なぜ種子島でロケットを打ち上げるようになった? #もやもや解決ゼミ
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今回は、「なぜ種子島でロケットを打ち上げるようになったのか」がテーマです。
日本国内で大型のロケット打ち上げを行う場合、『種子島宇宙センター』で行われますが、なぜ種子島に発射場を作ったのでしょうか? 『JAXA』による「種子島に種子島宇宙センターを建設した理由」をご紹介します。

複雑な条件に合致したのが種子島だった
『JAXA』によると、1960年代に国内の大型ロケット・人工衛星の打上げ射場を選定する際に、当時の担当者たちは以下の条件を考慮したといいます。
1.静止衛星を打上げる際には、地球の自転(西から東)のエネルギーを利用するため、また極軌道衛星を打上げるため、東・南向けの発射に対して陸上、海上、航空の安全に支障がないこと
2.日本領内で、できるだけ赤道に近いこと
3.沿岸漁業者との干渉ができるだけ少ないこと
4.必要な用地面積が早期に入手でき、かつ土地造成が容易なこと
5.通信、電力、水源が確保できること
6.できるだけ交通が便利で、人員、資材、機材の輸送がしやすいこと
7.人口の密集した地帯からなるべく遠いこと
こうした条件に最も適合したのが、種子島の現在宇宙センターがある位置だった――というわけです。
なぜ赤道に近い位置で打ち上げるのか
ここで不思議なのが、「できるだけ赤道に近いこと」という条件です。日本地図を見ると、種子島よりも赤道寄りには、沖縄があります。沖縄も上記の条件に適合した地域がありそうですが、当時はまだ沖縄が日本に返還されていなかったため、候補には入りませんでした。
また、「なぜ赤道に近い場所で打ち上げるのか」という点ですが、これは「エネルギー的に最も有利になる」というのがその理由です。
『JAXA』によると、例えば緯度30度の場所から東に向かってロケットを打ち上げて、高度約3万6,000kmの円軌道に乗せた場合、赤道上空の静止軌道に対し30度の傾き(軌道傾斜角)が生じるとのこと。そのため、静止軌道上にロケットを乗せるには、30度の傾きを修正しないといけません。しかし、赤道に近ければ近いほど、この修正角度は小さくなり、修正に必要なエネルギーも少なくて済みます。
また、先述の設置条件の「1」で「地球の自転(西から東)のエネルギーを利用する」とありますが、赤道に近いほど自転エネルギーの値は高くなります。そのため、ロケットを東向きに打ち上げる場合は、赤道に近い位置で打ち上げた方が有利になるのです。

◇けつろん!
「種子島でロケットを打ち上げるようになった理由」は、赤道にできるだけ近く、周囲の迷惑にもならず、建設がしやすい場所などの条件に適合したから(建設当時)ということでした。『種子島宇宙センター』は施設見学が可能です。事前予約制のバスツアーでは車窓から「大型ロケット発射場」も見られるので、興味のある人は申し込んでみてはいかがでしょうか。
文:大西トタン@dcp
編集:学生の窓口編集部
記事協力:『国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構』
https://www.jaxa.jp/
◇引用元
『ファン!ファン!JAXA!』「なぜ種子島や内之浦で打ち上げるのですか?」https://fanfun.jaxa.jp/faq/detail/303.html
『種子島宇宙センターの概要』
https://www.jaxa.jp/countdown/h2bf1/pdf/presskit_tnsc_j.pdf



























