面接で「得意科目・苦手科目」を聞かれたときの失敗しない答え方【例文9選】

面接で「得意科目・苦手科目」を聞かれたときの失敗しない答え方【例文9選】

2021/12/20

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面接

面接で得意科目や苦手科目を聞かれたら、どう答えればよいのでしょうか? 答え方でなにか注意すべき点はあるのでしょうか? ここでは、面接官の質問意図、失敗しない答え方のポイントと注意点を説明し、回答例も紹介します。

得意科目を質問する意図と回答の注意点

質問する意図

面接官が得意科目を質問する意図は、大きくは以下の二つです。

・得意=話しやすいことを話題にすることで緊張をほぐし、面接で力を発揮してほしい。
・得意なことには、その人の興味や重視することが表れる。よって、配属部門やOJTで組ませる先輩社員の選定がしやすくなる。

質問側の意図は上記のとおりですが、受験者側はあれこれ深読みせず、「せっかく話しやすいことを質問してくれたのだから、伸び伸びと回答する」を心がけてください。

回答の注意点

回答の方向性は大きくは二つあります。

・相性がよく自然と得意になっていた。
目標達成や自分の成長につながるから、努力して得意なレベルにした

回答として選びたいのは後者です。もしも、得意科目が数学で、「小学生の頃から、なぜか九九や公式を覚えるのが苦にならず、自然と得意中の得意になっていました」が事実だったとしても、改めてその科目を学ぶ価値を考え、「このような価値を見いだしたので得意とするために努力した(力を注いだ)」という主旨で回答しましょう。「自然に」は、回答内容に膨らみがないため避けてください。

回答例1「得意科目の基本回答」
 得意科目は数学です。感想や意見といった漠然としたものと違って、数字は私に明確な判断材料を与えてくれて役立つものだと考え力を注ぎました。就活の企業研究でも、各企業の売上高や営業利益率は必ず計算して比較しています。

苦手科目を質問する意図と回答の注意点

質問の意図

「苦手科目があると正直に回答したらマイナスかな?」と心配する必要はありません。むしろ、「苦手科目はありません」と答えてしまうほうが嘘っぽく、突っ込まれて窮することにもなりかねません。

面接官は、「苦手に対し、どのように取り組む姿勢をもっているか」を知りたいのです。よって、「苦手科目は?」だけで質問は終わらず、「その苦手科目に、どのように取り組みましたか?」との質問が続くと想定して回答を練りましょう。

回答の注意点

まずは、苦手科目を質問された時に切り返す上級レベルの回答を紹介します。

回答例2「苦手に力を注ぐよりも得意を磨くことを選んだ、という主旨の回答」
 苦手科目は数学です。私は、苦手は最低限の取り組みで済ませ、得意に力を注ぐ余力をつくったほうがよいと考え、英語に力を注ぎました。成績も語学は全てA、TOEICは930です。

この回答の肝は、「物事に取り組む上での自分なりの明確な方針をもっていること。そして、その結果として素晴らしい成果をあげていること」です。ゼネラリストではなく、専門に特化し高度なスキルを獲得できる人材を求める企業を受験する場合の参考にしてください。

ただし、このような切り返しの回答ができる人は多数派ではないでしょう。基本回答は、「苦手を苦手なままにしてはいけないと気づき、努力した」となります。

回答3「苦手科目の基本的な回答」
 実は高校まで、数学が大の苦手でした。今も、どちらかと言えば苦手です。ただ、大学の授業で『事象の実態を明らかにする統計の面白さ』に触れたのをきっかけに、数学を苦手なままにしていてはいけないと思うようになりました。就活対策では、非言語も手を抜かず勉強しました。

※ここまでのまとめ「回答ポイント」

「得意科目の回答ポイント」


・自然と得意になった、とは回答しない。力を注いで得意にしたことを強調する。
・得意科目の価値(面白さや役立つこと等)を自分の言葉で説明する。
・役立てているエピソードや役立てたいビジョンを語る。

