就活だらけの大学生活から抜け出す方法 #大学1年生の転び方
みなさんはじめまして、トミヤマと申します。つい最近までお正月だったような気がするのですが、もう新年度とか、マジですか……。
時の流れについていくので精一杯のアラフォー大学教員が、大学1年生(元・大学1年生のみなさんも積極的に含めていく所存)の転び方について、みなさんと一緒に考えていく。これはそういう連載です。
わたしはいまでこそ専任講師(≒正社員)として働いていますが、非常勤講師(≒バイト、契約社員)として大学に出入りしていた時期がけっこう長くて、共学、女子大、理系、文系、芸術系……いろいろな大学で教えてきました。
その結果わかったのは、学生数や偏差値や校風がどれだけ違っていても、学生さんのお悩みの「核」となる部分はかなり似通っているということです。みんな悩んでいる。みんなつまづいている。
つまり、大学生活は、転んでなんぼ。さらに言えば、転び方を知っているヤツが最強です。転ぶのが怖いのはわかりますが、転び方がわかれば、人生はもっと楽しい。にわかに信じられないかも知れませんけど、本当にそうなんです。
さあ、はりきって転び、しかるのち、立ち上がりましょう。自分のペースでいいですから。
というわけで、早速お寄せいただいたご相談を見てみましょうか。前回、ものすごい愛さんの元に届いたお悩みは「やりたいことが見つからない」でしたが、さて今回は……?
大学って何なんでしょうか??
勉強する場所なのに、就活の踏み台のためだけのような気がして、「私のお金……!」ってなります(奨学金をもらっています)。
(女性/大学3年生)
大学はいまや「就職予備校」になりつつある
大学が「就職予備校」と言われるようになって久しいわけですが、この相談者さんはそうした風潮に意義を唱えておられます。勉強を適当にやりつつ、遊んでいればいいかと思いきや、周囲にはいわゆる「意識高い系」がわんさかいると。そんで、学生生活に就職活動が浸食しすぎだろうと。
わかる、わかりすぎる。わたしもよく学生さんに「就活があるので」と言われて、欠席を公欠扱いにしたりしているんです。
いまや大学より企業のスケジュールが優先されるのが当たり前。それってどうなの!? と思ってはいますが、学業を優先させた結果、就活に失敗しても、こっちは責任取れないじゃないですか。だから、おかしいなと思っていても我慢するしかないんですよね。
大学の就職予備校化については、学生も教員も若干ムカついているというのが、正直なところだと思います。
思い切って大学院進学もあり
で、現状にムカつきつつも、考えなければならないのは、そんな大学の就職予備校化に「どう抗うか」ということです。少なくとも相談者さんは、奨学金を元手に大学生活を最大限エンジョイしたいわけですから、そのための戦略を練る必要があります。
いきなり難易度が高いかも知れませんが、就活に脅かされることなく学生生活を送りたいなら、大学院に進むのが一番です! 学生の本分である勉強を思いきりできますし、進学するので、そもそも就活はしなくていい。
というか、わたしがまさに就活がイヤすぎて大学院に逃げた女なんですよ。まあ、そこで逃げた結果、大学院の博士課程に入ってから暗黒のニート時代を過ごすハメになったので(研究はスランプ、奨学金という名の借金もかさみ、文字通りの地獄を見た)、修士課程を修了したらいったん社会に出るのがいいような気がしますが……。
就活っぽくない就活があるかも
そこまでする勇気はない! ということでしたら、「就活に思えない就活」をするのはいかがですか。いまの相談者さんにとって、学生生活と就活は対立関係にあるようですが、そうじゃなくて、遊ぶように学ぶように就活ができたら、また違った風景が見えてくるような。
実際、わたしの教え子には、書くことが得意でそのままライターになったひととか、バイトが楽しすぎてそのまま正社員雇用されたひととか、正規の就活ルートを一切通らずに働いているひとが少なくありません。
もちろん、彼らは就活生全体から見れば少数派です。みんなと同じ道、安全な道を行きたいひとからすれば、獣道を歩いているように見えるかも知れません。
でも、彼らはみな例外なく大学生活をエンジョイしながら職もゲットしている。つまり本人の納得度・満足度はすこぶる高いんですね。
相談者さんの好きなこと、夢中になれることはなんですか? それに関わるアルバイトやインターンだったら、就活だと意識をせずにやることができたりしませんか? 就活就活した就活だけが、就活ではないかも知れませんよ……?
わたしなんて趣味でパンケーキの食べ歩きをしてたら、本が出ちゃった女ですしね。好きなことも突き詰めれば仕事になります! まあ、好きなことを仕事にすることが幸せか、っていう別の問題はあるのですが。
人生、回り道から学べることもある
高校生活をエンジョイたいと思うあまり受験勉強を放棄し浪人、大学生活をエンジョイしたいと思うあまり大学院に行った「今しか見えない」派のわたしには、相談者さんのお悩みが、他人ごととは思えません。
こういう人は、今に集中することの数珠つなぎで次の展開を発見することが向いていると思うので、周囲の就活生に惑わされることなく、遊びでも勉強でも、全身全霊でやってみるのが一番なんじゃないでしょうか。
まあぶっちゃけ、4年間好き放題やって、就職浪人したっていいわけです。そこでロスした時間って、あとから振り返ってみればそこまでのロスでもない、という場合が多いので。人生、回り道から学べることって、案外多いものですよ。
みんなと足並みを揃えない寄り道多めの人生も、ザ・オリジナル! って感じで、ステキなんじゃないでしょうか。
ライター、大学教員。早稲田大学法学部、同大大学院文学研究科を経て、2019年春から東北芸術工科大学講師。ライターとして、日本の文学、マンガ、フードカルチャーなどについて書く一方、大学では、少女マンガ研究を中心としたサブカルチャー関連講義を担当。
書籍:『大学1年生の歩き方 先輩たちが教える転ばぬ先の12のステップ』(清田隆之との共著)
Twitter : @tomicatomica