奨学金の審査で落とされる原因とは? 落ちた後の対処法について解説
奨学金を申請しても必ず通るというわけではありません。ではどういった点が問題視されて落ちてしまう結果となるのでしょう。その主な原因を探りながら、落ちてしまった後に別の方法があるのか、対処法を探っていきましょう。
(監修協力:FP 鈴木幸子)
奨学金の審査で落ちる基準について
奨学金の審査に落ちる理由として一番多いのが、世帯収入が高い場合です。つまり家計が一定基準を超えてしまうと奨学金制度の対象とはなりません。
次に、奨学金に採用されるためは平均値以上の成績が必要とされます。この基準に満たない場合にも不採用となります。
もう一つが返済能力に関して、不備が認められた場合です。奨学金は学生本人に貸付けを行うので、基本的に親の信用情報は審査に関係ありません。むしろ親が自己破産した場合など、家計状況が悪く修学が困難だと認められ、優先的に奨学金の対象とされます。
人的保証を利用した場合、親が債務整理中の場合は連帯保証人となることができませんし、申請時に65歳以上の人も保証人にはなれず、申し込みすら及びません。
こういった場合には、機関保証を利用して申し込みすることをおすすめします。
他にも、採用枠が少ない場合には、審査に通るのが難しくなります。日本学生支援機構の奨学金は予算が設けられているため、採用人数もあらかじめ決まっています。特に第一種奨学金(無利子貸与)は審査基準が厳しくなっています。
再審査申し込みなどの対処法について
第一種奨学金の審査に落ちた場合は、有利子になりますが第二種奨学金を利用することをおすすめします。
第一種奨学金と併願で申し込み、不採用となった場合に第二種奨学金を選択します。あるいは第一種奨学金が不採用となった後に、第二種奨学金の再申請を行います。そのほか、進学後に再申請できる在学採用もあります。
在学採用でもう一度、第一種奨学金に申請したい場合は、「第二種奨学金受給中だが第一種奨学金への変更希望」として申し込むことができます。
在学採用は進学前申請の予約採用と審査基準の点で若干異なります。また学校ごとで採用枠が違うので、高校のときに不採用となっても、大学進学後に採用されることもあります。つまり、予約採用に落ちたからといって、進学を諦める必要はありません。上記の点を見直しつつ、入学後、在学採用に再申請してみましょう。
奨学金以外で学費を借りる方法
日本政策金融公庫による国の教育ローンは、日本学生支援機構の次によく利用されている制度です。国の教育ローンは奨学金とは異なり、入学前から利用することができます。
入学金や授業料を納めるために奨学金と併用して利用する人も増えています。金利は2.25%(2023年10月2日現在)で、奨学金より高くなっていますが(奨学金の金利は利率見直し方式で近年0.1%以下のため)、銀行で借りる教育ローンやカードローンに比べるとかなり低いです。最大450万円まで借り入れが可能です。
奨学金は停止されることもありうる!
奨学金は、一度審査に通れば、そのまま4年間ずっと借りられるわけではありません。
学業成績が悪いと、停止や廃止されてしまう可能性もあります。日本学生支援機構の奨学金を利用している場合、翌年度も奨学金の貸与を希望するためには、適格認定を受ける必要があり、これにより人物・健康・学業・経済状況が基準として審査され、結果として「継続」「激励」「警告」「停止」「廃止」のいずれかに判断されます。
つまり停止や廃止も十分にあり得ることを念頭に入れておきましょう。
まとめ
奨学金の審査基準や再審査の申し込みなどについて基本的なことは理解いただけたことと思います。審査で落ちてしまった場合でも、焦ることなく、次の方策をじっくりと練ることが新たな道を突き進むためには必要です。ぜひ奨学金を手にしながら、充実した学生生活を送ってください。
(学生の窓口編集部)
監修協力:鈴木幸子
2010年よりFP活動を始め、子育てファミリーの家計相談、住宅購入相談を実施。フジテレビ「Live News it!」でコメンテーターを務めるなど、地元金融機関、住宅メーカーでの講演実績を持つ。保有資格AFP・証券外務員2種・相続診断士。
https://www.gyl-h.com/