自動車保険の免責金額とは? 金額設定で保険料をお得にできる?免責金額の仕組みを解説
自動車保険の加入時に注意しておきたいのが、免責金額です。免責金額については、聞いたことはあっても、仕組みなどは良く分からないという人も多いのではないでしょうか? 今回は、そのような方に向けて、自動車保険の免責金額について詳しく解説します。
自動車保険の免責金額とは?
自動車保険の免責金額とは、保険会社が保険金を支払う場合に、その損害額に対する補償のうち保険契約者が自己負担する金額のことをいいます。
免責金額は、1回目と2回目以降の車両事故での金額の組み合わせで選択します。この車両事故のカウント期間は、契約(または更新)してから満期日までの1年間です。
免責金額の例
例えば、契約者が事故に遭い、保険会社から車の修理代として保険金が支払われるケースを考えます。
修理費用として50万円がかかる場合、全額が支払われるとは限りません。
<契約者が保険契約で免責金額を5万円に設定していた場合>
50万円(修理代)-5万円(自己負担額)=45万円(車両保険金)
保険会社が実際に支払う車両保険金は、45万円となります(事故の責任割合が0の場合)。契約者は、5万円を自己負担し、保険会社からは契約者へ45万円が支払われることになります。
もし損害額が設定金額を下回る場合には、保険金は支払われません。 このような自動車保険の免責金額は、契約者が設定することができるものとなっています。
免責金額の設定で保険料が安くなる
では、なぜ「免責金額」というルールが必要なのでしょうか?
その理由は主に3つ。
- ・ 軽微な事故による保険金の支払いを減らすことで保険会社の負担を減らすため
- ・ 契約者としても「免責金額」を設定することで、小さな事故であれば保険を使わないという選択ができるため
- ・ 事故の修理代で保険を使ってしまえば、翌年の等級が下がるため、結果として保険料が上がってしまう可能性があるため
事故による修理代が安い時にも安易な考えで利用してしまうと、契約者の等級が下がってしまいます。長い目で見て、なるべく保険料が上がらないよう、保険を使うかどうかの判断をしていかなければなりません。
免責金額の設定にはいいこともあります。
免責金額の設定をすることで、免責金額なしにするよりも保険料が安くなり、保険料の節約になることも。免責金額を高く設定すればするほど、保険料が安くなります。
ただし、免責金額を設定していても自己負担額がない場合もあるので覚えておくとよいでしょう。
免責金額を設定していても自己負担額がない時とは?
全損の場合
- 修理できないほど壊れた
- 損害額が車両の時価相当額または保険価額を超えた
このような場合は自己負担額がなしとなり、車両保険金額の全額が補償されます。
相手がいる事故の場合
相手からの損害賠償金が設定した免責金額を上回ると自己負担する必要がなくなります。
<例:免責金額5万円設定。修理費50万、相手方の過失割合20%>
本来なら、自己負担額5万円で保険会社が支払う車両保険金は45万円となります。
しかし、相手に過失が20%あります。50万円のうち20%(10万円)の賠償金が支払われます。
よって正しくは、
50万(修理代)-10万円(賠償金)=40万円(車両保険金)
となります。
自己負担額は「賠償金」からあてがわれるため、発生しません。
車両保険に「車対車免責ゼロ特約」を入れている場合
「車対車免責ゼロ特約」は、契約中の最初の事故で、車同士の接触、衝突事故の場合、相手を確認できる時に限って、車両保険における免責金額を0にするというもの。自損事故の場合は該当しません。
このように、免責金額と保険料の関係性を知っておくことで、契約者は、保険料の設定時に役立てることができます。
免責金額はいくらに設定すればいい?
初めて契約する方は、免責金額を0にすることは少なく、平均的に5~7万円くらいで設定している方が多いようです。
契約する方によって、条件が変わってきますので、ここでは免責金額の設定についてや免責金額を決めるときのポイントについて解説します。
免責金額の設定って?
免責金額の設定は、契約時に行います。
増額方式と定額方式のどちらかを選び、金額を決めていきます。
- 増額方式…契約期間中、1回目よりも2回目以降の事故の免責金額が増える
- 定額方式…事故の回数に関係なく一定金額が免責金額となる
2つの方式の具体例は以下のようになります。
●定額方式:1回目10万円、2回目以降10万円 ●増額方式:1回目5万円、2回目以降10万円
免責金額を決めるポイントは4つ
それでは、実際の免責金額は、いくらに設定すればよいでしょうか?
これまで解説した内容も踏まえたうえで、免責金額を決めるポイントについて解説します。
- ・ 保険料を安くしたいなら、免責金額は高めに設定
- ・ 無理のない範囲で免責金額を決定
- ・ 一括見積をして各社の保険料を比較
- ・ 翌年度以降の保険料も見据えて設定
なるべく保険料を抑えたいのなら、保険内容を確認してきちんと見極めることがおすすめです。
免責金額を高く設定することで保険会社は負担が減るため、保険料は安くなります。
ただし、事故を起こした際の自己負担額が大きいと辛い場合もあるので、無理のない金額設定を考える必要があります。一時的に大きな金額を支払いたくないのであれば、月々の保険料が高くなっても免責金額を低く設定する方法を選択しましょう。
初めて契約する場合、車対車免責ゼロ特約を利用する方もいますが、保険料が高くなるので注意してください。
また、契約者は、保険料と自己負担額の関係性や等級ダウンによる翌年度以降の保険料なども考慮して、決めていかなければなりません。
事故を起こして保険を利用していた場合、等級は1~3級ダウンしているので保険料が高くなります。
リスク度合いの基準となる等級は、過去の事故の実績によって1等級から20等級までに割り振られます。割増・割引は等級ごとに設定されています。事故を起こして保険を使うと、この等級が下がり、翌年度以降の保険料が引き上げられてしまいます。 ▶自動車保険の等級の仕組みはこちらで理解しよう
また、保険会社では、翌年度の保険料がどのくらい上がるのかを、予想し、算出してくれます。気になる場合には、保険料を算出してもらい、免責金額設定時の参考にしていくことをおすすめします。
まとめ
免責金額は、設定の仕方によって保険料を安く抑えられたり、等級ダウンによって、翌年度の保険料が高くなったりします。皆さんも、免責金額の仕組みをよく理解して、保険料の支払いをできるだけ安く抑えられるような保険の設計をしていきましょう。
今はネットで一括見積ができます。各社の保険料を比較し、条件の良い保険会社を見つけましょう。
(学生の窓口編集部)
監修協力:冨士野 喜子(ふじの よしこ)
ファイナンシャルプランナー。お金に関する相談実績1000件以上。 大学卒業後、教育出版会社、保険会社勤務を経て独立。個人のマネー相談以外にも、講演、ラジオなどで「楽しく、分かりやすく」情報発信中。プライベートでは3児の母。 HPはこちら
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