「将来何をしていいかわからない」すべての人たちへ 元フェイスブックジャパン代表 長谷川 晋が教える「ぼんやりした夢を具体的にする方法」

編集部:ゆう

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長谷川 晋 (Shin Hasegawa) さん
MOON-X Co-Founder/CEO

2歳から9歳までアメリカ、シアトルで育つ。京都大学経済学部卒、体育会ハンドボール部主将。2000年に東京海上火災入社、法人営業担当。P&Gで10年間、Pampers・Gillette・Braun・SKIIなどのマーケティングおよびマネジメントを統括。その後、楽天の上級執行役員としてグローバル17ヶ国および国内グループ全体のマーケティングを管掌。2015年Facebook Japanの代表取締役に就任、在任中にInstagramはMAU 810万から3300万に。2019年8月に「共創を通じてJAPAN BRANDSの発射台になる」をビジョンを掲げるMOON-X Inc.を創業。現在クラフトビールのCRAFT X, 男性スキンケアのSKIN X, 女性スキンケアのBITOKAの3ブランドを展開中。

アメリカと日本、両極端な文化で育った半生

「セルフエンジンに火をつけろ!」と題したテーマで、長谷川さん自身のキャリアについて幼少期から振り返っていただきました。

長谷川さんは、2歳のときに親の転勤でアメリカのフロリダ州へ移住。9歳までの7年間を現地で過ごしました。物心がつく前からアメリカの教育を受けて育った長谷川さん。日本への帰国後は、大きなカルチャーショックを受けたといいます。

「特に、小学校で運動会の組体操をしたときは衝撃を受けました。アメリカでは、みんなで同じ服を着てピラミッドを形成するようなコミュニケーションなどありません」

言語の面でも苦労をしたようで、「わからない単語がどうしても英語になっちゃうんですよ。例えば先生のことをティーチャーって呼んだり。ルー大柴のような子がいきなりクラスにやってきた感じで、学校に馴染むのにすごく苦労しました(笑)」と苦笑い。

その後も日本で生活を続け、高校卒業後は京都大学へ進学。大学ではハンドボールに打ち込み、部ではキャプテンに就任。リーダーとしての原体験も部活動の中にあったそうです。

「誰よりも勝ちたい気持ちが強かったので、自分ではいいキャプテンになると思っていました。でも、最初はビックリするくらい上手くいかなかったんです。勝ちたいという気持ちが空回って、部員のモチベーションも付いてこなかったんですね。シビアな経験でしたが、『リーダーは、勝ちたいという想いをいかに部員に伝播できるかが重要だ』ということを学ぶことができました」

フロリダで過ごしたアメリカンな幼少期と、実に日本らしい“部活漬け”の学生時代。その両極端な環境で過ごした長谷川さんですが、それらの経験は社会人になっても大いに活かされたようです。

会社の創業に至るまでの幅広いキャリアを振り返る

東京海上日動火災保険で、法人営業担当としてキャリアをスタートさせた長谷川さん。その後はP&Gに10年間務め、パンパース、ジレット、ブラウン、SK-IIなどのマーケティングやマネジメントを統括。続いて楽天の上級執行役員としてシンガポールへ赴任し、グローバル17カ国と国内グループ全体のマーケティングを一手に担いました。

2015年にはフェイスブックジャパンの代表取締役に就任。在任期間中に、フェイスブックの傘下であるインスタグラムの国内ユーザーを810万から3300万へと急拡大させるなど大きな成果を上げていきました。

そして2019年8月、MOON-Xを創業。「クラフトX」というクラフトビールブランドや「BITOKA」「SKINX」というスキンケアブランドを矢継ぎ早に立ち上げていきます。

「僕たちの会社は、コーポレートカルチャーとして『スピード狂』を謳っています。コースアウトするギリギリラインを攻めることで、スピード感をもって急速に大きく成長していく。もちろん、甘くないこともありますが、だからこそシビれるようなワクワクを感じながら突っ走ってきました」

加速的な成長を遂げるための3つのコツとは

MOON-Xはどのようにして加速的な成長を遂げてきたのでしょうか。長谷川さんによると、大きく成長するには「3つのコツ」があるそうです。

ひとつめのコツは「計画すること」で、これは人生も同様だと長谷川さんは言います。

成功するには、まずは人生の成功を定義づけ、目標達成のために必要な要素をタイムラインに沿って洗い出し、厳密に「◯歳までに△△する」と言語化することで具体的な段取りを決めていく。こうしたプランニングが人生を成功させる鍵になるというのです。

