失敗を汚点にしない!現役大学院生起業家ABABA代表 久保駿貴さんの「学生起業において大切なこと」

編集部:ゆう

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「いつか起業してみたい」「学生起業に興味がある」

 サービスを立ち上げたいと思っているものの、一体何から始めたらいいのか分からず、一歩踏み出せない学生も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、最終面接で採用できなかった学生を、企業間で推薦し合いスカウトができるサービス「ABABA」を立ち上げた、久保駿貴さんにインタビュー。大学四年生のときに株式会社ABABAを創業した久保さんに、起業のファーストステップや、学生起業で大切なことについて伺いました。

【Q&A編】現役大学院生起業家ABABA代表 久保駿貴さんが答える!「学生企業」にまつわる質問はこちら

登壇者プロフィール

PROFILE

久保駿貴(くぼしゅんき)

株式会社ABABA 代表取締役社長

1997年生まれ。兵庫県出身。岡山大学4年次に「最終面接で採用できなかった学生を企業間で推薦し、採用できるプラットフォーム」を提供する株式会社ABABAを創業。落ちたら終わりではなく、これまでの過程が評価される社会を目指す。同サービスは経済産業大臣賞、SDGs日本賞、経済界審査員特別賞などを受賞し数々のメディアへも出演。全サービスをノーコードで開発したスタートアップとしても注目される。

株式会社ABABA

ABABAができるまで。2つのサービスを立ち上げていた学生時代

――「ABABA」のサービス、着想を得たきっかけについて教えてください。

最終面接で不採用となった学生に対して、再挑戦の場を提供しているサービスです。企業から届くお祈りメールでABABAへの登録を促してもらい、推薦された学生を他の企業がスカウトできる仕組みとなっています。

ABABAを立ち上げようと思ったのは、友人の就活体験がきっかけです。友人はある大手企業への就職を目指していたのですが、残念ながら最終面接で不採用となってしまいました。心から行きたいと思っていた企業だったはずなのに、不採用後から企業に対してネガティブな発言をするようになりました。

友人の頑張りを評価してくれる企業はあるはずだと思ったことと、不採用になったとしても企業に対してポジティブなイメージになれる関わり方があるのではないかと思い、サービスを思いつきました。

――学生時代はどのようなことに力を入れていましたか?

0→1を作るのが面白いと思っていたため、“何かを作ること”を頑張っていました。

僕はABABAの前にサービスを2つ立ち上げています。しかし大学に入学したときから、「将来は起業しよう」と思っていたわけではありません。きっかけは、最初に入学した関西大学でさまざまな価値観を持つ人と出会ったことが影響しています。

当時はESSという英会話部に所属していて、まわりは「今から東南アジアへ行ってくる」といったような、フットワークが軽い人たちばかり。次第に僕もさまざまな場所へ行ったり、挑戦をしたりするようになりました。そんなときに、一つ目のサービスを思いつきました。

※東南アジア旅行時の写真(ラオス)

日本では2018年に通訳案内士法の改正が行われ 、ガイドに関する規制が緩和されたんです。以前までは通訳案内士試験に合格しないとガイドができませんでした。しかし、規制が緩和されたことにより、さまざまなサービスが立ち上がりました。

僕も海外旅行の経験やESSでの活動を通して、「日本で英語を使いたい人は大勢いるのではないか」と感じ、ガイドにまつわるサービスを立ち上げたいと思うように。そうしたきっかけで2019年に立ち上げたのが「GUIBO」というサービスです。英語を話したい人と旅行者を繋げるプラットフォームで、ツアーの満足度に応じてチップが後払いできる仕組みです。

着想から1年ほどでリリースしましたが、コロナ禍の影響により、途中で中断をやむを得なくなりました。上手くはいかなかったものの、自分が「ほしい」と思ったものをゼロから生み出す作業はとても楽しく、今後の学生生活に大きな影響を与えています。

――二つ目はどのようなサービスだったのでしょうか?

GUIBOで自分の作りたいものは作ったため、次は「誰かの困りごとを解消する」サービスを立ち上げたいと思っていました。コロナの影響によって、経営に苦労している飲食店やサービス業の悩みを解消する、ファン発信型クラウドファンディング「はろとくわ」を作りました。

常連やファンの人たちの手によってお店を支える仕組みです。結果的に500〜600万円ほど流通しましたが、GUIBOから約2ヶ月ほどで作ったため、作り込みができていなかったことと、助成金の申請で忙しくなり、あまり伸びずに幕を閉じてしまいましたね。

アイデアを形にする!起業のファーストステップ3つ

――「GUIBO」「はろとくわ」「ABABA」のような、サービスのタネとなるようなアイデアは、どのように見つけていますか?

「課題があるところにビジネスがある」と思っているため、家族や友人など周りの人に「困っていることはない?」と聞いています。

「お金を儲けよう」という視点でサービスを始めると続きにくいですし、モチベーションの管理が難しいです。「誰かの役に立てるようなことがないか」を起点に探してみると見つけやすいかもしれません。

あとは「常識を疑う」こと。例えば郵便ポストに手紙を投函するのが当たり前ですが、「これでいいのかな?」と考えることが、違った視点を発見できるヒントになると思います。

――アイデアを見つけて実際に起業に移る際、最初はどのようなことをしたらいいのでしょうか?