「苦手科目の回答ポイント」


・苦手科目の中で、苦手なままにしてはいけないと思えたものを選んで回答する。
・苦手なままにしてはいけないと認識したきっかけを紹介する。
・苦手科目に力を注いだ実績を紹介し、苦手なことにも取り組めることを実証する。

回答例と解説

「ここまでのまとめ」の回答ポイントにそって組み立てた回答例を解説付きで紹介します。

得意科目編

回答4「英語」
 得意科目は英語です。大学受験の時から留学を視野に入れてましたので(※1)、TOEFLを中心に力を注ぎました。留学中の(※2)ベストフレンドは、3年間、寝る間を惜しんで働き学費を稼いだ後、進学したという学生です。彼のハングリー精神は大きな刺激となりました。世界の多くの国・地域で使える英語は、世界を広げ、貴重な出会いを産んでくれました。本当に英語に力を入れてよかったと思っています。(※3)仕事では、国際部門で海外に進出する法人のサポートをしたいと考えています。(※4)

(※1)得意科目を生かして達成したい目標をもっている点が評価できる
(※2)この一言で目標達成をアピール。「目標設定+達成」は、自己PRの華。よって、(※1)と(※2)はセット。
(※3)英語(机上の勉強)から留学(体験)へとアピールを膨らませている。面接官の関心を、「留学中のこと」に誘導することが狙いでもある回答。
(※4)「得意を仕事で生かしたい」基本的な締めくくり。

回答例5「統計学」
 得意と言えるほどの成績ではないのですが、一番好きな科目は統計学です。(※1)統計の面白さは、事象を数量で把握できることです。例えばニュース等で、我が国の人口減少について長々と解説されることがありますが、総務省統計局が発表している総人口の推移を示すグラフを見せれば、誰もが深刻さを1秒で理解することができます。(※2)統計に出合ってから、誰かの考えが混じった解説から学ぶのではなく、自分で実態を知り、自分で判断できるようになりたいと考えるようになりました。これは、大学で私が成長できたことの一つです。(※3)仕事では、消費者物価指数等の調査結果を参考にしながら企業の業績等を推測しレポート化する調査部門で働きたいと考えています。(※4)

(※1)「得意」を「好き」に置き換えてもよい。際立った成績ではないが、一番興味をもって取り組んだ科目を回答したい時の参考に。
(※2)(※1)とセットになる回答。「なぜ好きか」を事例付きで回答できている。授業で取り上げられた事例や、「この学問には、こういう意味がある」と説明してくれた先生の話を振り返ってみよう。
(※3)得意科目を学ぶことを通して「視野が広がった、認識が深まった」等の成長アピールを参考に。誰しも、少なくとも「視野の広がり」はあるはずだ。
(※4)「得意を生かせる仕事を目指している」基本的な締めくくり。
(※全体)「総務省統計局」「消費者物価指数」といった専門用語を回答に使うことで、しっかりと取り組んだというアピール力を高めている。参考にしたい。

回答例6「日本史」
 得意なのは日本史です。実は、受験が終わるまでは、歴史とは名前や年代を暗記するものでしかありませんでした。もちろん、戦国時代の武将にワクワクするくらいの興味はありましたが、点の興味でしかなく、面に広がることはありませんでした。(※1)このような私が歴史にはまったきっかけは、歴史や文化を体験型で楽しみたいと考える訪日観光客が増えているというニュースです。「なぜ、彼らを惹きつけるのだろう?」。この疑問を解消しようと学び始めました。(※2)学ぶほどに、2000年という壮大な時をかけて磨かれ、受け継がれてきたものの豊富さに圧倒されています。(※3)
 私たち子孫は、先祖に報酬を払うこともなく、これらを重要な観光資源として活用させていただいています。感謝の念をもたねばならないという想いが、学べば学ぶほど強まっています。(※4)
 それだけに、貴重な建造物が落書きで傷つけられる、消失するという事態は残念でなりません。観光行政に携わり、歴史を掘り下げ、より豊かなコンテンツにして次代に引き継ぐことを仕事にしたいと考えています。(※5)