「これはP&Gで学んだプロジェクトマネージメントの手法と同じです。僕は孫に囲まれて、腹の底から『じいちゃんの人生、カッコいいやろ?』と言えたら人生は成功だと定義しました。これを達成するためには35歳で会社を立ち上げて、10年くらいで成功し、45歳くらいでマウイへ移住するというプランを立てたんです」

さらに長谷川さんは、「伝説」を計画することも有効だと訴えます。

「P&G時代の上司に、『君はこの会社で、どんな伝説を残したいと思っているんだ?』とよく聞かれたんです。その影響もあって、仕事に取り組むときは『この仕事でどんな伝説が残せるだろう』と考える癖がつきました。こうして視座を上げて、自分に何ができるのかを計画することもとても大切だと思います」

ふたつめのコツである「蓄積すること」について、長谷川さんは「人間は脳の構造上、いろんなことを忘れるようにできています。だから、忘れることを前提に考えないといけません」と指摘。

実際に、長谷川さんは自分の人生に必要な情報を徹底的にノートに書き留め、自身の考えや学んだことを記録しているそうで、「自分なりに情報を蓄積する仕組みを作って、定期的に見返すことで情報や知識を自分のものにするんです。そういう仕組み持っている人のほうが、成長は早いと思いますと語りました。

最後のコツである「歓迎すること」については、「人生の変化や、それに伴うピンチを歓迎すること」だと長谷川さんは説きます。

「環境の変化やチャレンジには、どうしても苦労が伴います。しかし、苦労した分の見返りもめちゃくちゃあります。人間は追い込まれない限り本気を出せません。外資系の企業では、追い込まれてテンパってしまうような大変な仕事を『ストレッチアサインメント』と呼びますが、これが自分を成長させるキッカケになるということで、歓迎する文化があります。そのように、困難に直面しても真正面から乗り越えていく人が社会にインパクトを残していくのだと思います」

「人間関係で悩むことは?」「もっとやりがいのある仕事がしたい」
学生たちの質問に長谷川さんがNGなしで回答!

「人間関係で悩んだことはありますか?」との質問に対して、長谷川さんは「もちろんあります」と回答。人間関係では主にふたつのことを心掛けていると話します。

「まずは相手を理解すること。もうひとつは、誰もが『仕事で成功したい』『会社に貢献したい』と考えているという前提で向き合うこと。以前は、僕の目から見て頑張っていない人や、斜に構えている人に対して、あまり良い気がしていませんでした。でも、しっかり向き合えば、それぞれの正義感に基づいて行動していることに気付きます。それがわかってからは、あまり人間関係に悩むこともなくなりました」

また、学生から「スタートアップでインターンシップに参加していますが、単純作業で面白くありません。もっとやりがいのある仕事がしたいです」といった相談が寄せられると、長谷川さんは「大きな仕事をしたいと思うのは、健全な不満だと思います」と同調。「クイック・ウィン」を意識するようアドバイスしました。

「クイック・ウィンとは、“小さな成果を素早く積み上げていく”という意味です。ここで大事なのは、圧倒的に期待値を超えるクオリティで成果を積み上げていくこと。そうすれば、会社は『もっと大きな仕事を任せよう』と思うでしょうし、その都度クイック・ウィンで応えていけば、より大きな仕事を任せてもらえるアップスパイラルが生まれるはずです」

さらに、「世の中に新しいサービスを提供するにあたって、大切にするべきものは?」という質問には、「想いとロジックのバランスが大事」であると回答。

「想いというのは、『その仕事を自分がやりたいと思うかどうか』という意味です。新しく何かを始めるのは、決して甘いことではありません。思ってもいないピンチも起こります。それでもやりきりたいと思えることが大切なんです。一方で、ノリだけではビジネスで勝てません。常に、ロジックや戦略が求められます。ちゃんとトレンドに乗っているか、成功がイメージできるか……そこをロジカルに考えないと失敗してしまいます。想いとロジックのバランスを考えたうえで、適切に判断していくことが重要です」

他にも数多くの質問に答えた長谷川さんは、最後に学生たちに向け、次のようなメッセージを送ってくれました。

「学生時代の1日や1時間を、決してナメてはいけません。『限られた時間でどう成長できるのか』ということを真剣に考えている人とそうでない人とでは、どんどん差が広がっていきます。学生時代の1日や1時間を大事にして、目線を高くして過ごすといいと思います」

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文:猿川佑

編集:学生の窓口編集部

取材協力:MOON-X株式会社
https://www.moon-x.com/

Twitterでは次世代ビジネスリーダーに「#ビジネスの戦闘力」を高める情報を発信中。 https://twitter.com/shinhasegawa8

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学生に「一歩踏み出す勇気」を持っていただけるような記事を届けたいです。

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