「こんなものがあったら楽しいなあ」、「これができたら、多くの人が喜ぶだろうなあ」という世界中の夢と想いをのせ、ものづくりにチャレンジし続ける本田技研工業株式会社。そんな日本屈指のモビリティメーカーで働く先輩社員の島田愛さんは、25歳という若さでイギリスに渡り、プロジェクトリーダーを務めています。Hondaの顔として国内外とやり取りを行う彼女の学生時代の経験や今の仕事内容に迫ります。

今のお仕事はどんな内容？

購買というとどこか堅い印象を持ってしまわれがちですが、この職種を簡単に説明すると、世界中の車の部品メーカーの中からいいものを適正な価格で提供してくれる取引先を選定する仕事です。そこでわたしは、車の顔となるエクステリア部品（エンブレムやガラスなど）を担当しています。時には、Hondaより大きなサプライヤーを相手に難しい交渉をすることもありました。その中で取引先であるドイツに渡ってキーパーソンと直接意見交換を行い、交渉が成立したときは、それまでのプロセスが間違ってなかったと知り、大きな自信につながりました。購買という仕事は、担当一人ひとりの交渉が会社の収益に直結する非常に大切な役割。わたしは研究所や取引先の方々と話し合いを重ね、最終的にHondaの車に関わるすべての人たちが満足する結果となるように努めています。

最近ではAI産業の発展による自動化が注目を浴びていますが、やはり仕事の根底にあるのは人と人とのコミュニケーションだと思います。わたしは各取引先の方々と接する機会も多く、人間、島田愛にしかできないアナログなコミュニケーションを駆使して、ひとつのモノを作り上げることにやりがいを感じていますね。

一番楽しかった＆つらかった仕事は

2012年10月から約3年間、イギリスで購買のプロジェクトリーダーとして「Civic Type R」を立ち上げたときです。Honda内外から注目されていたプロジェクトだったので、大きなプレッシャーがありました。さらにイギリス人との難しい交渉を入社4年目という若い自分が任され、現地の外国人スタッフからは「この子は、一体何しにきたんだ!?」といった雰囲気も感じました。そこでわたしは「自分にしかできないことは何か」「自分がイギリスで与えられる付加価値は何なのか」を一生懸命考えました。駐在員として日本のやり方を強要するのではなく、双方の考えのいいとこ取りをし、そこに自分の新たな発想を加えて具体的な提案をしたことで、周りの見る目が変わり、日英の同意を得ることができました。

何事も不平や不満を言うことは簡単ですが、物事を進行する上で必要となるのは、関わる人たちすべてが納得する正確な意見。経験を積めば積むほど、保守的になり経験したことに固執してしまいがちですが、日英チームを上手くつなげた実績が今のわたしの糧になっていると思います。

今の会社を選んだ理由は？

就活では新聞社や日系メーカーなど「影響力」という面にフォーカスを当て、企業選びをしました。その中でも学生時代に発展途上国で見た、Hondaによる雇用環境の支援が大きなポイントになりましたね。世界中の貧困層の方々に、事業を通じて生活を与えることができる企業であること、そして車やバイクだけでなく、ロボット作りなどの利益だけにとらわれない好奇心あふれる企業文化に心を掴まれました。正直、就活時は車の知識がなかったのですが、自分がやりたいことを面接官に伝えたとき、親身になって対応してくれたのも、この会社で働きたいと思った要因のひとつです。