山田裕貴「やりたいことをやれるのは強い人」|なつぞらSPインタビュー

現在放送中のNHK連続テレビ小説『なつぞら』で、ヒロイン・なつと共に上京し菓子職人を目指す小畑雪次郎を演じる山田裕貴さん(以下、山田さん)。
「自分が無個性な人間だからこそ、俳優は天職だと思った」と話す山田さんに、お仕事の話やプライベートのこと、そして『なつぞら』の撮影エピソードなどたっぷりお話していただきました。
INDEX
1.雪次郎はまるで自分
2.俳優、山田裕貴のお仕事論
3.踏み出せる人 踏み出せない人
4.好きを続けるのは難しい
5.どうしようもないことは時間が解決してくれる
6.幸せのカタチは人それぞれ
雪次郎はまるで自分みたい
山田さんご自身は朝ドラ出演が決まってどうでしたか?
出演できたことは心から嬉しいと思っています。
このように取材を受ける機会や街を歩いていても声をかけていただくことも増えて、朝ドラの影響力の大きさを感じます。
ただ、僕自身どの作品に対しても同じ熱量で臨んでいるので、素直に嬉しいと思う反面、悔しさも感じています。
雪次郎を演じてみてどのように感じましたか?
雪次郎は、まるで自分自身なんじゃないかと思ってしまうくらいシンクロ率が高い役で、台本をいただくたびに驚きました。
雪次郎はお菓子屋さんの一人息子で、菓子職人の修行のために上京するのですが、高校時代にやった演劇の楽しさが忘れられなくて、途中で俳優を目指したいと菓子職人の師であるお父さんに宣言するんです。
僕も父親が元プロ野球選手で、その背中を見て育ちました。野球は自分の意思ではじめたのですが、途中で俳優になりたいと思ってしまってからは、自分の意志で「野球を辞めて俳優を目指したい」と父に伝えました。だから雪次郎の「俳優になりたい」というセリフには自然と思いが乗りましたね。
すごいシンクロですね。
そうなんです。
脚本家の大森さんが僕のそういった背景を知っていて書いてくれたのかどうかわからないのですが、雪次郎を演じていると自分と一緒だなと思う部分が多いので、まるでパラレルワールドにいるような気持ちになることがあります。
(※画像提供/NHK)
例えば、雪次郎は蘭子さん(鈴木杏樹)の舞台をはじめて見たときに「普通の人がまるでそこにいるみたい」「普通の人が言いたい言葉を代弁するというか、伝える力がプロなんだと思った」とそのときの感動を伝えるシーンがあるんですけど、それこそまさに僕が理想としている俳優像なんです。
俳優はスターのように扱われることが多いけれど、実は一番普通の人間でなきゃいけないと思っています。その作品の中に溶け込んで普通の人として生きることが求められる。
僕が普段から大切にしている考え方が、雪次郎の口から語られたのでとても驚きました。
それだけ似ていると演じていて迷うことも少なかったのではないでしょうか
それでもなんかしっくり来てないなというときは、「今のどうでした?今のであってますかね?」ってその場で聞くこともあります。雪次郎のおばあちゃん役の高畑淳子さんには「大丈夫。思うようにやったらいいよ。」なんて言ってもらえて、現場のムードは和やかで楽しかったです。
俳優、山田裕貴のお仕事論
演技で迷ったときや、教えてもらうときの姿勢で何か意識はしますか?
うーん、なんだろう。ほかの芝居でも同じですが、まず自分一人で考え尽くして役に臨んでいるので、人に聞くことは少ないんです。
一度考えられるパターンをすべて頭に描いてみて固めていって、それで実際にやってみて、なんかハマってないなと思うとき周りに意見を仰ぎます。良いものにしようと真剣なので、遠慮はしませんし、自分の意見が求められたときも遠慮せずに言うようにしています。
山田さんが演技に関して普段から気を付けていることって何かありますか?
「憧れは理解から最も遠い感情」という言葉があって、これはけっこう意識しますね。
憧れたら、その人がどうしてすごいのか考えなくなっちゃうからだそうで。俳優は役の人物を深く理解することが大事だと思うので、僕はこの人すごいなと思っても憧れないように気をつけています。
実はこの言葉は、『BLEACH』っていう漫画のセリフなんですけど(笑)。
踏み出せる人 踏み出せない人
雪次郎は東京に出てから、親にレールを敷いてもらった菓子職人を辞めて俳優を目指すことを決意しましたが、山田さんだったらどうしますか?
僕も雪次郎と同じように、その時に自分が一番やりたいと思った道を選ぶと思います。
とはいえ、実際にやりたいことをやれている人ってそんなにいないと思うんですよね。
やりたいことがあっても、できない、踏み出せない人たちの方が多いと思うんです。やりたいと思うことはあっても、生きていかなきゃいけないから仕方ないとか、それぞれいろんな理由があって諦めてしまう。そっちのほうが普通です。
でも、雪次郎はそれを振り切った。その思いと行動力には強さを感じました。
山田さんは18歳で上京した後、俳優になるための学校に通われていたんですよね。
とにかく俳優になりたかったんですが、なり方も何もわからないのでまずは学校だろうと。それしか方法が思いつかなかったんです(笑)。
養成所では、舞台のセットからエキストラ、チケットのもぎりまで色々な経験をしました。そのおかげで、いろんな人の気持ちがわかりますし、人よりも感謝の気持ちがあると思います。そういった芝居に関わる人のためにも、恥ずかしい演技はしたくないですね。
学校で学んだことがしっかり今に活かされているんですね。
学校でした経験が今の仕事につながっているので、行っておいてよかったですね。
ただ、俳優の勉強だけが俳優業に役立っている訳ではないですし、学校での勉強はあくまで"準備"なので、そのまま役に立つっていうより、学んだことをどう活かせるかは自分次第なんだなと感じています。
自分が純粋にやりたい仕事(俳優業)以外のお仕事を依頼されたときはどうしていますか?
