研究テーマが思いつかない!【理系学生向け】テーマの探し方(実例一覧あり)

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研究テーマが思いつかない!理系学生向けテーマの探し方

大学の研究室で「研究テーマを考えるように」と言われたのになかなか思いつかないーー。研究テーマを決めるのは難しいものですよね。興味のある分野はあるものの、どんなテーマが適当なのかよく分からない、という方は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、理系大学生向けに研究テーマの探し方をご紹介。ステップを踏みながらお伝えしていきますので、特に研究ビギナーの方におすすめの記事となっております。テーマ探しに役立つサービスや、研究テーマ実例一覧もご紹介しますので、ぜひ参考にして下さい。

研究テーマを探す際の3つのポイント

最初に、研究テーマを探す際に押さえておきたい3つのポイントについてお伝えしておきます。

オリジナリティはあるか

1つ目のポイントは「オリジナリティはあるか」です。今までの研究者たちにより既に明らかになっている部分ではなく、まだ解明していない部分をテーマにすべきです。ただし、オリジナリティといっても1から完全オリジナルのテーマを打ち立てる必要はありません。

<例>コーヒー豆の成分についての研究

・コーヒー豆の成分と、健康上の有用性は先行研究で明らかになっている。
・しかしコーヒーを過剰摂取した場合の研究は不十分。
  ↓ ↓ ↓
そこで、コーヒーを過剰摂取した場合の安全性について検証することにした。

このように、 オリジナリティといっても先行研究をベースにして考えればOK。 研究テーマにオリジナリティを持たせることで、それは「価値のある研究」になってくるのです。

研究トレンドを意識する

2つ目のポイントは「研究トレンドを意識する」です。今、どんな研究が活発に行われているのかを意識するということですね。例えば自動車でいえば「エコカー」や「EV(電気自動車)」といった具合です。

研究トレンドは「世の中で今求められている技術」であることが多いため、研究で成果を出すことによって、世の中により大きく貢献できる可能性を秘めているのです。

ただし、トレンドばかりを追うことには賛否両論あり、トレンドとは少し離れたところで粛々と続けられる研究があることも事実です。そうした研究がダメということは決してありません。ですが「この研究がどのように社会に役立つか」という視点で考えるのは大切なことです。

科学的に検証できるか

そして3つ目のポイントは「科学的に検証できるか」です。 論文は「実験」や「調査」など、科学的手法とデータをもとに結果を導き出さなければなりません。

特に理系の場合は実験をともなう研究が多くなりますが、自分の研究室や学科では、その実験は無理、ということもあるかもしれません。実際に実験を行い、検証することができるかといった現実的な側面も考えていく必要があります。

研究テーマを決める具体的手順5ステップ

研究テーマを決める具体的手順について、5つのステップで解説していきます。

・STEP1 研究室の方向性や強みを知る
・STEP2 先行文献をあたる
・STEP3 実際に作業をしながら検討する
・STEP4 教員からアドバイスをもらう
・STEP5 仮説を立てる

STEP1 研究室の方向性や強みを知る

理系では多くの場合、研究に「実験」をともなうのが文系との大きな違いです(実験ではなく調査の場合もあります)。そのため所属している研究室の方向性や強みを知ることが第一です。

例えば「この領域での深い知見がある」「こんな設備や実験装置を持っている」「特殊な材料がある」などですね。こうした研究室ならではの強みを押さえておかないと、「興味はあるけどうちの研究室では無理」というパターンに陥ってしまいます。

あなたが行う研究はもちろんあなた自身の研究ではありますが、同時に研究室で行う研究でもあります。ですから研究室の強みを押さえ、それを活かせる領域に踏み込んでいくのがベター。その方がスムーズに教員からのサポートも受けることができるでしょう。

STEP2 先行文献をあたる

これまで学んできた内容や研究室の方向性をベースとして、少しでも興味を持てそうな部分について文献をあたっていきます。専門分野での最新動向も意識してみるといいでしょう。

=文献の探し方のコツ=

●大学の図書館の検索システムを利用する
⇒学内・学外問わず検索ができ、文献の取り寄せまで申し込みできる

●なるべく新しい文献を探す
⇒どこまで研究が進んでいるかが分かりやすい

●手持ちの文献の「参考文献」欄を見る
⇒同じテーマに沿った文献をまとめて確認できる

●データベースサービスを活用する
⇒興味のあるキーワードや著者・所属などで一発検索できる

後ほど文献探しに便利なサービスをご紹介しますので、ぜひ活用してみて下さい。

ただし、基本となるのはやはり、大学図書館のフル活用です。大学図書館なら有償契約を含めて検索システム環境が整っていますし、必要に応じて文献の取り寄せまでできるためです。

それから研究室の先輩方の卒論も、非常に身近で参考になるはずです。

先行文献の中で既に結論が出ている内容は、今回の研究テーマとすることはできませんが、

「この研究のこの部分は、まだ確実性があやしい」
「ここまでの研究は済んでいるが、そこから一歩進んだこの部分は未開拓だ」

といった具合に、テーマを探っていくことができます。

STEP3 実際に作業をしながら検討する

たくさんの文献を見ているだけだと、煮詰まってしまうこともあるでしょう。思いついてはしぼむ、また別のアイデアを思いついてはしぼむのループにはまっている可能性も。そんな時は実際に手を動かして、ノートやExcelなどに候補となるテーマを書き出していくのがおすすめ。