(※1)あえて興味がないときの自分を紹介している。これは、「はまる」ほどの興味をもったことを強調する狙いがある。
(※2)(※1)があることで、力を入れるきっかけを回答しやすくなっている。(※1)と(※2)はセット。
(※3)心情の表現を通して、単なる知識の詰め込みでないことを強調している。
(※4)ここでも、感謝・想い=心情に触れている。(※3)と(※4)は、(※5)の志望の強さを強調する狙いがある。
(※5)まず、めざす仕事に関連するニュースに触れて問題意識を示す。そして、その問題に仕事を通して、どのように取り組むつもりかをアピール。つまり、仕事ビジョンをアピールしている
(※全体)志望動機の一つ、仕事ビジョンをアピールする狙いを前提にして、この回答を振り返ってみると、(※2)~(※4)で回答を組み立てた理由が理解できる。歴史は自分の心を揺さぶるほどの大切なもの。ゆえに、歴史と関わる仕事に人生をかけて打ち込みたいというアピールと捉えてみよう。

「苦手科目編」

回答例7「英語」
 高校の時から苦手科目は英語です。文法の基礎に抜けがあるため、どうしてもテストの点数が伸びないのです。(※1)ただし、英語をこのまま苦手にしてはいけないと考えています。(※2)きっかけは、留学生の友人ができたことです。彼は、日本語を上手に話せることに加えて英語も堪能で、そのことに驚くと、「私たちの国の大学生は英語ができるのは当たり前だよ」という答えが返ってきました。最初は信じられませんでしたが、観察してみると他の留学生も英語が上手なのです。その時、「もう、英語から目を背けていてはいけない、少しでも上達しよう」と決心しました。(※3)
 まずは、大学から課されているTOEICに真剣に取り組みました。SNSでも米・英国のニュース配信社をフォローし、通学時等に自然と英語が目に入るようにしました。まだまだ翻訳機能を使う必要があるレベルですが、見出しレベルでしたら、一読でおおよその内容が掴めるニュースも増えています。(※4)

(※1)苦手の原因を分析していることを通して、苦手のままで放置していない第一印象を与えている
(※2)お約束の「このままではいけない」。この一言を述べるためにも、苦手科目の中で、取り組む価値や必要性を感じているものを選んで回答したい。何も、一番の苦手を答える必要はない。
(※3)「このまま苦手にしていてはいけない」と思うようになったきっかけエピソード。苦手なことに強く問題意識を持った時のことに触れたい。(※2)と(※3)はセット。
(※4)(※2)の気持ちを持つだけで終わらず、行動していることをアピールしている。行動内容を具体的に紹介している点を参考に。

回答例8「倫理」
 1年次の一般教養の必修科目「倫理」は苦手というよりも、全くやる気が湧きませんでした。「理系の私がなぜ倫理?」という反発もありましたので、全く頭に入ってきませんでした。(※1)当然の結果ですが、試験対策は詰め込みになります。他の科目の勉強もありますので詰め込み切れるはずもなく、絶望的な状況で臨み、結果、Cをとれたことに、本気で神様に感謝しました。(※2)
 この経験において、今は大きな反省をしています。反省のきっかけは就活です。有名な大企業の不祥事が何件も発生していること、それも、製造部門が関連していて、顧客や社会に多大な損害を与えていることを知りました。(※3)
 ミスではなく、組織ぐるみで長年にもわたって隠ぺいしていたことなどを知り、初めて「倫理」を教養として養う重要性に思いが至りました。個人とは弱く流されやすいものであることは、自分の経験を通しても理解できます。私にこそ、必要な授業であったと今は理解しています。(※4)
 この認識のもと、レポートは人のものを写さない、引用する場合は、引用元を明らかにする。実験には真摯に取り組み、いつでも事実に基づいて正確に説明できるようにプロセス及び結果を記録することを心掛けています。(※5)