話を聞いて気が進まないと思った仕事でも、やってもいないのに最初から受け入れないのは違うと思っています。その仕事が自分に必要があるのかないのかはやってみてから決めることが大切だと思うので。
だから、何事もまずは受け入れてやってみるようにしています。その経験のひとつひとつが自分の幅を広げることに繋がるものかなと。
好きを続けるのは難しい
雪次郎には、演劇の道を諦めて十勝に帰るという大きな転機がありますが
あのシーンは思い出すだけでも心が痛くなります。
雪次郎の人生において、大きな挫折の経験になりました。本当に悔しかったと思うんですよ。でも、十勝に戻るという選択が、雪次郎にとっては最善で自然なことだったように僕には思えるんです。
好きなことを続けていくことは難しいと思いますか?
好きなものを続けていると、「これって本当に好きなのかな」と迷うことがあると思います。僕は、人間は続けられない生き物だと思っているから、一度決めたからってそれをずっと続けなきゃいけないとは全然思っていません。
雪次郎は自分でやりたいって言ったことを辞めることになるわけですけど、それも彼が悩み抜いて悔しいと感じながらも出した一つの選択ですよね。
雪次郎は演劇も好きだし、蘭子さん(雪次郎の想い人、劇団の先輩)のことも大好きだった。その「好き」はぜんぶ本当の気持ちだったんだけど、演劇が好きだから続けているのか、蘭子さんと一緒に居たいから演劇をしているのかだんだんわからなくなってくる。そして結局、迷っていることを蘭子さんに見抜かれて「あんたの芝居は最低ね」と言われてしまうんです。
雪次郎の選択について山田さんの意見を聞かせてください
雪次郎は演劇の道からは逃げたかもしれないけれど、負けた訳ではないと思うんです。勝てなかっただけで、敗北者ではない。彼はやりたいことにチャレンジして、それでもうまくいかなくて、菓子職人の道に戻ってくることになるけど、それは人生の岐路でそういう選択をしただけだと僕は思います。
17週の久しぶりに「雪月(雪次郎の生家、お菓子屋さん兼甘味処)」に帰ってくるシーンで、お店に一歩足を踏み入れた瞬間、僕自身が心をぐちゃぐちゃにかき乱されるような感覚とともに、「なんて居心地がいい場所なんだろう」とも感じて肩の力が抜けたんですよね。やっぱり雪次朗にとっては、ここが帰ってくる場所なんだな、と納得したことをよく覚えています。
もし山田さんが同じ状況になったらどうしますか?
僕は超負けず嫌いなので、同じ状況に置かれても演劇を諦めることはできないだろうなあ......。あの選択は、帰る場所があって、温かい家族が待っていてくれる雪次郎だからこそできた選択なんだと、あらためて思います。
どうしようもないことは時間が解決してくれる
雪次郎は何度も挫折を経験しますが、山田さん自身は挫けそうな時はどうしていますか?
仕事に集中して取り組みます。俳優は、自分以外の誰かを生きるお仕事なので、仕事に集中して取り組んでいるときは嫌なこと忘れていられるんですよね。だから、目の前のことに集中して、あとは自然の流れに任せちゃいます。
とにかく目の前のことに集中する、これは誰でも実行できそうですね
役に受からなかったとか、自分でどうしようもないことは、じたばたしても仕方がないので。とは言え、どうにかできることは、絶対にどうにかしたいタイプなので、最善は尽くしますが(笑)。
幸せのカタチは人それぞれ
最後に『なつぞら』の見所を教えてください
『なつぞら』は開拓者の物語です。主人公のなつは、戦争で家族を失ってしまって最初はひとりだけど、そこからどんどん自分で道を切り開いていきます。
うまくいかないことがあっても、挫けずに挑戦して、そして夢を叶える。それに対して、最初から家族がいて、一人息子の雪次郎は、上京して何度も失敗して、挫折を経験するんです。
雪次郎は、自分の思い描いたようには開拓できないまま人生が進んでいくのですが、この物語は、開拓できた人も、できなかった人にも、それぞれの幸せの形がちゃんとあるということを気づかせてくれます。よっぽど道を踏み外さなければ、誰しもが幸せになれる。
後半になればなるほど、そんなメッセージが感じられるシーンが増えていくので、楽しみにしていて欲しいです。
おわりに
「実は朝は苦手だったんですけど、仕事をするようになってから自然と起きられるようになってきました。なつぞらもあるので、今は朝が好きです!!!」と屈託のない表情で笑う山田さん。
質問のひとつひとつを、噛み締めるように考え、自分の言葉で返してくれる姿から、「どんな仕事でも同じ熱量でやっている」という彼の仕事に対する姿勢と、どこまでもまっすぐな人柄がにじみ出ていました。
連続テレビ小説『なつぞら』(NHK)出演中
(月〜土)午前8時〜8時15分/午後0時45分〜1時(再)
文:星野文月
写真:島田香
編集:学生の窓口編集部
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