あるいは、気になる先行研究についての再現実験など、実際に作業をしてみるといいです。実験をしてみると、実は詰めの甘いところがあったりと、テーマの糸口が見つかることがあります。

実際に実験をするのが難しいなら、実験シミュレーションを行うのも1つの方法。候補としたテーマについて「どんな実験が必要か?」「どんな結果が得られそうか?」「時間はどのくらいかかる?」などをシミュレーションし、同じく書き出してみましょう。

STEP4 教員からアドバイスをもらう

要所要所で教員からアドバイスをもらうのも大切なことです。STEP4に限らず、困った時には随時相談をするようにしましょう。もちろん教員も忙しい中で対応していただくわけですから、マナーを守って丁寧に相談を持ちかけるようにしましょう。教員だけでなく、大学院の先輩方も良きサポーターとなってくれるでしょう

相談にあたっては、漠然と「思いつかないんです」でもアドバイスしてもらえるかもしれませんが、できれば自分なりの候補を提示できる方がベター。STEP3までのプロセスで、何かしらテーマを決めるヒントとなる材料が集まってきているはずです。

教員の立場からしても、全くゼロの状態よりもあなたがどのように悩んでいるか「見える化」できていた方が、「それならこうしてみては?」とアドバイスしやすいのではないでしょうか。

STEP5 仮説を立てる

テーマの候補があがってきたら、テーマを仮決めして仮説を立ててみます。

1.どんな先行研究があり、現状どんな課題があるか
2.どのような実験をして、どんな実験結果が予想されるか
3.どんな結論に達する(はず)か

このようにストーリーを作り、現実的に結論まで持っていけそうか見込みを立てます。どこかに無理がありそうならボツにしたり、良さそうなものは指導教員に相談したりしましょう。実験結果が出るまで時間がかかりすぎないかどうかも考慮しておくといいです。

これで良さそうなら研究テーマ決定です!

ちなみに、もしもこの後の研究で仮説と違ってきた場合には、軌道修正を行います。また別の実験を付加したり、実験を変更するなどしてストーリーを修正していくことになります。

研究テーマ探しに役立つサービス4選

上記STEP2の「先行文献をあたる」際に役立つサービスを4選ご紹介します。これらは学術文献を集めたデータベースや検索サービスで、どれも無料で自宅からでも利用できます。キーワードのかけ合わせや著者・所属などで検索し、効率よく文献を探すことができますよ。

CiNii(サイニィ)

(引用:CiNii公式)

国立情報学研究所(NII)が運営する学術情報データベースサービス。CiNii Researchでは文献だけでなく、機関リポジトリなどの研究データまで気軽に情報収集することができます。

CiNii Research

▼こちらもチェック!
・学術機関リポジトリとは?しくみと卒論に役立つ使い方
【CiNiiの使い方】卒論・修論の先行研究の拾い方まとめ

JーSTAGE

(引用:J-STAGE公式)

「科学技術情報発信・流通総合システム」のことで、科学技術振興機構(JST)が運営する電子ジャーナルプラットフォームです。日本から発信される科学技術情報が多数収録されており、9割以上は無料で閲覧できるためおすすめです。

JーSTAGE

PubMed(パブメド)

(引用:PubMed公式)

主に医学・生物学分野に特化した文献検索サイト。米国国立医学図書館(NLM)内の、国立生物工学情報センター(NCBI)が運営しており英語表記となります。日本の大学でも専用の入口を設けているところがありますので、確認してみましょう。大学専用の入口から入ると、文献本文にアクセスしやすいなどのメリットがあります。

Google Scholar(グーグル・スカラー)

(引用:Google Scholar公式)

Googleが運営する、学術分野に特化した検索サービス。JーSTAGEや各大学などのデータベースを横断してまとめて検索してくれるので便利です。

Google Scholar

大学での理系研究テーマの実例一覧

研究テーマの実例としては、明治大学公式HPに「卒業論文テーマ例」として分かりやすく紹介されています。ここでも何点かピックアップしてみましょう。

Pick Up!
明治大学理工学部の卒論テーマ

●機械情報工学科

・複数ビークルに対するフォーメーション制御系の設計
・3Dプリンタによるロボットハンドの開発
・固体冷媒高効率ヒートポンプの特性評価 など

●建築学科

・セルロースエーテルを用いたコンクリートの諸性質に関する基礎的研究
・集合住宅の換気性能と遮音性能に関する研究
・【卒業設計】29h-歌舞伎町
〜インバウンドの傘に宿るナイトワーカーの地平〜 など

●応用化学科

・抗菌性タンパク質の作用機序の解明とその医療応用
・希少な天然有機化合物の効率的合成法の開発
・高度医療に貢献するバイオマテリアルの開発 など

まとめ

今回は、理系大学生向けに研究テーマの探し方をご紹介してきました。まず押さえておきたいポイントは、

・オリジナリティ
・研究トレンド
・科学的に検証できるか

この3点です。
さらに研究テーマを決める具体的手順を5つのステップでご紹介しました。

・STEP1 研究室の方向性や強みを知る
・STEP2 先行文献をあたる
・STEP3 実際に作業をしながら検討する
・STEP4 教員からアドバイスをもらう
・STEP5 仮説を立てる

また、研究テーマ探しに役立つサービスではCiNiiやJーSTAGEなどがおすすめ。大学の図書館もフル活用していきましょう。テーマがなかなか決まらなくても、焦らなくて大丈夫。色々な文献を探したり読んだり、実際に手を動かしたりしていくうちに、きっと糸口が見つかるようになりますよ。

文:学生の窓口編集部

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