運転手ひとりでも複数のトラックを走らせられる時代が近くに ~5Gで変わる未来のカタチ:自動運転編~
自動運転は以前から注目されていましたが、5Gの出現と合わせるように、いよいよ現実味を帯びてきました。自動運転レベルは、レベル0~5に段階が分かれられており、現在の日本はまだレベル2の車しか発売されてはいませんが、レベル3(高速道路での運転を肩代わり)に対応した法整備も進んできています。レベル1、2は「自動運転」というよりは「運転支援技術」と呼ばれる方が一般的。
5G回線網の整備により、一気にレベル4(特定の場所での運転をシステムが全て行う)への技術的目途も付いてきたようです。これにより運転に関わる仕事の在り方が変わるかもしれません。具体的にどのような動きが進んでいるのか、MdNコーポレーションから出版された『これからの5Gビジネス』石川温/著の1セクションからの転載でご紹介します。
完全な自動運転の実現は、自動車メーカーだけでは困難です。クルマ同士が通信するために、通信キャリアや部材メーカーが一緒に世界的に統一されたルールを決める必要があります。すでに車車間通信を取りまとめる団体が動き出しています。
クルマ同士が話し合い、車間距離を保つ
開発が進む自動運転車の中でも、街中を自由自在に走るレベルを「レベル4」といいます。実用化はまだ難しいといわれてきましたが、「高速道路での隊列走行」についてはかなり現実味を帯びてきました。
隊列走行とは、先頭車両は有人運転ですが、後続の車両は自動運転で先頭車両に追従するというものです。
まず、ソフトバンクが5Gの新たな無線方式(5G-NR)で、新東名高速道路でトラックの隊列走行実証実験を行いました。その結果、高速道路の試験区間約14kmを3台のトラックが時速70kmで隊列走行に成功しました。車両区間は5G通信(4.5GHz帯使用、無線区間の伝送遅延1m/s以下)で、それぞれの位置情報や速度情報などを共有、リアルタイムでCACC(Coordinated Adaptive Cruise Control:協調型車間距離維持制御)を実施しました。
一般車両も走行する高速道路(公道)での実験に成功したことで、実用化に向けて一歩、前進したことになります。
隊列走行が実用化されれば、1人のドライバーが複数のトラックを走らせることも可能になります。つまり、それだけ輸送量を効率よく増やせるというわけです。トラック業界も人手不足が深刻ですが、そうした課題への解決策が見えてきたと言えます。
クルマとさまざまなものが通信する「C-V2X」
クルマ同士の通信は、今後、一般車両にも導入されていく見込みです。たとえば、渋滞の先頭を走っているクルマにカメラが搭載されており、その映像を渋滞に巻き込まれている他のクルマのドライバーが確認できるようになります。
また、道路に落下物があれば、数キロ離れたクルマに自動通信で知らせることもできます。クルマ同士の通信だけでなく、「クルマと信号機」「クルマと標識」「クルマと人」などさまざまなものと通信する世界がやってきます。
これらをまとめて「C-V2X」といいます(Cはセルラー、Vはビークル/クルマ、Xはさまざまなものを意味します)。
まとめ
5Gによって、より高度な自動運転が可能になることは、車を使うたくさんの仕事で期待されていることでもあります。今回はトラックの追従運転により、運送業のカタチが変わる可能性を紹介しましたが、タクシーやバスなども、一緒に変化していきそうですね。
また、友達とのドライブで先頭車両が他の車も引っ張っていってくれれば、後続車両は車内でのコミュニケーションをより楽しめるようになるかもかもしれません。
この記事を読んだあなたも是非、これからの未来のカタチを考えてみてくださいね。
出典:『これからの5Gビジネス』石川温/著、MdNコーポレーション
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