役者魂がすごすぎ……肉体改造がすごい俳優たちのエピソード

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役者魂がすごすぎ……肉体改造がすごい俳優たちのエピソード

俳優の仕事は、自分に与えられた「役」をできるだけリアルに演じることです。そのために、自分の体を「その役の体形」に変化させる役作りに取り組むことも。中には、同一人物とは思えないほどの変貌を遂げる人もいます。熱い役者魂で、このような肉体改造をやってのける俳優のエピソードをご紹介! これを知ってから映画を観ると、より楽しめるかもしれませんよ。

体形を次々に変える魔術師! クリスチャン・ベール

「役」に合わせて自分の肉体を自在に変化させられるといえば、まずはクリスチャン・ベールを挙げないといけません。来る4月5日公開の『バイス』では、ブッシュ大統領時代に副大統領だったディック・チェイニーを演じていますが、はげ頭で肥満体の姿は実際のチェイニー氏そっくりで、とてもクリスチャン・ベールとは思えないほど見事な「化けぶり」です。ベールはとにかく役作りに必死に取り組む俳優で、これまでに以下のような作品で自在に体形を変えてきました。

●『マシニスト』(2004年)
1年間寝ていないという設定の主人公を演じるため、4カ月間「1日にツナ缶1個、リンゴ1個」の食事を続ける。約30kg減量して54kgの体にした。

●『バットマン ビギンズ』(2005年)
『マシニスト』で削りに削った体を86-90kgまで戻す。32-36kg増。しかも、バットマン/ブルース・ウェイン役だったので筋肉もしっかり付けなければならなかった。

●『ザ・ファイター』(2010年)
麻薬依存症の元ボクサーを演じるために体重を13kg落とす。

●『アメリカン・ハッスル』(2013年)
髪の毛が薄い、デブの詐欺師を演じるため、下腹が出るまで約20kg体重を増やす。髪の毛も剃(そ)る。



●『エクソダス:神と王』(2014年)
主人公モーゼを演じるため、下腹を引っ込め体重を通常に戻す。『アメリカン・ハッスル』用の役作りをしていたベールを見た、本作のリドリー・スコット監督は「オーマイゴッド! 最近の姿を見ずに、君を起用してしまった。モーゼは長い髪の毛のはずなのに」と言ったそう(『シネマトゥディ』より)。

⇒引用元:『シネマトゥディ』「『エクソダス:神と王』リドリー・スコット監督&クリスチャン・ベイル 単独インタビュー



●『バイス』(2018年)
ディック・チェイニー副大統領を演じるために約20kg体重を増やす。この増やした体重をどうやって落としたかについて、ベール本人は「朝・昼・晩、卵とライスを取ることで」と答えている。

『マシニスト』で減量した際にはドクターストップがかかるほどだったそうで、クリスチャン・ベールの役作りに懸ける執念には脱帽するしかありませんね。

体形を変化させるカメレオン役者・鈴木亮平

どんな役がきても、その役が憑依(ひょうい)したかのように演じることができる俳優のことを、「カメレオン役者」なんていいますが、鈴木亮平さんもその一人。しかも、役に合わせて体形を自在に変えてみせる力も持っています。
もちろん、この力は役作りの努力からくるもの。鈴木亮平さんは以下のような作品で体形を変化させてきました。

●『HK 変態仮面』(2013年)
筋肉ムキムキの変態仮面の肉体を再現するため、体重を15kg増量させてから筋肉量を増やした。鈴木さん本人は「自分は筋肉が付きにくい体質」と話している。



●『TOKYO TRIBE』(2014年)
プロレスラーのようなマッシブな体形をつくるために10kg増量。鈴木さん本人の言葉によれば、筋肉のビルドアップよりも「増量のために食べることのほうがつらかった」そう。

●『天皇の料理番』(TBS系ドラマ・2015年)
闘病の末亡くなる秋山周太郎役だったので、8kg減らしてクランクインに臨み、さらに12kgの減量を行って演じた。

●『俺物語!!』(2015年)
純情で不器用な性格の高校生・剛田猛男を演じるため、約30kg体重を増やす。これは、原作漫画の剛田猛男がいかつい巨体であるため。この体重増によって原作ファンも納得する剛田が出来上がった、と評判に。



●『西郷(せご)どん』(NHK大河ドラマ・2018年)
明治維新の英雄・西郷隆盛を演じるために体重を増やし、かっぷくの良さを増量。クランクアップ後、「体重を元に戻すべくダイエット宣言」と報道される。

鈴木亮平さんのすごさは、与えられた役にぴったりの体を自身でつくり上げることでしょう。素晴らしい役者魂の発露といえますね。

【連載】『あの人の学生時代。』#20:鈴木亮平「好きなことにとことん、まっすぐ」

「体形をも変化させる役作り」で定評のある俳優は他にもいますが、その元祖といってもいいのがロバート・デ・ニーロです。

元祖カメレオン役者、ロバート・デ・ニーロが役作りに懸ける執念

その人間になり切ってしまう。そうすれば台本に書かれていないことでも表現できる、という「メソッド演技」。この技術を体現する俳優といえば、やはりロバート・デ・ニーロ。元祖カメレオン役者ともいえる人ですが、役作りに懸ける熱意は昔からすごいものがあります。

『タクシードライバー』(1976年)では、ニューヨークでタクシードライバーを営むトラビスを演じるため、体重を15kg減らして臨み、痩せっぽちで孤独なベトナム帰還兵を体現してみせました。

『ラスト・タイクーン』(1976年)でも、妻の死に打ちのめされた夫を演じるため19kgの減量を行っています。『レイジング・ブル』(1980年)では、ミドル級チャンピオンになるボクサーを演じましたが、絞りに絞った肉体から引退後の太った体まで、27kgも体重を増量しました。

体形を変化させるのもすごいのですが、デ・ニーロのすごみは、むしろ役の人間そのものになろうとする努力にあります。これは、現在では「デ・ニーロ・アプローチ」といわれますが、彼が作品のために行ったことをピックアップしてみましょう。

●『ディア・ハンター』(1978年)
ピッツバーグ近郊出身の若者たちの物語なので、デ・ニーロは撮影開始数カ月前からピッツバーグで暮らし始めた。ついでに鉄工所で働こうとしたが断られる。

ちなみに、この映画の主役の一人クリストファー・ウォーケンは、ベトナム戦争で疲れ果てた若者を体現するため、丸1週間バナナと水だけを取って役に臨んだ。

●『ミッドナイト・ラン』(1988年)
本当の賞金稼ぎに付いて、実際の張り込み、逮捕、捜査などを経験する。

●『レナードの朝』(1990年)
重症のパーキンソン病患者を演じるため、映画の舞台となる病院で数カ月間入院して生活した。



●『ロバート・デ・ニーロ エグザイル』(2012年)
ホームレスの役だったので、実際のホームレス施設で暮らす。

このような役への取り組み、いわゆるデ・ニーロ・アプローチは、現在では多くの俳優が自身の役作りに取り入れています。ロバート・デ・ニーロは世界的に認められた名優ですが、彼の素晴らしい演技は、体形をも変化させる執念の役作りからきているのです。

というわけで、過酷な役作りに励む「すごい役者魂」の俳優についてご紹介しました。俳優縛りでいくつかの映画を観てみると、役作りや演じ分けを楽しむこともできます。ぜひ、俳優の体型や身なりに注目してみてください。

(高橋モータース@dcp)

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