(1)競合調査

大きく3つあります。一つ目が「競合調査」です。

正直、僕たちが考えるサービスは大抵すでに世の中にあります。同じようなサービスが既にあるかどうかを最初に確認しましょう。そこからどう差別化をするのか、さらにニッチな市場にいくのかを考えるのがおすすめです。

ちなみに大きな市場はプレイヤーが多く、狭い市場は今後どのように展開するか懸念しやすいです。大きなところで戦いたければ広い市場がいいですし、まずは手堅く攻めたい場合はニッチな市場がいいと思います。

(2)ヒアリング

二つ目が「ヒアリング」です。

ヒアリングは必ず行ってください。作りたいサービスが本当に需要があるのかどうかを知るために、周りの人たちの意見を聞くのは重要です。

ABABAは採用系のサービスですので、企業の人事の方、先輩の経営者、大学の先生などに意見を聞きに行きました。僕は50人ほどに聞きましたが、可能ならば100人にフィードバックをもらいましょう。一定のニーズを確認してから開発や営業に移るといいですよ。

(3)ノーコード開発

最後が「ノーコード開発」です。

サービスを作るとなるとホームページは必須です。ノーコードはコーディングを必要としないweb開発ツールで、エンジニアのような専門的な知識がなくても開発ができます。ABABAは「STUDIO」というサービスを使っています。大きな一枚のパワーポイントにテキストや画像を自由に配置できるため、誰でも簡単にwebサービスが作れますよ。

(キャプション:STUDIO操作画面)

ノーコード開発のメリットは、開発コストがかからず、修正速度も早く、IT人材不足を補うことが挙げられます。起業する際は資金や人材が不足するからこそ、このようなツールを積極的に使うのがおすすめです。

0→1を作る経験は必ずあなたの力になる。失敗を恐れずに行動しよう

――学生起業のメリット・デメリットについて教えてください。

メリットは、「0→1を作る経験は必ず自分のプラスになる」ことです。ただ僕は「学生は皆起業をしよう!」と勧めるつもりはありません。大変なことばかりですので、生半可な気持ちではやらないほうがいいからです。

しかし起業することで、課題を発見できる力や物事を進めていく力が身につけられます。それらの力は、社会人になったときに必ず自分のプラスになります。何かサービスを立ち上げたいと思うのであれば、ぜひ挑戦してほしいですね。

デメリットは、「時間がとられる」ことです。勉強も起業と同じくらい力を注ぎたい人にとっては時間が足りないと感じるはずです。そのため、休学を選択する人も多いですね。社会人になってからの1年や2年は大した差ではないからこそ、打ち込みたいのであれば思いきって1年休学をして、起業に全力を注ぐ選択肢もアリだと思います。

――学生起業において、大切なことを教えてください。

周りを気にせずに行動しましょう!僕はサービスを立ち上げるたびに「久保は何をしているの?」と言われることも多かったです。バカにしてくるような発言をする人が時にはいるかもしれませんが、気にせずに行動する気持ちが大切です。

あとは大人を積極的に巻き込んでください。基本的に大学生の挑戦は応援してもらいやすいです。僕はTwitterで経営者や投資家に「こんなアイデアがあるので話を聞いてもらえないでしょうか?」とDMを何通も送っていました。50通送って1通返事が返ってこればいいほうでしたが、中にはきちんと話を聞いてくれる人もいます。そうした出会いからご縁が繋がっていくことがあるので、自分から巻き込んでいく姿勢は忘れないようにしましょう。

大学生の失敗は汚点にはなりません。サービスを立ち上げた経験は必ず評価されるので、失敗を恐れずに行動するのみだと思います。

ABABAを「就活生が当たり前に使うサービス」へと成長させたい

――今後のビジョンについて教えてください。

ABABAを「就活生が当たり前に使うサービス」まで、大きく成長させたいです。就活で不採用が続いてしまい、鬱になってしまう人も多い今、そのような人たちにとっての救いの場にしたいです。

一方で、例えば「40年後もABABAの代表か?」と聞かれたら、おそらく務めてはいないと思います。年齢を重ねていくにつれて課題感も少しずつ変わってくると思うため、違った形でアプローチをしている可能性があります。僕の周りで学生起業をした人も、そのまま会社を経営し続けるか、途中で清算をして就職をする道を歩む人もいます。起業した先のステップは多様に変化するものだと感じていますね。

ただ、僕は「教育」に一番関心があるため、教育にまつわることもやっていきたいです。10代のうちから「起業」が一つの選択肢だと知れると、希望を見出せる若者も多いと思うからです。起業家精神を伝える活動や教育支援なども人生のビジョンにしたいですね。

――最後に学生へメッセージをお願いします。

僕は起業が全てだとは思っていません。まずは自分がやりたいことを見つけて挑戦をしてほしいです。熱意を持って行動していると、自然と応援されていきますし、同じような志を持った仲間にも出会えると思います。もし何か困ったことがあれば、僕のTwitterのDMまで気軽に連絡をください。皆さんの挑戦を応援しています!

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文:田中青紗
編集:学生の窓口編集部
取材協力:株式会社ABABA

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学生に「一歩踏み出す勇気」を持っていただけるような記事を届けたいです。

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