。1995年、東京都立大学経済学部助教授。2001年、東京都立大学経済学部教授。2002年、東京大学博士号(経済学)取得。2005年、首都大学東京都市教養学部教授を経て現職。
『日本経済論15講』(新世社,2019年)、『賃上げはなぜ必要か:日本経済の誤謬』(筑摩書房,2014年)、『マクロ経済学のナビゲーター 第3版』(日本評論社,2012年)など著書多数。
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