「とりあえず」を書き言葉でも通用する言葉に改めるとどうなる?社会人として身につけたい、知性を感じさせる語彙力
社会人になるとメールやチャットツールなど文字でのやり取りが増え、これまでの語彙力だけではちょっと不安な場面がでてくるかもしれません。そこで、語彙力を高めたい方におすすめの書籍『大人の言葉えらびが使える順でかんたんに身につく本』から、若者言葉や流行り言葉の言い換え方をご紹介します。
※本記事では吉田裕子著『大人の言葉えらびが使える順でかんたんに身につく本』(かんき出版)より一部抜粋し、再編集したものです。
「とりあえず」は「さしあたり」「仮に」「暫定的に」に言い換えられる
「取り敢えず」と書き、「用意すべきものも取ることができないほど、すぐに、ただちに」という意味でした。迅速に、他のことより最優先に、という意味だったのです。それが徐々に「十分に準備せず、まずは試しにやってみる」という軽いニュアンスに変わりました。
「さしあたり」
今そのことに直面している様子を表す言葉。「さしあたり○○する」といえば、「目の前に課題があるので、それに対し、当面の間は○○のように対処する」という状況です。
「仮に」
一時的な間に合わせとして、という意味で、現代の「とりあえず」とほとんど同じ意味の言葉です。ただ、音の響きなどから、あらたまった印象を与えます。「とりあえず」の持つ、いい加減で不誠実な感じはありません。
「暫定的に」
最終決定ではなく、とりあえず正式な決定までのつなぎとして定めることです。暫定政権など。なお、その策があまりに苦しいときは「弥縫策(びぼうさく)」とも呼びます。
「とりあえず対処する」などと言う場合、対義語としては「抜本的に」「根本的に」「本質的に」などが考えられます。
■著者より、おわりに
国語を学ぶことで感受性と対話力を磨いたら、人生はもっと楽しいと思う──。私が、ウェブサイトなどに掲げているモットーです。ぜひ豊かな語彙を道具や武器にして、より生き生きと毎日を楽しんでいただけたらと思います。
定価:1,540円(税込)
頁数:224頁
ISBN: 978-4-7612-7316-3
発行日:2018年1月22日
■著者情報
吉田裕子
国語講師。三重県出身。公立高校から、塾や予備校を利用せずに東京大学文科三類に現役合格。教養学部超域文化科学科を首席で卒業後、学習塾や私立高校などで講師の経験を積み、現在は大学受験塾の教壇に立つ。また、カルチャースクールや公民館で古典入門、文章の書き方講座などを担当し、6歳から90歳まで幅広い世代から支持される。たとえ話や笑いを交えた、わかりやすく納得できる教え方が好評で、栄光ゼミナールの授業コンテストで全国優勝した経験を持つ。