大学生が抱えるさまざまな不安や悩みに対して、突破口になるようなアドバイスを著名人の言葉で贈る「大学生の相談窓口」。今回学生の悩みに答えてくれるのは、「ペンパイナッポーアッポーペン（PPAP）」の動画が世界的に大ヒットした、 ピコ太郎の生みの親・古坂大魔王さん。お笑い芸人、音楽プロデューサーとして活躍されている古坂さんに、人とは違う発想力を身につけたいと悩む学生へアドバイスをいただきました。

飽きずに続けられる「何か」を見つけている？

若い頃は僕も同じように思っていましたね。そこでまず、大前提の話をさせてください。

そもそも「面白い」とは何か。さまざまな角度からの面白さがあると思いますが、きっと大勢の人たちから「いいね」と言われるのが「面白いもの」だと思います。

 その「面白いもの」を自分で見つけられていますか？ 

哲学者や統計学者が「天才は一つのものに1万時間をかけた結果、天才になっている」と言います。1万時間って仮に1日3時間取り掛かるとしても、到達するまでに約10年かかるんですよ。10年間を捧げられるもの、自分がやってみたい、作りたいと思うものをあなたは探していますか？

 お笑い芸人も、みんなが「お笑い」に人生を捧げたくて集まっています。そのなかで天才や売れる人、売れない人と分かれてきますが、前提として「お笑い」という、時間を捧げるものを決めています。 

みんなに「いいね」と言ってもらえる何かを探すために、まずは飽きずに長い時間を捧げられるものを見つけるのが大切だと思います。

インプットとアウトプットをたくさんしよう

ここからテクニカルな話になりますが、見つけたものを磨いていくためには、まずは「インプット」をたくさんしてください。そして、そのインプットをこまめにアウトプットしましょう。

インプットしたものを自分で咀嚼して、相方や親、友人に話してとにかく外へ出す。そうするとたまに反応がいいものが分かってくるんです。僕ら芸人はコントを作るときに最初に相方にプレゼンします。ネタの一箇所くらい「ふっ」と笑ってくれるんです。そこを掘り下げていく。もちろん固執はせずにね。 

掘り下げていくと、だんだん頭打ちが見えてくる。「これ以上だと見ず知らずの人にはウケないな」「どうしてかな？」と考えられるようになるんです。そうすることで、「僕のことを知らないのに、そもそも僕が作ったものなんてみんな興味がない。じゃあまずは僕を知ってもらう必要がある。そのためには名前を売ろう！」と、やるべきことの順番が見えてくるんです。 

アウトプットからしか自分の分析なんてできないんですよね。インプットだけで満足している人も多いですが、インプットとアプトプットはセット。情報を吸収しただけの人は「何か面白いことをやってみたい」だけの状態で、世間的には0。なのでまずは作品を作る。

反応がなかったり、バカにされたりして、ようやくこの瞬間に0から1になるんです。その繰り返しで「いいね」と言われるものに近づいていくんだと思います。 

今だとSNSでアウトプットするのもいいですが、フォロワーが多くない限りなかなか見てもらいにくいです。できたらプレゼンや大会、コンペ、オーディションなどの発表できる場所があるとよりいいですね！ 

面白いものを作ろうと試行錯誤するのは大切ですが、インプットとアウトプット、そしてなにより、人からの評価を素直に聞く姿勢を忘れないことが大切だと思います。

「新人を見ていると、アウトプットが下手だなあと感じることがある」という古坂さん。経験や知識が少ない状態だと自分が作ったものが一番だと思い、たとえ誰かから意見を言われたとしても「わかってくれない」とふて腐れてしまうそう。

そのときに、「あーなるほど」と素直にアドバイスを受け止められるかによって、0から生まれたものを1にするのか、2にするのかのスピードが変わっていくと言います。何かを生み出したいのであれば、行動だけではなく、素直さも忘れないようにしましょう。

文・取材／田中青紗
写真／島田香
編集／学生の窓口編集部

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