(※1)当時の正直な気持ち=視野の狭い自分をあえて紹介している。(※4)=「変わった自分アピール」の布石とする狙いがある。
(※2)「本気で神様に感謝しました」は、面接官を「くすっ」とさせ、場の雰囲気を和らげることが狙い。高等テクニック。昔、学生だった面接官も同じような経験をしているだろうと想像した上で、この回答を練っている。
(※3)(※1)では「無意味と感じた」ことを強調している。よって、反省した自分に触れるのが必然。単に「反省しました」という一言で終わらず、「反省のきっかけ」を回答している点を参考に。
(※4)1年生の時とは違って認識を改め「変われた自分」をアピール。過去のマイナスは現在のアピール力を高める材料として利用できる。(さまざまな質問の面接準備の一環として、過去の失敗や挫折を振り返っておこう)
(※5)現在の行動を通して、しっかりと倫理観を養っていることをアピールしている。成績よりも、身についていることが重要と面接官は考える。

回答例9「情報処理」
 情報処理の成績はあまりよくないため、苦手の部類に入ると思います。成績がよくない理由は、ファイルシステムやアルゴリズムなどの専門用語の意味が、どうしても頭に入らず、おそらく情報処理の資格は受からないタイプだと自覚しています。(※1)
 一方で、表計算ソフトなどの実習には楽しく取り組むことができました。特にルーティン作業の自動化マクロを自分のPCの表計算ソフトで動かしたときは衝撃的で、それ以来、独学で勉強を続けています。(※2)
 就活でも、売上や利益等の各企業の業績を入力し、IFやAVERAGE、RANK式を駆使しながら企業研究を行っています。ワープロやプレゼンテーションソフトも含めて、事務系ソフトを仕事で活用できる自信があります。(※3)

(※1)苦手科目を通して、自分の弱点(自己分析結果)に触れている回答方法。この回答の後に、アピールで切り返すプランを持っていれば、自分の弱点をさらすことを心配する必要はない。
(※2)苦手科目の中で、分野Aは苦手だが、分野Bは得意だったということもあるはず。その場合の回答方法として参考にしてほしい。また、その得意分野を授業終了後も独学で伸ばしているというアピールがポイント。
(※3)スキル力を類推してもらうために、具体的な関数名をあげている点がポイント。成績は芳しくなかったが、実践力があること=仕事力があることをアピールしている。成績ではなく、実践力をアピールしたい人は、参考にしてほしい。
(※追記)前期のみの二単位科目のため、苦手なまま、あっという間に授業が終わってしまった。しかし、大切さは理解できたので夏休みに関連する資格に挑戦したという人もいるはず。この場合は、以下のように回答できる。

情報処理は成績的には苦手科目となってしまいました。成績がよくなかった理由は、ファイルシステムやアルゴリズムなどの専門用語の意味が、どうしても頭に入らなかったからです。授業は苦手なままで終わってしまったのですが、放置すると就職にも差し支えると考え、1年の夏休みは基本情報技術者試験に取り組みました。今ならば、もう少しよい成績がとれると思います。


監修・文/岡 茂信 (おか・しげのぶ)
現在東証1部の情報システム開発企業での採用選考経験を元にジョブ・アナリストとして独立。大学及び就職イベントでの講演、有名企業に対し採用アドバイスを実施。著書に『就職活動がまるごと分かる本』『エントリーシート完全突破塾』『自己分析 適職へ導く書き込み式ワークシート』『仕事のホントを知る!見る!考える!インターンシップ』がある。

また、「岡茂信の就活の根っこ」( http://ameblo.jp/okashigenobu/)で就活の土台となる旬な情報を発信している。

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